「モータースポーツ」と一口にいっても、その種類は多彩。興味はあるけど、たくさんありすぎて何を見ていいのかわからない……なんて人も結構多いのでは? ここでは各競技の特徴や見どころをわかりやすくお届け。今回は『MotoGP』『スーパーバイク 』といったスプリントレースではなく、長時間に渡って行われる耐久レースの世界最高峰、世界選手権として人気の『世界耐久選手権』と、その一戦として1978年から毎年開催されている『鈴鹿8時間耐久ロードレース』について解説していきます。

世界耐久選手権(EWC)とは?

伝統のルマン式スタート。4輪レースではもう見ることができないが、EWCでは現在まで引き継がれている。

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これまで『MotoGP』や『スーパーバイク 』といった世界最高峰のバイクレースを紹介しましたが、今回紹介する世界耐久選手権は文字どおり8時間から24時間まで、長時間に渡って行われる耐久レースです。

また、3月から11月まで行われる『MotoGP』や2月から10月まで行われる『スーパーバイク 』と違い、2019年の9月から2020年の9月までと言ったように、年を跨いで行われており、2019-2020シーズンでは、フランス、ドイツ、マレーシア、日本での5戦で争われます。

この耐久レースは19世紀のフランスが起源で、非常に歴史の長いスポーツイベントです。現在の世界耐久選手権(EWC)の1戦でもあるボルドール24時間レースの初開催は1922年、その他イタリアやスペインでもこのような耐久レースが次々に行われていきました。そして1960年にFIMの耐久カップという名で、これら耐久レースのシリーズ戦が誕生、1978年にはルマン24時間と鈴鹿8時間が始まり、翌1980年にFIM世界耐久選手権シリーズが始まりました。

1989年に世界選手権の名が外れましたが、1991年に再びFIM世界耐久選手権シリーズとなり、今に至ります。

市販車ベースか市販車か。カテゴリーは2つ

レースには2つのカテゴリーが存在します。まずはEWCの最高峰カテゴリーである「フォーミュラEWC」クラスです。市販車ベースで行われるレースですが、フォーミュラEWCはブレーキやラジエター、エキゾーストなど比較的自由にバイクを改良することが許されています。また、クイックタイヤ交換システムも装着されており、ピットストップでは素早いタイヤ交換も可能に。ナンバープレートは黒地、ヘッドライトは白色なので、レース中でも見分けることができます。

もう一つは「スーパーストッククラス」と呼ばれるカテゴリーです。

スーパーストッククラスは改良できる範囲が非常に制限されており、ほぼ市販車のバイクで争われるカテゴリーです。ライバルとの差が出にくいカテゴリーでもあるので、ライダーの技量に加え、戦略やピット作業も含めたチーム力が求められます。スーパーストッククラスのナンバープレートは赤でヘッドライトは黄色となっています。

各カテゴリーとも、シリーズ全5戦でレースの順位で各チームにポイントが与えられ、最終的にもっともポイントの多いチームがシリーズチャンピオンの栄光を手にすることができます。

鈴鹿8時間耐久ロードレースとは?

ホンダのワークスチーム「Team HRC」。これまで42回行われた鈴鹿8耐でホンダは27回優勝を果たしている。

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EWCの1戦でもあり今年で43回目の開催となる鈴鹿8時間耐久ロードレースは日本最大規模の2輪レースであり、バイク界の夏の風物詩でもあります。

主に、国内4メーカーがしのぎを削る鈴鹿8耐は、市販車(1000cc)をベースにしたマシンで行われます。市販車が、8時間もの過酷なレースを走りきることは、バイクメーカーにとって大きな意味を持ちます。

