最初は、「羽根」だけではなかったのです・・・!?
ホンダ製のモーターサイクルでおなじみの「ウイングマーク」。現在はCI=コーポレート・アイデンティティの一環でホンダ製モーターサイクルには必ず採用されており、ライダーが乗車したときにその視界に必ずウイングマークが入るようになっています(例:トップブリッジの上など)。
このウイングマークはホンダ2輪の初作、自転車取り付け用補助エンジンのA型から採用されております。しかしこのときのマークは、おなじみの羽根だけの意匠ではありませんでした。
ご覧のとおり、最初のウイングマークは羽根だけでなく、その翼をつけた裸婦の姿も描かれていたのです。これは現在ルーヴル美術館に所蔵されている彫像、「サモトラケのニケ」がモチーフになったと言われています。
この鷲の羽根をもつ勝利の女神の彫像は、頭部などが失われたままの状態で展示されていますが、その美しくも勇ましい作風が、今日に至るまで多くの人々を魅了したことで知られています。余談ですがニケはNIKEというスペルで、スポーツアパレルで有名なあのNIKE(ナイキ)も、このニケをブランド名の由来にしていることは有名です。
なおこの「サモトラケのニケ」仕様のウイングマークは、3輪トランスポーターのB型、2ストローク単気筒エンジンを積むC型、D型、そしてホンダ初の4ストローク車であるE型まで採用されることになりました。
そして、現代の意匠でもある「一枚翼」へ・・・
ちなみに現在のウイングマークの原型となった「一枚翼」は、ホンダ初のOHC単気筒モデルであるドリームSA/SBから採用されることになります・・・。なぜ「サモトラケのニケ」仕様から「一枚翼」の意匠になったのか・・・残念ながらその真相は定かではありません(すみません・・・)。
それまでのプッシュロッド式4ストロークに代わる新機軸としてのOHC機構採用車・・・という新時代のモデルにふさわしいエンブレムへの意匠変更・・・と考えるのが自然かもしれません?
この後もホンダ製モーターサイクルを飾るウイングマークは様々な変遷をたどることになるのですが、そのあたりのお話はまた稿を改めてご紹介させていただきたく思います!