ソーシャルとモバイルの申し子の憂鬱
市場からみて、Twitterの問題点はおもにふたつある。ひとつはMAU(月間アクティブユーザー数)が期待するほど伸びていない、ということ。現在のMAUの伸びは、上場以来最も低い。実数としては、MAU3億人を超えたところで足踏みが続いているのが現状だ。
ふたつ目の問題点は、Twitterが徐々に複雑化しており、使い方を説明することが難しくなっている、ということだ。Twitterは本来シンプルなサービスだが、シンプルであるがゆえにどうやって使えばよいのかわかりづらかった(ある意味禅問答のような、根源的な問題であるといえる)。それがFacebookをはじめとするライバルたちへの対抗策として、徐々に機能を増やすようになった。シンプルすぎて使い方が難しくなったTwitterは、今度はシンプルさを捨てることで、別の難しさを抱えることになったのである。だから、新規ユーザーが伸びない。
コンパクトなコンテンツをただアップロードすることで自分のステータスを知らせる(もしくはニュースを共有する)、という使い方であれば、同じコンセプトのサービスとしてInstagramが急成長している。また、クローズドの環境――すなわち特定の相手だけとの情報共有という使い方にあっては、いまやLINEやWhatsAppのようなメッセージングサービスに太刀打ちできない。
指導者の不在
もうひとつ付け加えると、こうした問題点を解消するめどが立たないうえに、会社の成長をドライブするための指揮官がTwitterには不在である。創業者のひとりであるジャック・ドーシーは新たにIPOを目指すSquareのCEOを兼任しているので、あくまで暫定的なCEOという立場を崩せない。
Twitterはなんとかして、サービスの複雑化に歯止めをかけて、シンプルさを取りもどすと同時に、より楽しく効果的な使い方を潜在的ユーザーに提示しなければならない。しかし、それを指揮するべきリーダーさえ決まっていない。それが投資家たちを苛立たせているのである。
かといって、Twitterがこのまま失速していくかというと、必ずしもそうではない。死に体だったMySpaceが、音楽により効果的にフォーカスすることで、新生MySpaceとして復活したように、正しい使い方をインターネットユーザーに提案できれば、改めてFacebookを含むライバルたちを脅かす成長を示すことは十分可能である。
つまり、問題点ははっきりしているのだから、その解決方法を力強く社内と市場に指し示せる新しい強力なCEOの選定。それが急務であろう。