2005 YAMAHA YZR-M1:
フルモデルチェンジした05型は熟成ではなくすべてにおいて完成型
(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016@モーターマガジン社)
2004年の初タイトルのあと、2005年に向けて前向きの課題を明確 にしていたヤマハ開発陣。より高い次元でのハンドリング性能と安定感の両立、加速性能とトップパワー、そして燃費の向上、雨や強風などの悪条件下での性能維持などだ。結果としてフルモデルチェンジされた2005年型のM1は、不等間隔爆発の4バルブヘッドの基本はそのままに、ショートストローク化による高回転化とフリクション・回転ロスを軽減するためのカムギアトレーンを採用。ミッションをシリンダー背面に背負わせる新2軸配置とすることで、前後長を約10mmも短縮している。
当時バレンティーノ・ロッシ選手がM1史上最も戦闘力が高く美しいモデルだと絶賛していたバイクで、その言葉が表現してる通りシリーズチャンピオンを獲得した。ロッシ選手がYAMAHAに移籍し、2年連続のシリーズチャンピオン、そしてコンストラクターランキングも1位という快進撃は、いったいどこまで続くのか!?誰もがワクワクしたシーズンだったのではないでしょうか。
2006 YAMAHA YZR-M1 :
フライバイワイヤーを新採用 ドライバビリティも大幅に向上
(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016@モーターマガジン社)
エンジンはいっそうの高回転・高出力をめざしてボア×ストロークを変更。4気筒すべてのスロットルバルブを電子制御するフライバイワイヤーも新採用。スロットル制御、エンジンブレーキ制御、ウィリー制御、トラクション制御などのエンジンマネジメントシステムの熟成で、最終仕様で約5PSアップと扱いやすさを向上している。リアアーム接合部周辺を新設計し、ブレーキング安定性を高めた。
最高の仕上がりだった2005年モデルからの改良型という事で、誰もが完璧だと信じて疑わなかった2006年モデルは、旋回性や操作性の向上を目指していく中で、車体の剛性バランスを崩してしまい、チャタリングに悩まされるという厳しい問題を抱えたマシンとなってしまった。そして、その問題の解決にシーズンの前半戦を使い果たす結果となり、ロッシ選手のシリーズランキングは2位で留まったものの、YAMAHAにとって厳しいシーズンとなった。