今回は『マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1』のデモンストレーションに参加予定の、1972年型ブラバムBT37をご紹介いたします!
あの"バーニー"さんが代表を務めてました
1962年から1992年まで存続したブラバムの一連のF1マシンには、「BT」という名前が付いています。これは、"ブラック・ジャック"こと名ドライバーのジャック・ブラバムと、エンジニア/デザイナーのロン・トーラナックという、ふたりの豪州人創始者のイニシャルの組み合わせです。
1970年にジャック・ブラバムは3度の戴冠という偉大な記録を残して引退します。最初の2つは名門クーパーで得たものですが、最後の1966年のタイトルは自身の名前=ブラバムを冠したマシンで得たかけがえのない記録となりました(これは4輪GPの歴史上、未だ唯一無二の例です)。
ブラバムの引退後、チーム運営はトーラナックが担いましたが、実業家のバーニー・エクレストンが1972年にチームを買収。ブラバムの名は残りましたが、以降は新体制での参戦が行われることになります。
なおバーニー・エクレストンの名はF1ファンでなくても、多くの人がご存知だと思います。1974年設立のFOCA(フォーミュラ・ワン・コンストラクターズ・アソシエーション)の会長に1978年から就任した彼は、国際自動車連盟(FIA)と激しい権力闘争を展開。その後2016年まで、長きに渡りビジネスとしてのF1を牛耳ることになったエクレストンは、F1界の支配者と呼ばれました。
ロン・トーラナックから、新たにバーニー・エクレストンが代表に就任したモータースポーツ・ディベロップメント(ブラバム)が1972年用に用意したマシン。アルミ・モノコックにジャッド・チューンのDFV、ヒューランドFG400ギヤボックスなど前年型のBT34から基本的な構造は変わっていない。ドライバーはグラハム・ヒルとカルロス・ロイテマン。BT37は2台のみが製作されたが、このシャシーナンバー2は、ロイテマンのレースカーとして第5戦ベルギーGPでデビュー。第11戦カナダGPではBT37としてのベストリザルトである4位を記録している。
新体制黎明期の作
1972年用に作られたBT37のデザインは、マクラーレンから移籍してきたラルフ・ベラミーが担当しています。しかし残念ながらこのマシンは、0勝、0ポールポジション、0ファステストラップ・・・という成績しか残せませんでした。
なお1973年に投入されたBT42からは、あのゴードン・マーレーがデザイナーとなりました。彼の作はブラバム時代だけで22勝を記録。そしてマクラーレン移籍後はスティーブ・ニコルズとともに名機MP4/4をデザインしたことで、歴史にその名声を刻みました。
こちらの動画では、BT37、42、そして1981年の49Cの走りを楽しむことができます。ぜひご覧下さい。