昨年の東京モーターショーでワールドプレミアされたMINIコンバーチブルに試乗することができた。この3代目には、より自分らしさを表現することができる、新しいオプションなどが用意され、魅力がさらに増していた。(Motor Magazine2016年6月号)
コンバーチブルの人気は高い
2シーターオープンカーは多いが、4シーターオープンカーは意外とモデル数が少ない。たとえばすぐに思い浮かぶのは、今号のトップニュースでも紹介しているロールスロイス ドーンやBMW4シリーズカブリオレ、アウディA5カブリオレ、メルセデスベンツEクラスカブリオレ、マセラティ グランカブリオあたりだろうか。そうした中、MINIはオリジナルミニ時代も、そしてMINIになってからも引き続きオープンカーを用意しているが、それは3世代目のF56になってからも踏襲された。それがMINIコンバーチブルである。
実はこのコンバーチブルは、MINIラインナップのなかでも人気モデルで、2004年に登場したBMWのMINIとなった初代モデル(R52)では約16万4000台、09年にデビューした2代目(R57)も約16万5700台を販売している。
そして個人的にもMINIファミリーの中で一番好きなのが、このMINIコンバーチブルなのである。ソフトトップを開けていても閉めていても感じられる独自の世界観がいい。さらに気軽に、肩肘張らずに、そしてクローズドからオープンにしたとき〝どんなヤツが乗っているのか!〞なんて想像されずにいられるのもこのクルマだけだろう。
電動ソフトトップは約18秒で開閉できる
さて、ラインナップは、クーパー(1.5リッター直3ターボ/136ps&220Nm)が342万円、クーパーS(2リッター直4ターボ/192ps&280Nm)が397万円、JCW(2リッター直4ターボ/231ps&320Nm)が483万円となる。秘かにサプライズを期待していたディーゼルの導入は残念ながら見送られた。楽しみは後でということなのだろうか。
新型コンバーチブルは、万が一の転倒時に後席の乗員を保護するロールオーバープロテクションも最新のものが装備されている。また室内の空間も従来より、ニールームが約4cm、ショルダールームも約3cm、トランクルームは約25%拡大されている。ちなみにこのトランクルーム容量はルーフを閉めた状態で215リットル、オープンにした状態で160リットルを確保し、さらにイージーローディング機構も付いているので使い勝手は悪くないだろう。ソフトトップは約18秒で開閉でき、走行中でも30km/hまでなら操作が可能だ。さらにこのソフトトップにサンルーフ機構が用意されたのもトピックだ。これはもちろん、速度に関係なくいつでも開閉が可能なのである。
MINIのゴーカートフィーリングは健在
さて試乗である。選んだのはクーパーSコンバーチブル。オープンカーになった分、3ドアのMINIより車重が重いため、そのあたりは少し影響するのではと思っていたが、それはまったく杞憂に終わった。街中を流す程度では終始、アクセルペダルを深く踏み込むことなく余裕のクルージングが楽しめた。それもかなり爽快に、である。
乗り心地は少し硬めで、MINIらしいゴーカートフィーリングは健在である。もっと元気のいい走りを楽しみたいなら「Sport」モードを選ぶといい。するとシフトタイミングなどが変わり、力強さがさらに増すのである。そして、その気になれば迫力あるエキゾーストサウンドとともに、かなりスポーティな走りをみせてくれるのである。ただ、もっと早く、キビキビ走りなさいと、クルマから催促されているような気持ちになるのも、このモードである。
気持ちを盛り上げてくれるアイテムが採用されている
今回から採用された注目のアイテムとして、MINIロゴプロジェクションがある。これはドアを開けると路面にMINIのロゴが映し出されるというもの。オーナーの気持ちをとても高揚させる装備である。
もうひとつ、MINI YOURSデザインプログラムもこのモデルから採用された興味深いアイテムだ。これはクラフトマンシップの極みとも言えるもので、レザーシートにユニオンジャックがエンボス加工されたり、ソフトトップにヘリンボーン柄でユニオンジャックが織り込まれたりというものである。これは選ぶ人も多いかもしれない。
装備、安全デバイスも充実した
最後に自動緊急ブレーキ、アクティブクルーズコントロール、ヘッドアップディスプレイ、パーキングアシストなど最新の運転支援システムも充実し、安全性も大きく向上したことを付け加えておく。
新しいコンバーチブルは、このクルマと一緒にもっといろんな場所に行ってみたいと思う1台だった。(文:千葉知充/写真:永元秀和)