時代が2ストマシンを淘汰し、4ストへと急激に流れ始めていた1970年代後半から1980年代。
1984年に発売開始されたYAMAHA RZV500RはV型4気筒2ストロークの500ccエンジンを搭載していた。時代に抗う反逆児か、それとも意地の異端児か。YAMAHAの熱い魂を具現化したような姿は、多くのバイク乗りや業界関係者を驚嘆させたのだった・・・。
写真:松川 忍 車両協力:モトプラン
ライダー・テキスト:太田安治(モーターマガジン社)
デジタル編集:南田哲

RZV500R。最強のレプリカマシンの誕生に時代が揺れた......。

1970年代前半まで、ホンダ車を除いてスポーツモデルは2ストローク形式が主流を占めていた。同じ排気量なら4ストローク形式よりも高出力で自重も軽く、製造コストやメンテンアンス面でも有利だったからだ。

しかし、アメリカで制定された通称「マスキー法」によって1975年以降に製造する車両には排気ガスのクリーン化が義務付けられたことによって、対米輸出割合が多い大排気量モデルは構造的に規制対応が難しい2ストロークエンジンから4ストロークエンジンへの転換を余儀なくされたのだった。

さらに当時は大型二輪免許の取得が難しく、国内市場の中心は中型モデル。そんな状況にあって、YAMAHAが2ストロークで500cc(つまり大型二輪免許対象)のエンジンを搭載したRZV500Rを発表したときは、一般ユーザーだけでなく、業界関係者も驚愕したのだった。

RZ250が市販レーサーTZ250のレプリカとされていたのに対し、RZVは世界GPで大活躍していたワークスレーサーYZR500のレプリカ。V型4気筒の2ストエンジンをアルミフレームに搭載し、当時珍しかったフルカウルを纏った姿は「最強レプリカ」と呼ぶに相応しいオーラーを発していたのである。

画像: 水冷2ストローク ピストン/クランク ケースリードバルブV型4気筒 総排気量 499 cc 内径╳工程 56.4 ╳ 50 mm 圧縮比 6.6 最高出力 64PS/8500rpm 最大トルク 5.7kg -m/7500rpm

水冷2ストローク ピストン/クランク ケースリードバルブV型4気筒
総排気量 499 cc
内径╳工程 56.4 ╳ 50 mm
圧縮比 6.6
最高出力 64PS/8500rpm
最大トルク 5.7kg -m/7500rpm

最強のワークスレーサーレプリカとして華々しく登場したのもの、セールス的には成功できなかった悲運の名車、RZV500R

ワークスレーサーレプリカとして誕生したRZV500Rだったが、実際にはあまりレースへの参加をあまり考慮されていなかったらしい。
当時、2ストローク500ccのRZVが参加できたレースは国内GP500だけだが、さすがに本物のワークスレーサーや市販レーサーに太刀打ちできるはずはなかったし、TT-F1クラスは4ストロークの750cc車がメインだったから、実際に参加できたのはローカルレギュレーションを採用していた一部のレースだけ、という状況だったのだ。

しかも同時期に発売されたRZ250RRの43万9000円に対してRZVは約2倍の82万5000円という価格で、4スト750車よりも高価。結果、購入層は一部のエンスージャストに限定され、国内市場でも販売台数はおよそ3700台、(輸出仕様のRD500LCの)海外累計販売台数も1万200台ほどにとどまったのだった。

「最強のワークスレーサーレプリカ」として華々しく登場したRZV500Rだったが、セールス的な成功が得られなかったことに加え、凄まじい勢いで進む技術革新によってメカニズム、性能面での陳腐化が早まったことで、発売から2年でひっそりと生産を終えた。
時代の空気に翻弄され、実力が評価されなかった悲運の名車と言ってもいいだろう・・・・。

画像: いまでも通勤やツーリングにも使えるほど普通に乗れる。 RZV500Rにはレーシングテクノロジーだけではなく、当時のヤマハレーサーグループ、市販車開発グループの熱い思いが込められている。

いまでも通勤やツーリングにも使えるほど普通に乗れる。
RZV500Rにはレーシングテクノロジーだけではなく、当時のヤマハレーサーグループ、市販車開発グループの熱い思いが込められている。

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