もちろん、そうじゃないひとだって、当然いる。このSRのオーナーの目には、はじめからずっとSRしか映っていない。『月刊オートバイ2017年1月号 特別付録「RIDE」』より
聞き手/文:濱矢文夫 写真:松川 忍 取材協力:カッシーさん(オーナー)
デジタル編集 by 楠雅彦
好きになったらとことん。若かった彼にとってオートバイ= SRだった。ひとめ惚れが現実となり、片思いが成就してからの日々は、楽しくて楽しくて、SRに乗って走り回った。
そんないつも一緒の深い恋愛のようなオートバイライフだったが、その蜜月は短かった。ある日事故をしてしまい、別れがやってきた。ライダーにとって、残念ながらそういう別れの経験をした人は少なくなく、彼もまた半ば強制的に離れ離れに。(中略)
それから時が経ち、ひょんなことからまたその箱が開いてSRに対する気持ちが盛り上がった。
気持ちよく走るためのカスタマイズはどんどん進む。足まわりが変わって、外装が変わって、エンジンが変わって......クロムハーツのシルバーネックレスと交換した SRの面影は、もはやフレームだけになっている。(中略)
「阿蘇であったシングルエンジンオートバイのミーティングに行ったことがあるんです。大きくカスタムされた車両がたくさんあって、刺激と影響 を受けたんですが、反面、こんな にお金をかけて、この人たちは何をやっているんだろうと思ったんです。10代の若者から見て『いい大人がよくやるなぁ』なんて。それが気がついたら、自分がそう なっちゃってた(笑)」
最新技術なんてなにもない、今風のデザインでもない、シンプル な構造で長年愛されてきたオートバイだから、遊び方の自由度が大きい。彼とSRの恋愛はまだ冷めやらぬ様子だ。
聞き手/文:濱矢文夫 写真:松川 忍 取材協力:カッシーさん(オーナー)
デジタル編集 by 楠雅彦