二言目には痩せたい、という子が多いのはもううんざり。私の言葉ではない。これは私の友人の女性が、二杯目の赤ワインのグラスから唇を離すと同時に言い放ったものだ。
彼女の名は、仮にF香としておこう。
F香のことは実は前にもここで紹介している。
彼女は身長168センチ。細身のカラダなのに大きな胸と張り出した腰、おまけにすらりとした脚をしている。男からは欲望の、女からは羨望の視線を浴びることに慣れている女性だ。
彼女が言うには、ほとんどの女子がダイエットについて間違っている、という。
まず食事を抜けばね、ガス欠の車みたいなもので、カラダは燃焼しないわ、と彼女は一口ワインを飲んでから言った。カラダが燃焼していなければ体温も上がらないから病気にかかりやすくなるし、基礎代謝が低くなって痩せにくくなるのだという。「食べ過ぎはよくないけど、十分な量の食事は必要よ」
痩せるというのはカラダがシュリンク、つまり縮小していくことであって、体重が減って喜んでいるのは意味がわからないと彼女は指摘する。
「大切なのは痩せることではなくて引き締めることでしょう?メリハリをつけて、大きく見せたいところは大きく、細く見せたいところは細く。男の人だってそのほうがいいでしょ?」
ほどよい筋肉がないとメリハリが出ない
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量より質。そしてタイミング。セックスと同じでしょ?と彼女
食べすぎは論外としても、実は量より質、そしてタイミングが大事だ、とF香は言った。
「基本は三食ちゃんと食べること。モデルはよく六食食べると言って、小刻みに少量ずつ食べるんだけど、普通の人はそんなことできないもの」
まず朝だけど、とにかくコップ1-2杯、ミネラルウォーターを飲むこと。あとはヨーグルトとフルーツで十分。それでは足りないというなら、小さめのパンを食べることは問題ないわ、彼女は言った。「ただし食パンはダメ。白いパンはだめなの。なるべくならブラン(=大麦)がいいけど、なくてもクロワッサンみたいなパンでもいいわ」
「クロワッサンとか油っぽくないかい?」と私。
「大量にとるわけではないからいいのよ。それに、油も潤いには必要よ。なるべく良質なオリーブオイルが体にはいいけど、あまり気にしすぎることもないわ。というか、あなた、肌がかさついているわよ、オイルが足りないんじゃない?」
「脂肪を減らすのに油は厳禁じゃないのか?」彼女が左手を伸ばして頬を触ろうとするのを避けながら、私は聞いた。
「脂肪はむしろ、油からではなく炭水化物、お米とかパスタとか、お蕎麦とかうどんのような主食の取りすぎを問題にすべきなの」そのあたりは徐々に話すわ、と彼女は言った。
とにかく、と彼女は右手でバーテンに三杯目のワインをオーダーしながら「朝はちゃんと食べないとダメ。ヨーグルトは腸の調子を整えるわ。腸の調子が悪いと肌荒れの原因になるの。それから。それからフルーツ。りんごとか、グレープフレーツとかがいいけど、朝のフルーツはなんでも食べていいわ。逆に夜、フルーツを食べると糖分の取りすぎになるから避けたほうがいいわね」
とにかく、とまた彼女は言った。
食べる量より、質とタイミング。そんな食べ物をどのタイミングで摂取するかが大事なのよ、アレと一緒でしょ?、と笑った。「あとは運動ね。筋肉はトレーニングしなければ増えないから、食べ物だけに気をつけても素敵なカラダにはなれないわ」
F香に何があったかはまだ分からないが、当分ダイエット話を酒の肴にし続けたいらしいのだ。と、いうわけで、この話題、しばらく続けてみようと思う。
では、また。近いうちに。