とにかくカッコよくて、速いし、おまけに安いという魅力がたっぷりなスポーツカーでもありファミリーカーでもある、シビック。今回は テンロク・テンハチスポーツの詳解 から、ZC型DOHCからB16型VTECへ飛躍まで『ワンダーシビック』と『グランドシビック』2車種の紹介です。当時、ZCエンジンの力強さはもちろん、快適な室内、ワンダーシビックに乗り替えたの方の感動は物凄いものがあり、ワンダーシビックから劇的に ホンダファン になった方も多いそうです ❤︎
ワンダーシビック ・AT型(1983年9月〜)
3代目となったシビックはそれまでの流れを断ち切り、斬新なデザインで登場した。MM(マンマキシマム・メカミニマム)思想を採り入れたそには、今のフィットより小さなボディにもかかわらず、3ドアハッチバックはロングルーフ化によって広い室内を確保していた。またシャープなフロントマスク、スパッと切り落とされたテールエンドも新鮮だった。1.3&1.5ℓでスタートしたが、1年後に1.6ℓのZC型DOHCを搭載したSiを追加。ボンネットのバルジとリアの赤いSiバッジがDOHCを主張していた。
S800以来のDOHCとなったZC型はボア×ストローク=75×90㎜で、アイドリングでクラッチミートしてもOKなほどトルクフル。それでいながら4000rpmからのパワーの“つき”が気持ちいいエンジンだった。今から見れば控えめなパワーながら、車重が900kg弱だったため十分にスポーツしていたため、たちまち大人気モデルとなる。
グランドシビック ・EF型(1987年9月〜)
当初のスポーツモデルはZC型DOHCをキャリーオーバーしたSiだったが、2年後のマイナーチェンジを機にVTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を採用したB16A型を搭載したSiRを追加。リッター当たり100psのDOHCは、ちょっと大人しくなった感のあるグランドシビックに活を入れることとなった。高回転でカムが切り替わってからのVTECならではのパワーフィールを得て、スポーツ復権を果たした。
走りそのものはフロントサスがワンダーのストラットからダブルウィッシュボーンになったことと、120㎜延長されたホイールベースによって、より安定感を増していたのが特徴だった。
ショートホイールベースのCR-Xがかなりトリッキーだったのと対照的だった。このSiRは早速、JTCに参戦する。レース仕様では200psをオーバーし、そのポテンシャルの高さを十分に見せ付けたのだった。文◎河原良雄 写真◎モーターマガジン社より