75年10月の免許制度改定によって400㏄までの中型二輪免許が新設され、401㏄以上の大型二輪には運転免許試験場の限定解除試験をパスしなければ乗ることができなくなってしまう。この試験は平日の日中にしか実施されず、しかも合格率が極めて低かったため、新規に二輪免許を取るユーザーは、簡単には大型バイクに乗れなくなってしまった。当時は、今以上に大排気量車への憧れが強かった時代。必然的に中型免許上限の400㏄クラスに人気が集中し、メーカーもその開発に力を注ぐことになる。そんな状況にくさびを打った250ロードスポーツの歴史、8回目の今回はHONDA VT250 SPADAをご紹介したいと思います。

HONDA VT250 SPADA(1988年12月)

(オートバイ©モーターマガジン社)

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●水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒●249cc●40PS/12000rpm●2.6kg-m/9000rpm●140kg
●100/80-17・140/70-17●49万8000円

VT250Fから受け継がれた、パワーと信頼性を兼ね備えた水冷90度Vツインを、世界初のアルミ鋳造中空フルキャストフレーム・CASTECの採用によるスタイリッシュな車体と組み合わせた軽快なクォーター。広告キャラクターに起用されたのはF1ドライバーのアイルトン・セナだった。

「街乗りでも本当の意味での楽しめるバイクを作りたい」をコンセプトに開発されたSPADA。最高速や加速性能など、スペックとしての性能よりも、バイクの原点である「乗る楽しさ」を重要視し、ライダーが日常のライディングで得られる爽快感や、満足感といった感覚の部分を突き詰めたモデルとなり、多くの一般ライダーにバイクに乗る楽しさを再認識させた1台となりました。