4週間後の3月14日、フロリダ州での第一戦"デイトナTT"を皮切りに、今年は全18戦を予定するAFT: アメリカンフラットトラック = 全米プロダートトラック選手権。今期2019シーズンも昨年同様、各地の四輪用オーバルを積極的に活用したショート〜ハーフマイルレース+バラエティに富んだトラックレイアウトが魅力のTTレースから、新たなファン層の獲得を狙う目論みのようです。というわけで本日は、先日発表されたばかりの、開幕戦デイトナTTのトラックレイアウトを見てみましょう!

えっマジ?今年はペイブメントも組み込むの?それどんなスーパーモト??

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。2016シーズンまで、ショートトラックとTT戦は単気筒450cc、ハーフマイルとマイルレースは大排気量2気筒マシンで競われた全米プロダートトラック選手権のトップカテゴリーなんですが、2017年からは、全てのトラックカテゴリーを2気筒車で戦うレースフォーマットに変更されました。

以前はダートトラックの開幕戦デイトナといえば、2晩続けて開催されるショートトラックでの2連戦 = ダブルヘッダーが既定路線でしたが、GNC 改め AFTへ、シリーズ名称までをも含めた大改革が進められた一昨年からは、それまでよりはるかに多くの観客収容が可能な四輪用トライオーバル "インターナショナルスピードウェイ" のホームストレッチ側、芝生のエスケープエリア(400m x 80m)を使用するハイスピードなTT戦 (=全車前ブレーキを装備しオーバルレイアウトに右ターンが組み込まれる) が行われる形式へと変わっています。

半月型グリーンのエスケープエリアがAMAスーパークロスとAFT: American Flat Track公式戦の会場となる。

2017以前のデイトナでのダートトラック (=ショートトラック)レースは、この巨大なレース場から約5マイル離れた、市営フットボールスタジアムのトラックフィールドに白砂を運び込んで毎年仮設された時代と、その後スピードウェイの外周沿いに造られた常設トラックで行われた時代があります。

AMA Daytona Short Track Terry Poovey

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Bryan Smith's Best Finish At The New Daytona Flat Track

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一昨年からスタートした新たなTTレイアウトでは、回を重ねるごとに "より大きく・より激しく・より速く" 見応えのあるレーストラックがコンセプトとして期待される傾向ですが・・・数日前に発表された2019開幕戦のレイアウトは、ついに芝生エリアを飛び出し、NASCARでも使用するバンクのついた舗装部分をもその一部として取り込むことになったようです。

以下のイメージムービーでは、時速60マイル+での飛び出しが想定されるシングルジャンプや、特徴的な右ターン (=伝統的に "ライトハンダー" と呼ばれます) を含めたTTならではのレイアウトを見ることができます。

BREAKING NEWS: 2019 DAYTONA TT TRACK DESIGN!

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過去にほとんど前例のない、アスファルト舗装路とダート部分の混在する今回のレーストラックは、これじゃあまるでスーパーモト = モタードじゃないか!? といった、ネガティブな評価もすでに起こっているようですが、"前ブレーキを装備したダートトラックフォーミュラのマシンで競うのだからこれもまたTTレースだろ" という、主催側からの明確な開き直り?を感じ取ることができますね。

昨シーズン2018AFT開幕戦の当コラムでの解説は以下からご覧ください。

3月9日開催のAMAスーパークロスからたった数日でトラックを造成!

デイトナTTの5日前、3月9日にはアメリカで大きな人気を誇るスタジアム・モトクロスのビッグイベント、AMAスーパークロス第10戦が、AFTと全く同じ敷地での仮設トラックで開催されることになっています。昨年に引き続きMX界のレジェンド、リッキー・カーマイケルがレーストラックをデザインし、およそ600トンの土を持ち込んで造り上げられるこちらのレースも盛り上がること必至ですが、ダートトラックレースのコアなファン層には、その後5日でどのようなTTトラックが姿を現すか、トラックビルドの達人たちの裏方仕事からも目を話すことができません。

"ペイブドオーバル" = アスファルトでの貴重な90'sレース映像がコチラ!

M.A.R.S Motorcycle Racing

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アメリカでは舗装路を使った "フラットトラックレース" にも、前例はあります。1990年代から2000年代初頭にかけて企画された "M.A.R.S. = Motorcycle Asphalt Racing Series" と称するシリーズがそれです。4輪用の舗装 = ペイブドオーバルを使ったド直球コンセプトで、当時はテレビ放映もされたそうですが、"様々な要因" からダートでのオーバルレースほど人気を得ることはならず、現在は開催されていません。

こちらも変わり種。ペイブドオーバルを使ったAMAスーパーモトレース!

余談の多い今回ですが、こちらは2005年のAMAスーパーモト全米選手権の第5戦、テネシー州ミュージックシティにある "ナッシュビルスピードウェイ" という4輪オーバルを使った、珍しいレイアウトのモタードレースの模様です。※全編45分もあるのでご注意ください。

AMA Supermoto 2005 Round 5

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今回2019デイトナTTへの参戦予定をすでに発表したレジェンドレーサー、ジェフ・ワードの全盛期ですが、#33のJRシュナベル・#727のピアーソン(AFT#27)・#123ダグ・ビーティーなどダートトラックカテゴリーのプロライダーも多く参加しています。

舗装・未舗装を問わず、いずれもオーバルトラックでのシンプルな形態のレースが、より高度に一般的なアメリカならではの多彩な光景だと言えます。4輪オーバルレース文化の未発達な我が国では、我々ダートトラックカテゴリーからの独自のアプローチで、様々な方面に "良い意味での影響" が生じるよう、歩みを止めず前進し続けなければなりません。皆さんひたむきに頑張りましょうね。

American Flat Track in 2018

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ということで全米最高峰・AFTはホボひと月後の3月14日開幕!
ついでに国内ダートトラックレースシリーズのひとつ、筆者主催のFEVHOTS: Far East Vintage Hotshoe Seriesは3月31日に7年目のシーズンインを迎えます。どうぞこちらもご注目ください!


こちらは昨年春先のコラム。我がFEVHOTSのセルフプロモーションは次週以降また徐々に。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!