予選で単発でのスピードが求められるノックアウト方式が今年から採用
昨年までの予選形式は40分間のタイムアタックでしたが、今年からはMotoGPクラスと同じくQ1、Q2のノックアウト方式が採用されました(各15分間)
これはMoto3ライダーがのちにMoto2クラス、そして最高峰MotoGPクラスに上がっていく為、MotoGPクラスと同じ形式に慣れさせることが狙いです(今年からMoto2クラスもQ1、Q2のノックアウト方式が採用されている)
さらに、これまでMoto3クラスでは速いライダーが出てくるのを待ち、後ろでタイムを出そうとして渋滞になってしまうことが多々見られました。今回のフォーマットの変更では、たった15分の間にタイムを出さなければならず、速いライダーのアタックを待つ時間が少なくなります。その為、単発でも速いタイムを出していく必要がある為、ライダーの純粋なスピードがより重要になります。
予選は新チームでの参戦となるA.カネットがポールポジション。鳥羽海渡が自己ベスト3番グリッドを獲得!
新しい予選形式により、フリープラクティス3までの総合順位が15位以下のライダーでQ2進出をかけたQ1が行われました。
Q1に参戦する日本人ライダーは4人。去年成長を見せた佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)、フル参戦初年度のルーキーの小椋藍(Honda Team Asia)、今年Moto3クラス5年目の鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)、そしてイデミツ・アジア・タレント・カップとレッドブル・ルーキーズ・カップで経験を積んできた山中琉聖(Estrella Galicia 0,0)がセルジオ・ガルシアの代役として参戦します。ガルシアは現在15歳で、Moto3出場年齢制限の16歳以上に満たしていない為、次戦アルゼンチンGPからデビューすることになっています。
Q1では去年シーズン途中からの参戦ながら、いきなり表彰台に乗ったセレスティーノ・ヴィエッティ(SKY Racing Team VR46)がトップタイムを記録。2位にはジョン・マクフィー(Petronas Sprinta Racing)、3位にルーキーの小椋、4位にラウル・フェルナンデス(Sama Qatar Angel Nieto Team)が入り、Q1上位4人がQ2進出を決めました。
鈴木はQ1で惜しくも5位、佐々木はセクター2まで全体ベストを記録しながらもセクター3の10コーナーで痛恨のミス、8位でQ1敗退となってしまいました。急遽代役参戦となった山中は11位でQ1を終えています。
Q1結果
フリー走行3回目までの上位14名とQ1上位4名の18名で行われたQ2。アロン・カネット(Sterilgarda Max Racing Team)と今年からMoto3に復帰したロマーノ・フェナティ(Snipers Team)の事前テストで速さを見せていたふたりがQ2でも速さを見せます。
まずトップタイムを出したのはフェナティ。しかしウィークを通して好調の鳥羽がフェナティのタイムを更新しトップに躍り出ます。
残り4分30秒でカネットが鳥羽のタイムを更新したところで、各車ピットに入りラストアタックに備えます。
続々とライダー達がピットから出て行きますが、フェナティはコースに戻るタイミングを誤り、ラストアタックが出来きないという痛いミスを犯してしまいました。
ラストアタックではロレンソ・ダラポルタ(Leopard Racing)がセクター3までカネットのタイムを上回るタイムを更新するも、セクター4でアタック中の集団に引っかかってしまい、カネットのタイムを更新することが出来ませんでした。
結果カネットが久々のポールポジションを獲得!マックス・ビアッジが率いるSterilgarda Max Racing Teamにとっては、デビュー戦でのポールポジション獲得となりました。
2位にはダラポルタ、3位には自己ベスト更新となる鳥羽が入りました。Q2から予選に臨んだ真崎一輝(BOE Skull Rider Mugen Race)は13位、Q1から進出したルーキーの小椋は15位からのスタートとなりました。
Q2結果
鳥羽海渡が快挙!日本人ライダーとしてMoto3クラス初優勝!!!
序盤はカネット、ダラポルタ、アルベルト・アレナス(Sama Qatar Angel Nieto Team)、トニー・アルボリーノ(Snipers Team)で先頭集団を形成します。
しかし後続を引き離すことが出来ず、5位のヴィエッティ以下が先頭集団に追いつきます。5周目には佐々木、真崎、デニス・フォッジア(SKY Racing Team VR46)が絡む多重クラッシュが発生。佐々木はクラッシュに巻き込まれる形となりました。
スタート直後で大きく交代してしまった鳥羽でしたが、6周目には2位まで順位を回復し、さらに一気にトップに躍り出ます。
ダラポルタ、カネットを相手に常にトップ3に位置どり冷静に周回を重ねる鳥羽。そこに予選で下位に沈んだフェナティが先頭集団に加わってきます。
しかし残り5周、フェナティにコース外走行に対する警告が出されると、フェナティは6コーナーに設置されたペナルティコーナー(2〜3秒ロスする大回りのコーナー)でペナルティを消化し大きく後退してしまします。
終盤、ダラポルタのチームメイトであるマルコス・ラミレス(Leopard Racing)も加わりますが、ファイナルラップは鳥羽、ダラポルタ、カネットの3名の戦いに。
ファイナルラップの1コーナーで鳥羽がトップに立ち、ダラポルタも狙いますが鳥羽が死守。しかし再び12コーナーでダラポルタが首位に立ち、残りは最終コーナーへ。
2位につけた鳥羽はダラポルタのスリップストリームを使ってトップでゴール!!
軽量クラスでは2007年カタルーニャGPで優勝した小山知良以来、12年ぶりの優勝。Moto3クラスになってからは日本人ライダー初の優勝となりました!
決勝結果
2019年の開幕戦は我々日本人にとって嬉しい嬉しい幕開けとなりました。鳥羽の覚醒もそうですが、この優勝は他の日本人ライダーに火をつけることでしょう。次戦のアルゼンチンも目が離せません!!