ライフログに残る過去の愛車

画像: ネット時代だからこそオートバイに乗れる幸せを。ハイテク装備に備えるライダー達

SNS、特にFacebookが身近なツールになって良かったと思うことは、やはりライフログが現実になった、ということだろう。この写真のスポーツスターは、3年ほど乗ったと思うのだが、正確には記録していない。写真は、フェリーに乗ってどこかにツーリングに行った時のものだと思うが、全然覚えていない・・。

Facebookにすべての情報をアップすることはあり得ないが、それでも2010年あたりからの自分の行動を振り返るきっかけくらいの記録があって、あとから重宝する。この辺はTwitterにもInstagramにもない有難味だと感じるのだ。

写真のスポスタ(スポーツスターのことをよくこう略していう)は、XL1200というモデルで、スポスタなら883cc、いわゆるパパサンのほうがポピュラーだと思うのだが、僕はあえてこちらを買った。すべて純正のカスタムパーツを使って、購入時にこのスタイルにした。
結果的に、長く乗ってあげていないので、僕の元に来たことをこのスポスタは幸せには思っていないかもしれない。写真もそれほど残っていない。今ほどカメラを扱うことに執心していなかったこともあるし、熱心ではないにせよSNSで誰かに写真をシェアするという習慣がなかったためでもある。そして今になってそれを悔やむことがある。つまりは、SNSに写真をシェアする相手とは、実は将来の自分、ということなのかもしれない、そう感じるのである。


今の時代にオートバイに乗る、ということ

インターネットの恩恵は、モバイル、言い換えればスマートフォンの進化と普及によって、大衆のものになったと言える。
いつでもどこでも、インターネットにアクセスすることができる。それは外付けのモデムとノートパソコンによって実現したが、それは能動的にネット接続を行う、という行為であって、常時接続とは違う。スマートフォンによって常にインターネットにつながっていて、こちらから誰かにつながりたいと思うときだけではなく、誰かが我々とつながりたいときにでも、相互に接続する。これこそが、本当のインターネットの利用環境だ。それがスマートフォンによって実現した。

オートバイに乗っているとき、いままでのライダーは外部とは基本的に遮断された、一人の時間が流れていた。少なくとも、僕がスポスタに乗っていた頃はそうだった。

それが今では、巷で走る大型バイクの多くは、スマートフォンか専用の小型のカーナビを設置できるようにしている。ヘルメットにBluetoothデバイスを装備して、スマートフォンと接続できるようにしているライダーも多い。実際僕も新調したヘルメットにBluetoothデバイスを装着していて、たとえポケットにiPhoneをしまっていても、ナビアプリでの道案内を音声で聞くことができる。
僕はつかっていないが、音声の入力デバイスを使えば、Siriを使って走りながらメールを書いたり(危険だからやるべきではないが)、交通状況の最新情報を取得するようなこともできそうだ。

つまり、オートバイ自体の進化もさることながら、ライダー自身のIT化が始まっていて、一昔前のライディング体験とは異なる環境が整いつつあるのだ。バイクのバッテリーを電源として、ナビやスマートフォンの充電も可能だし、電熱ヒーター付きの防寒具を身につけて冬でも快適に走ることも当然できる。

アナログとデジタル、不便さと便利さの間にあるもの

前述のようにオートバイに乗ることは、昔よりもはるかに快適になっている。車同様にナビを使うことができるので道に迷うことも少ないし、ヘルメットや車体にスピーカーを取り付けて音楽を楽しむこともできる。

しかし、それでもヘルメットを被れば頭は蒸れて髪はつぶれる。長時間風に当たればやはり疲れるし、汚れもするだろう。街中の駐輪場は増えたが、まだまだ駐車場と比べれば少ない。

オートバイそのものもハイテク化したし、ツーリングを便利にする数々のガジェットも生まれた。オートバイに乗ること自体は、いまだにライダーの積極的な体重移動によるアナログな操作によるが、同時に多くのライダーの操作がデジタル化によって簡略化されてもいる。

オートバイに乗るということは、アナログとデジタル、不便と便利のはざまにある。いつかは完全自動で事故のない安全な乗り物へと進化し、ライダーの余分な干渉を不要にしてしまう時期がくるのかもしれない。
だからこそ、いまオートバイに乗れるということは、実はとてもかけがえのない悦楽なのではないか、と思うのだ。車以上に人間の干渉を必要とする不完全な乗り物。その不完全さを、自分自身が補うことで完全な自立を成し遂げる。それこそがバイク乗りの矜持につながっているはずだ。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.