みなさん、こんにちは。
最近では、朝晩はだいぶ肌寒くなり、少しずつ秋めいてきていますよね?
実は私は、奄美から東京に戻ってきたばかりで、あまりの気温差に驚きました。(帰京当日の気温差はなんと約10度!笑)
まだ、奄美では30度を超える日もあり、真夏の日差しが照りつけています。
奄美は12-1月が最も寒いのですが、それでも平均気温は15度程度。年平均気温は20度くらいなので、やはり東京と比べるとだいぶ暖かいですね。
そんな奄美なので、南国!というイメージがあり、どうせ行くならバカンス気分で真夏!、とお考えの方も多いでしょう。もちろん、きれいな海が魅力の奄美大島では、夏は最高の楽しみを味わえるはずですが、これからの季節の奄美にも、また一味違った楽しみ方があるのですよ。
実は奄美の夏の終わりから秋にかけては、古くから行われている伝統行事が目白押しで、その行事に参加するツアーや大学のゼミ合宿も行われているくらいなんです。
今回は、その中の一つ 「アラセツ」 について、ご紹介したいと思います。
アラセツを漢字で書くと 「 新節 」 。 その名の通り、新たな節目として、今年の豊年豊作を神々に感謝し、来年の豊作を祈願するのです。
国の重要無形民俗文化財「アラセツ」とは?
この「アラセツ」という行事は、まだ奄美群島が首里王府の支配下にあった16世紀に始まり、今に至るまで、約500年以上も続く豊作祈願のお祭りです。
戦中戦後は途絶えていたものの、島民たちの熱意が実って昭和35年に復活し、昭和60年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。
この「アラセツ」は、 稲穂の収穫が全て終わった頃の、旧暦8月最初の丙日に行われます。(ちなみに、2015年は9月17日でした)
実はこのアラセツ、明け方に行われる「ショチョガマ」と夕方行われる 「平瀬マンカイ」の二つの祭事のことを示しています。どちらも名前を見ただけでは、カタカナばかりでどういうお祭りなのか想像しがたいですよね…?
でも、大丈夫です。初めて名前を見た!そんな方がほとんどだと思うので、今回は 「ショチョガマ」 から詳しくご説明します。
ショチョガマって?
お祭りの名前でもあるショチョガマですが、写真にあるように、藁葺きで作られた片屋根のことを指しています。ショチョガマは秋名集落と水田を見下ろすように、山の中腹に建てられ、高さは約3m、広さは約40平米もあり、100人乗っても平気なんだそうです。ちなみに、ショチョガマに乗れるのは男性か子供のみで、その年に生まれた子供を健康祈願で乗せることも。
祭りの開始は、午前5時頃。ショチョガマの上で、太鼓を打ち鳴らし、その呼びかけにに人が集まってくるのです。そして、日の出前に神役のグージ(神司)がやってきて、赤飯、焼酎、 ミキ) の順にお供えして、祭詞をとなえ豊作祈願をします。
その後に、ショチョガマの上で、稲霊を招来する唄を歌い、一節歌い終わると、「ユラ(右)・メラ(左)」という力強い掛け声とともにショチョガマを左右に揺らすのです。右(南)に倒れると来年は豊作、左(北)に倒れると凶作と言われているため、みんな息を合わせて出来るだけ右足に体重を載せているようでした。ちなみに、今年はその努力もむなしく左に…。
しかし、「毎年右に倒れていて、左に倒れるのは珍しいから今度も豊作だ!」という、島の人らしい前向きな発言も聞こえてきました。 (笑)
このショチョガマが倒れたあとは、その上でみんな太鼓を鳴らしながら、豊作を祝い踊ります。そして、その後には秋名集落の新米で握られたホカホカのおにぎりをもらえるのです!
ショチョガマ作りから、おにぎりを握るまで全て集落の人の協力なしには、成し得ない、こういったところに島の人の絆を感じることができました。また、観光客、島の人関係なく踊り明かすにことで、地域や言葉を超えた、人間本来の繋がりを感じることが出来るのではないでしょうか?
初めてショチョガマのことを知って、興味を持った、という方は来年ぜひ訪れてみてください!(笑)
次回はアラセツの中の「平瀬マンカイ」についてお伝えします。次の記事もお楽しみに!