先日ニューヨークで北米プレミアが行われたパガーニのウアイラ BC (Huayra BC)。パガーニオートモビリ創始者のオラチオ・パガーニ氏はイベント会場でこのモデルの誕生の経緯や背景をプレゼンしました。
通常の新車発表会とは大きく違ったのはスペック上の数字や最新テクノロジーではなく、パガーニ氏とカイオラ氏(Benny Caiola)との友情についてが大部分を締め、カイオラ氏への追悼が大きな目的となったことです。
2010年に亡くなったカイオラ氏は著名なイタリア車のコレクターであり、またパガーニにとって最初の顧客でもあります。カイオラ氏との強い絆は多くの影響をパガーニに与えました。サーキット専用モデル ゾンダ R(Zonda R)を発売するのもカイオラ氏のアイデアだったと言います。
ウアイラ BCはゾンダ Rからの流れを組みますが、サーキットと公道での走行を想定して作られています。そしてウアイラにはパガーニのすべての技術の情熱が注がれています。
今までのウアイラと外観は似ていますが、ウアイラ BCはまったく新しい車両になっています。
約130キロもの軽量化とAMG製のエンジンも800馬力までチューンアップされます。そしてダラーラとの協力で新しい空力のパッケージを作り上げ、ウアイラのアクティブ・エアロダイナミクスと合わせて新しいリアウイングとフロント周りも装着されます。ルーフ以外のボディパネルもすべて新しくなっています。
フロントとリアのサブフレームもスタンダード版のウアイラよりも軽量で剛性も上がっています。XTrac製の7速オートマチックトランスミッションは1から新しく設計。ウアイラとウアイラ BCとの数少ない共通点はホモロゲーションのためのカーボンモノコックとなっています。
"[Caiola] was a very busy man with work and other things, but he'd call me up fairly regularly and say, 'Hey Horacio! How's it going?' and if I'd say, 'Well, not so good,' he'd check up on me every couple of days until he got 'Yeah. I'm fine,' at which point he went back to his more regular monthly call. Afterwards, I found out I wasn't the only person he'd do this with: He'd do it with everybody he loved."
”カイオラ氏は仕事にも私生活にもとても忙しい方でしたが、月に1回は連絡をくれました。私の調子を知るためだけにです。私の調子が悪いと、調子を取り戻すまで2,3日おきに連絡をくれました。そしてまた月に1回の連絡に戻るのです。これは私に対してだけでなく、彼の周りの人間すべてにしていたことです”
終始カイオラ氏との友情や彼への想いを述べ続けたパガーニ氏はすべてをカイオラ氏に捧げています。
ウアイラ BCのマットホワイトはベニー・ホワイト(Benny White)と名付けられ、まさにすべてがカイオラ氏への追悼となっています。
パガーニ氏は”この車両は私とカイオラ氏との関係を歴史に刻むモデルとなります”と述べて、締めくくりました。