「翼をください」は、フォークグループ「赤い鳥」の曲で、合唱曲としても有名です。皆さんも子供の頃に歌われたことがあるのではないでしょうか? 閑話休題? 今年のモトGP日本ラウンドの予選では、ドゥカティが4枚羽のウイングをフェアリングに装着して、注目を集めましたね。

2010年から精力的にトライを繰り返すドゥカティ

4輪レースの世界では、主にダウンフォースを得るためのデバイスとしてウイングはポピュラーですが、車体姿勢がリーンするモーターサイクルのロードレーサーで、ウイングってどれくらい有効なの・・・と疑問に思う方は多いと思います。

今年のツインリンクもてぎでのA.ドヴィツィオーゾ(手前)とA.イアンノーネのドゥカティ・コンビ。ドヴィツィオーゾは4位、イアンノーネはメカニカルトラブルでリタイアという結果でした。

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イアンノーネ車に装着された4枚ウイング。

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ドゥカティ・ファクトリーは、ここ数年ウイングの有効性を追求していますが、今の所は試行錯誤といったところなのでしょうか? 最近では、ヤマハ・ファクトリーもコレにトライするなど、これからウイング効果の追求が、ロードレースでのトレンドとして定着するかもしれません?

2010年、ケーシー・ストーナーのドゥカティ最終年の中盤から、ドゥカティはウイング装着をスタートさせています。

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2015年ミサノから、ヤマハもウイングをテストしています。効果がありそうなものは、どこのファクトリーやレーシングチームも試してみるのが当たり前のことなのかもしれません。

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意外に古い、ウイング効果追求の歴史。

実はウイングをロードレーサーへ装着する試みは、かなり昔から行われていました。1974年にはMVアグスタが開発。しかしプラクティスのみの走行で、GP本戦は走りませんでした。その他にはヘロン・スズキも、バリー・シーンらのマシンに翼を与えています。

2009年のスパ、「バイカーズ・クラシック」に登場した1974年型MVプロトタイプ。立派なウイングが付いています。

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ヘロン・スズキ3人衆。左からトム・ヘロン、スティーブ・パリッシュ、そしてバリー・シーン。

1999年のヤマハYZR500(0WK1)。シーズン中盤からマックス・ビアッジ車に装着され、フロントの接地感が増した・・・とリポートされていました。

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ちなみに量産車でも、わずかではありますがウイング装着例があります。2000年のカワサキZX12Rは、フェアリング側面にちょこんと小さなウイングをつけています。

最速公道車の系譜を受け継ぐモデルとして登場したZX12R。モノコックフレーム、空力を追求したボディーワークが話題を集めました。

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そのルーツは「くちばし」?

こちらはウイングではありませんが・・・なんらかのデバイスでダウンフォースを得る、という試みを遡ると、そのルーツは1950年代のモト・グッツィのグランプリバイクになるのかもしれません。前輪を覆う「ダストビン・フェアリング」が定着するまでの間、モト・グッツィは風洞実験で空力を追求した、独特な形状のフェアリングを採用していました。その形状から「バード・ビーク」=鳥の嘴(くちばし)と呼ばれています。

1954年の350ccクラスを制覇した、ファーガス・アンダーソンの350ビアルベロ(空冷単気筒DOHC2バルブ)。フロントフェンダーを兼ねたこのくちばしが、最初期のエアロ・デバイスと言えるのではないでしょうか?

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ウイングが今後、ロードレースの標準装備的デバイスになるかどうか・・・はまだ定かではないですが、公道車も含め今後どのように発展していくか、非常に気になりますね。