これまで日本メーカーが優勝しており、日本のメーカーは性能と信頼性の高さを証明し続けてきました。

メーカーの威信を担うワークス(メーカー直属)チームの優勝争いや社会人の有志チームの活躍など、鈴鹿8耐は見所がたくさんあります。

1978年から始まった鈴鹿8耐は、80年代から90年代前半にはバイクブームの影響もあり、決勝日だけで15万人以上も来場したほど一大ムーブメントを巻き起こしました。現在はブームだった世代に加え、若い世代の観客も鈴鹿8耐に足を運び、幅広い世代に愛されています。

EWCは比較的涼しい時期にヨーロッパのサーキットを中心にレースが行われますが、対照的に鈴鹿8耐は高温多湿な夏季の日本で行われ、マシンとライダー、チームにとって厳しい環境の中で行われます。日本4メーカーのお膝元であることや、メーカー直系のワークスチームも参戦し、MotoGPとWSBKのライダーの参戦もあるため、8時間もありながらスプリントレース並みのラップタイムで周回を重ねます。

EWCにおけるホンダの活躍

2017-2018 シーズンは「F.C.C. TSR Honda France」が日本の耐久チームとして史上初めて年間チャンピオンを獲得した。

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鈴鹿サーキットがある三重県鈴鹿市に拠点をおくTSRはF.C.C TCR Hondaとして鈴鹿8耐に参戦し、毎年優勝争いを繰り広げるトップチームです。そんなTSRが世界耐久選手権に本格参戦したのが2016年のこと。初戦であるル・マン24時間耐久レースでいきなり3位表彰台に上がる健闘を見せました。そして参戦3年目となる2018年、TSRはF.C.C. TSR Honda Franceとしてチャンピオンシップをトップでリードし、最終戦鈴鹿8耐で5位に入り、日本チームとして初の世界チャンピオンに輝きました。地元である日本、そして鈴鹿で世界一の称号を掴み取った日本チームは現在も世界耐久選手権に出場し、2度目の世界一を目指して戦っています。

鈴鹿8耐におけるホンダの活躍

MotoGPの生きる伝説バレンティーノ・ロッシも過去にホンダから8耐に参戦しており、2001年に優勝を飾っている。

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これまで42回行われた鈴鹿8耐のうちホンダは27勝を挙げており、無類の強さを見せています。強力な体制とマシンを用意し、世界トップクラスのライダーを召集、そして勝たなければいけないという使命を背負い戦ったチームの努力がこの成績を残した理由ではないでしょうか。

しかし2014年以来優勝から遠ざかっているホンダは2018年、10年ぶりのファクトリー体制で鈴鹿8耐に挑みました。ファクトリー体制での2年は優勝まであと一歩に迫る力走を見せました。ファクトリー体制3年目となる今年は6年ぶりの優勝を目指します。

まとめ

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今回は長時間に渡って行われるバイクレースの最高峰「世界耐久選手権」、そしてその一戦として、1978年から続く夏の風物詩「鈴鹿8時間耐久ロードレース」を紹介しました。

鈴鹿8耐では多くの成功を収め、世界耐久選手権ではホンダのバイクを駆る日本チームが世界一に輝きました。選手権でも鈴鹿8耐でもレースを盛り上げてくれるホンダのチーム、そしてホンダバイクの活躍を今年も期待したいですね!

鈴鹿8耐では18歳から22歳までの方限定で入場料と指定席が無料になる「ヤング割0円キャンペーン」があります。事前申し込みをすれば気軽にレースを楽しむことができますので、当てはまる方はぜひ利用してみてくださいね。

コロナの影響は?

例年は7月末に開催される鈴鹿8耐ですが、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、さらに入国制限措置が採られたことにより、鈴鹿8耐を含むEWCの年間スケジュールの変更が余儀なくされました。

6月に開催予定だったドイツのオッシャースレーベン8時間レースは中止となり、第3戦ル・マン24時間レースは8月29日〜30日に、第4戦は開幕戦の舞台となったボルドールで9月19日〜20日に、そして最終戦鈴鹿は史上初となる11月1日開催に変更されています。

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