1995年に講談社の「週刊ヤングマガジン」で連載が開始された、しげの秀一先生の永遠の名作「頭文字D」。限りなくリアルなバトル描写や迫真のスピード感。すべてのクルマ好きの夢が詰まったDの世界を色々な方向から徹底解説していきたいと思います。
FF化されるも動力性能はアップ。そして、二十数年の時を経てハチロク復活
(頭文字Dファンブック©しげの秀一©講談社©モーターマガジン社)
ここまでFRスポーツの雄、ハチロクの魅力を紹介してきたが、1987年5月、フルモデルチェンジで全てが一新、型式はAE86からAE92(キューニー)へ。そして、デビュー前から噂されていた、FRからFFへの大転換が行われたのだ。
筑波サーキットでは新旧対決企画を決行。AE92はスーパーチャージャーを搭載したレビンGT‐ZとNAモデルのトレノGTアペックス、ハチロクはトレノGTアペックスが走った。GT-Zがハチロクのベストラップ1分16秒97を大きくしのぐ、1分13秒75をマーク。過給器付きでNAとの馬力
差があるとはいえ3秒以上の大差を付けられてしまった。
さらにNAのAE92トレノも1分16秒90と僅差でハチロクを上回った。車両重量はハチロクより90㎏増となったが、ワイドトレッドと独立懸架の足周りの向上で重量増を相殺。前輪の接地性は高く、コーナーアペックスからのパワーオンでは、FFとしては抜群といえるトラクション性を発揮しながらグイグイ立ち上がっていった。
AE92 TRUENO GT-Z(1987年5月)
AE101 TRUENO GT-Z(1991年6月)
AE111 TRUENO BZ-V(1995年6月)
TOYOTA 86 GT Limited(2012年4月)
1995年6月に最後のレビン/トレノとなったAE111が登場したのち、テンロク・スポーツクーペとしてのレビン/トレノの歴史は終了しました。しかし、2012年4月、「スポーツカーとしてのハチロクのスピリットを継承する」ことをコンセプトに、トヨタとスバルの共同開発のFRスポーツ、トヨタ
86とスバルBRZが誕生しました。トヨタ86 とスバルBRZ のメカニズムの違いは、サスペンションセッティングのみで、その他は世界共通スペックとして発売されているこの2台は、「21世紀のハチロク」として、ドライバーとあらゆる走りのフィールドによって成長するスポーツカーを目指して現在も進化し続けているのです。