継ぎ目が無い? 感じられない???
唖然としました。
高速道路の小さな継ぎ目が消えたも同然。
前後ともサスペンションの初期の動きがまるで違う。細やかすぎて逆に驚きます。
なにかこう、空飛ぶ魔法の絨毯のような感じです。
ストレートに言うと、快適を通り越して、気持ちいい。
さすが、と言うしかないです。
長距離走行での疲れも、まるで違ってくることは確実だと思いました。
しかも素晴らしいのは無駄に堅くないこと。
ちゃんとストリートを走る前提での、優しいセッティングなんです。
レーシングブランドの装備で尖った方向になるのかと思いきや、全然違いました。
ウェット路面なのに……
そのあとに、ちょっと峠道へ。
この時期ですから気温も低い。しかも路面が濡れています。
お世辞にも良いコンディションとは言えません。
それでもエンジンは力強さの塊、怒涛のパワーを発揮する1300ccです。
うかつにスロットルを開ければタイヤがズルリ…という恐怖感がつきまといます。
なので最大限にビビりつつ、慎重に走るのですが……
ひとつふたつ、コーナーを抜けてみると『あれ、けっこう大丈夫かも?』となりました。
路面コンディションが悪くてタイヤも温まらないのに接地感があるんです。
初期が優しく細やかなサスは、すこしストロークした先でコシが出ます。
ブレーキは節度感に感動。微調整コントロールの鬼です。
そしてブレーキリリースの瞬間の素直さ。姿勢が変わらず、スッと曲がる態勢に移行する。
おかげで走るほどに、心配が減っていって大胆に(笑)
ヤバい、と思って途中で自制しました。
ウェット路面だということを忘れそうになったんです。
走っていると、気持ちの上で『まだイケる、バイク側に余裕がある』と思えてしまう。
そして、最大の嬉しさは走りがどこまでもCB1300らしいっていうこと!
ボクはすこし勘違いをしていました。
CB1300がオーリンズ&ブレンボ仕様になったら、レーシーな別のバイクになっちゃうような気がしていたんです。
でもこれ、違う!
あくまでCB1300はCB1300のまま。
そのうえで高性能を追加した、ということなんです。
スタンダードよりもわずかに上げられた車高のおかげか、コーナーへの進入は軽やか。
でも軽快さの裏返しでコーナリング中が不安定になるかと思えば、そんなことはありません。
バイクを寝かせた後も高級サスペンションが確実に路面を捉えてくれるので、バンク中の安定感はまさしくCB1300です。
特別なライディングスキルは必要なし。
スタンダードと変わらない、みんなが楽しめる走り!
なぜか悔しい気持ちがありますが……完全にやられました。
このバイク、スゴい。
CB1300が持つ迫力と上質の走りを、限界まで磨いてある印象です。
乗っていると時間を忘れる。
いつまでも走っていたい。
止まるのが、降りるのがもったいない。
この感覚はスタンダードのCB1300にも共通しますけど、それがさらに強くなっています。
この季節は日が暮れるのも早いですけど、あっという間の夕方でした。
CB1300専用セッティングで設計された足周り、完全に惚れた。
もちろんスタンダードのCB1300だって充分以上に素晴らしいんです!
でも今日、SPを知ってしまいました……
これは、言うなればもう一段上のホンダCB1300の世界なんです。
ちゃんとCBらしく。ちゃんとホンダのフラッグシップらしく。
そこをSPは間違えていません。
スタンダードとの価格差は36万7200円。
パーツ代だけでも、それくらいになるでしょうね。
しかもSPは、その装備をホンダのエンジニアが、CB1300らしさを失わないように精緻に仕上げてくれているんです。
ホンダがホンダらしく、メーカー純正カスタムをすると、ここまでになるのか。
……とはいえ、185万円以上の価格はやっぱり高いです。
乗った後では、この完成度なら安いと感じてしまう自分もいますが、現実的な部分もあるんです。
でも!
おカネがあるなら、買えるなら、SPのほうが絶対に良い。
もっとCB1300を好きになれるし、間違いなく長く愛せる。
本当にスゴいよ、ホンダのCB1300。
もう羨望のため息しか出ません……やっぱりCB1300は最高のバイク、です!