いちばん身近な161.7万円のアフリカツインは、先に乗った豪華205万円仕様とは比較できない、別路線のバイクになっていました。じゃあ、その路線に合わせてみようとすると……これまた新たな問題がっ!?

素のアフリカツインのジレンマ

だけど、やっぱり!

ひとつだけ克服できない大きな問題が!!!

オフロードも走れるタイヤとはいえ、ガチのブロックタイヤとは言いにくい標準装備のタイヤです。

オンロードで最高に良い仕事をしてくれるんだから贅沢は言えないですけど、やっぱりオフロードを走るならがっつりブロックタイヤを履きたい、と思ってしまう訳です。

ノーマルタイヤはガチのブロックタイヤじゃないから、バイクはほとんど寝かせず、体重移動とハンドルで曲がることになります。

オフロードのプロライダーのように、このタイヤでもカウンターステア決めてガッツリ寝かせたりとか、テール流しっぱなしで立ち上がりとか……

できるわけがない(笑)

だけどまぁ、これがけっこう楽しいんです。

普通の大型アドベンチャーなら嫌だなと思う、わりと急で距離のある下り坂や上り坂だって、なんかイケそう!って思えるし、実際にイケちゃう。

後輪のスライドはトラクションコントロールにおまかせでOK。

トラクションコントロールの介入度は左スイッチボックスの左上にある『☆』マークを押すだけですぐに変更できるので、自分の感覚に合ったレベルをすぐに探せます。

そして、自分にとっての適度なスライド量が見つかると……

オフロードでけっこうバリバリ、スロットルを開けたくなる!

しかも全然、怖いと思わないんです。

車体さえ真っ直ぐなら、かなり大胆にバイクを操ろう!って気持ちがキープできます。

でも……

やっぱコーナーは慎重になっちゃう。

リヤは滑っても何とかなるけど、すこし深めにバンクさせてフロントがちょっとでも滑ると『アッ』って嫌な汗が出る。

わかりやすく言うと……

もどかしいっ(笑)

ブロックタイヤ履きたい!

そこに“素”のアフリカツイン、最大のジレンマがあるんです。

前に乗った豪華仕様DCTアドベンチャースポーツよりも重量が24kgも軽くて、エンジンが格段に元気。見違えるほどオンロードでのコーナリングが楽しくなっているのは『前編』でお伝えしたとおり。

でもブロックタイヤを履いたら、オフロードが楽しくなる反面で、オンロードのコーナーで諦めるものが出てくるはずなんです。

ガチのオフロードじゃなくて、簡易舗装の凸凹道で満足できるならノーマルタイヤのままでいい。

だけど、このバイクのオーナーになったら、無理。

簡易舗装じゃ満足できなくなる。

ガチのオフロードに積極的に踏み込んでみたくなる。

たぶんその気持ちは、止められないでしょう。

でもそうしたら、オンロードが楽しめなくなっちゃうんじゃないか?

せっかくの快適さが損なわれるんじゃないか?

オンロード性能も素晴らしいがために、それを捨てるに忍びない。

それが!

実に!!

悩ましい!!!

のです。

まさに『こちらを立てれば、あちらが立たず』といった状況。

これは、素のアフリカツインにブロックタイヤを履かせた仕様に乗ってみるまで結論は出ません。

もしボクがこのアフリカツインを所有したら、わりと早い段階で、一度は本格的なブロックタイヤを履かせると思う。

そうして、ブロックタイヤがあることでの『オフロードで得るもの』と『オンロードで失うもの』を天秤にかける。

それに、気持ち的にも見た目的にも1回やってみたくなると思う!

だってデカい冒険バイクがゴツいブロックタイヤ履いてるのって、無条件で男らしくてカッコいいですからネ(笑)

だけどノーマルタイヤだって正解なんです。

日本国内で普通にツーリングをする場合に、ガチのオフロードを越えていかなければならないシチュエーションはまずありません。

概ねは舗装路。そう考えるならノーマルタイヤで良いんです。

さらに言えば、高速道路で長距離を走るなら、やっぱりオンロード主体のタイヤのほうが疲れないですしね。

ちなみに素のアフリカツインの防風性能は『そこそこ』です。

高速道路を長く走るならオプションの『ハイウインドスクリーン』への交換がおすすめ。

そうするとまたオフロードでの自由度が……ってなっちゃうんですけどね。ここもジレンマ(笑)