全米最高峰のプロ・ダートトラックレースシリーズ = AFT: American Flat Trackの新シーズン開幕戦Wヘッダー "デイトナ・ショートトラック" は3週間後の3月7〜8日キックオフ。AFTの決勝レースフォーマットは現在、規定時間 + 2周というルールで運用されていますが、かつては周回数25周で行われるものでした。レース運びとか戦略とか戦術がちょっと違ってくるような気もするんですが・・・そこらへんどうなんでしょう?

"規定時間 + 2周制" に移行した根拠って・・・TV番組構成上の都合?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。全米プロ・ダートトラックのシリーズ開幕戦といえば、フロリダ州デイトナビーチでのデイトナ・バイクウィーク期間中に行われるのが太古の昔から恒例ですが、使用するレーストラックやレース形式には幾多の変遷があります。

決勝レース形式がこれまた鉄板の25周から "規定時間 + 2周" というモトクロス的なスタイルにガラっと変更されたのは2020年シーズン開幕戦。COVID-19禍に世界中が翻弄されて以降、初のシーズンであり、変則的に7月開催でした。このレースはデイトナ近傍のバーバービル・ハーフマイルにてWヘッダーで開催され、フォーマットは12分 + 2周。最高峰クラス・スーパーツインズの決勝ベストラップ・タイムは20.056秒で、レース周回数は37周 (!) 。そのうち35周をリードしたジャレッド・ミースが勝利しています。

またこの年の最終戦はこれまたWヘッダーで (というかシーズン全てのレースが2戦ないし3戦を1つの週末に連続で行う超変則スケジュール) でデイトナ・ショートトラック・・・インターナショナルスピードウェイ外側に近年構築された常設レーストラック、で開催され、フォーマットは10分 + 2周で両日ともにインディアンFTR750を駆る44 ブランドン・ロビンソンが勝利しています。周回数は赤旗中断などもあってそれぞれ35周・28周でした。ライムストーンで覆われ滑りやすい路面は、トラクションが不足しがちで最高速を求めにくく、1周のラップタイムはハーフマイルとほとんど変わらないことも興味深いです。

American Flat Track

サポートクラスのAFTシングルス (450cc) は6分 + 2周とランタイムが短く設定されていますが、これって結局のところ、TV放映の際の尺をコントロールしやすくするためにルールが変更されてるようなんですよね。生放送の解説も最後の数周で首位争いにフォーカスすれば良いわけで、リポーターの技術的な難易度がいくらか低いのかも?

レースディスタンス全体をどう捉えるかがガラっと変わるような・・・

周回数25周と決まっていれば (因みにアマチュアレースは後半に周回遅れが出まくるので決勝12周くらいで行われることが多いです) 、レース運びの組み立ても全周全力で走り続けるだけでなく、あえてやや後方に下がって後から刺したりスパートをかけたり、緩急のリズムをコントロールしやすくなりますが、残り時間 (距離・周回数) が明確でない状態で走るのは、それとまた別のメンタリティ・フィジカルと戦術が必要になるはずです。一長一短だとは思いますがレースのグラウンドデザインが大きく変わりつつあるような・・・。もうじきNASCARみたいに無線で外部と会話するようになったりして?

American Flat Track

"昔は良かった" 式ノスタルジーに浸るつもりはもちろんないですが、カテゴリーに最もフィットするフォーマット = 映像配信にも最適、とは限らないわけで、まだまだ考える余地があるような感じがします。ラップダウン (周回遅れ) がボロボロ出るのもレースコントロール的には安全面での心配事が増えるのでできればやりたくない?ところですが、ホールショットを奪って全てが決まっちゃう超スプリントレースばかりでもワンチャン大逆転!がなかなか見られなくってつまらないんですよね。

ではまた次週、金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!