かつての植民地が、宗主国のブランドを所有・・・というパターンですね
インドのタミル・ナードゥ州チェンナイに本拠を置くTVSモーターは1978年に創業。1980年代初頭にはスズキとの合弁でTVSスズキを設立し、2輪・3輪車を生産。その後長くスズキとの関係は続きましたが、2001年にはスズキと協力関係を解消。独自の道を歩むことになりました。
4月17日(金)のTVSモーターの発表によると、1898年創業の古豪ノートンは同社に買収されたとのことです。そしてTVSモーターはこの名門ブランドを復活させ、販路を拡大させたいとも声明中で語っています。
TVSモーターの共同代表取締役、S.ヴェヌは、「このことは私たちにとって非常に重要なことです。ノートンは世界中で有名な、英国の象徴的なブランドで、世界規模で拡大する大きな機会を私たちに提供してくれます。ノートンが国際的な2輪業界でその栄光を取り戻すために、私たちは完全なサポートを拡張いたします」とコメントしています。
ノートンの今後に注目しましょう
さて、この後英レスターシャー州に本拠を置いていた旧経営陣の処遇はどうなるのでしょうか? 今年の1月末、会計事務所のひとつであるBDOの管理下に入り清算処理されることになったノートンですが、旧代表のスチュワート・ガーナーは約100人を失職の危険に晒し、年金に投資した人々の財産を毀損し、購入予定者たちとの契約を裏切ったと、多くの人から非難されています。
TVSモーターのS.ヴェヌは、経済メディアのBusiness Standardの取材に対し、「ノートンにはいくつかの管理上の問題がありましたが、グローバルなサプライチェーン機能と財務サポートを備えたTVSはこれを克服するでしょう。 Covid-19の流行により短期的には懸念事項がありますが、TVSはコスト削減策を強化し、設備投資を削減しました。 設備投資が多いビジネスではないノートンの性質を考えると、差し迫った懸念はないようです。 製造は既存の施設で継続され、収益性の高い方法で満たされる多くの顧客の注文があります」と答えています。
BMWとも強い関係を持つTVSモーターの下で、ノートンの従業員と購入予定者は救われることになるようですが、年金投資をした人々の救済についてはどうなるのか不明です・・・。その点でノートン破綻の問題はすべて解決したわけではないですが、TVSモーターがノートンをどのように再生するのか・・・注目していきたいですね。