2015年11月22日(日本時間22日)、古豪ミゲール・コットと若き新鋭 サウル・アルバレスのWBC世界ミドル級タイトルマッチが、マンダレイ・ベイ・イベント・センターで行われた。
いつものとおり、WOWOWがライブで素晴らしい中継をしてくれるので、その経過を報告しよう。
(関係ないが僕は解説のジョー小泉さんのファンで、一度大阪でご挨拶をさせていただいた経験もあるのだ。根っからのWOWOWエキサイトマッチのサポーターといっていい)
ミゲール・コット(プエルトリコ) 44戦 40勝(33KO)4敗 173cm
サウル・アルバレス(メキシコ) 47戦 45勝(32KO)1敗1分 175cm
メイウェザーの引退を受けて、ボクシング業界、ファンの間では次のスーパースター、真のパウンドフォーパウンドを決めたいという機運が高まっている。いまのところはミドル級の絶対王者ゲンナディ・ゴロフキンを推す声が大きくなっているが、その彼に立ちふさがる候補の二人が、今回対決したのだ。
中量級戦線、いやパウンドフォーパウンドの座を決定づけていく重要な一戦
2013年9月にフロイド・メイウェザー・Jr.に挑戦し、一度は敗れたメキシコの若き天才ボクサー サウル・アルバレス(25歳)が、もはやヴェテランの域にある、4階級制覇の古豪ミゲール・コット(35歳)が持つWBC世界ミドル級王座を狙って挑戦。
とはいえ、前日にWBC側との金銭契約問題(タイトル承認料の支払いを拒否したためらしい)で、コットはタイトルを剥奪されたうえに、この試合で勝ってもタイトルを手にすることはできない。もちろんアルバレスが勝てばチャンピオンとなる。
しかし、この二人の激突はもはやそんなことは関係ない。ヴェテランと新鋭の剛腕対決自体をファンは楽しみにしていたからだ。
また、この二人の勝者はおそらくゴロフキンとのスーパーファイトの相手に指名されることは間違いがない。二人ともミドル級としては身長が低いほうだが、アグレッシブさやパワーでは超一級の二人だ。どちらが勝ち残ったとしても、ゴロフキンの相手としては申し分ない。
ただ、コットは体格に自信がないようで、ゴロフキンへの挑戦には及び腰なのかもしれない。それがWBCとのトラブルの原因なのではないかと勘ぐるが、まあそれはいったん置いておこう。
センスとパワーを上回る”闘志”を持つ二人の激突は12ラウンド 判定へ
いつのまにか、カネロ(シナモン、という意味だという)というニックネームが浸透したらしいアルバレス。メキシカンには珍しい赤毛からのあだならしい。
そのアグレッシブなスタイルと、高いKO率からメキシコでは太陽と呼ばれるほどの人気だ。ボディや顔面を打ち分ける器用さと、一撃でも相手を倒せるパワーを併せ持つ。
コットは一時は連敗して引退の危機かと噂されたが、階級をあげつつ復活してきたしぶといボクサーだ。全身のタトゥーと坊主頭、険しく厳つい顔だが、意外なほどのテクニシャンである。試合は両者ともに良いコンディションを思わせる展開で進んだ。
速い動きで相手を幻惑する試合巧者のコットと、身長こそ平凡なものの 恵まれた体躯から発生させるパワーで押しまくるアルバレス。
アウトボクシングに徹しようとするコットとインファイトに持ちこうとするカネロのスリリングな展開。一進一退でラウンドは進み、互いにダウンシーンはなく 最終ラウンドのゴングを聞いた。
そして、最終的な勝者は、
サウル・カネロ・アルバレス。
3対0の完勝で、WBC世界ミドル級の新チャンピオンの座を獲得した。
ゴロフキンとのスーパーファイトは実現するか?
さて。
会場にはゴロフキンの姿もあった。
彼の目には両者のファイトはどう映ったか。与し易いと思ったか、それとも意外に手強いぞと考えたか。
早ければ年内、遅くとも3月までにはゴロフキン の次の対戦相手は決まるだろうと思われる。果たして、ゴロフキン対アルバレスのスーパーファイトの実現はなるだろうか。期待して待ちたい。