瞬時に最大限の性能を引き出したいスプリンターの貴方に翼を授けちゃう?
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。寒さも日に日に増す師走のこの時節、皆様いかがお過ごしでしょうか?今回取り上げるタイヤウォーマーのこと、今までの当コラムで筆者は意図的にあまり触れてきませんでしたが、短ければ10数周、スタートからわずか数分後には勝敗がキッパリと分かれるスプリント・レースとしてのダートトラックでは、グリッドについて全車一斉に発進する緊迫の瞬間からベストパフォーマンスを発揮するまでの "アゲ時間" を可能な限り圧縮することが求められます。
静止状態・速度ゼロスタートからレーシングスピードに到達するまでの加速時間しかり、グリップレベルを左右するタイヤ表面温度・ターン中などたわみ率に大きく関わる空気圧、そしてもちろんライダーの勝利へと向かう集中力だって、グリーンシグナルで走り出してから徐々に上げるのなんて無理ムリです。ぼやぼやしてるとレース終わっちゃいますよ?
ピットエリアでのんびりエンジンを始動してゆるゆるとコースイン、完熟走行から徐々にペースを上げつつ路面の様子をよくよく観察し、他の走行者といくらか距離を置いてクリアラップやスペースが確保できたらいざスポーツ走行開始!そして疲れてきたらレコードラインを外れ少しペースを落として息を整え、また頃合いをみてぐいぐい走り出す、そのようなファンライド的スタンスでの走行なら、精度の高いマシンのパフォーマンス管理は難しいですし (仮にタイヤウォーマーを使ってもいざ本気で走り出す前にタイヤ冷えちゃうでしょうね) 、さして必要性を感じないアイテムかとは思います。
排泥性・コンパウンド性能・空気圧とタイヤへの外的加重によるたわみ量という大きく3つの条件を乗り手あるいはチューナーが巧みにコントロールすることを要求されるダートトラックコンペティションタイヤは、19インチでタイヤトレッド幅もオンロードバイクほど前後輪で大きな差がなく (サイズ表記のうえでは幅120〜140程度) 、17インチの一般的なロードレース用タイヤウォーマーはもちろん使えませんが (排気量や車格に合わせて前後セット売りが基本) 、実はアメリカで主に販売されているメジャーブランドでは、前後同じ幅で19インチサイズの "フラットトラック仕様" の製品をラインナップしていることが結構多く (小排気量向け17インチ同幅のものさえ) 、そのうちのいくつかの製品は日本でも正規代理店を介して購入することが可能です。
ごくごく稀に、我が国のフリマサイトとかインターネットオークションでも、フロント19インチのロードレースマシン (ハーレーダビッドソンとか国産旧車カテゴリーなんですかね) を暖めたくて買ったであろう19インチ用タイヤウォーマー前後セット (お約束のようにいずれか1本しか使用歴なし) 中古美品、なんて上物が格安で見つかることもあります。まぁかなり珍しい巡り合わせですけどね。
所詮は土の上だろ?という先入観を捨て "ALL IN" するのが彼岸の流儀
そういう本格的に目を三角的にする道具はいらないわぁ、もっと気楽に乗りたいんだー、という嗜好はもちろんあるでしょうし、レース志向だとてそれら飛び道具を必ずしも使わなければ勝てないわけでもないでしょう。精神世界での自身との対話とか基礎的スキルの飽くなき追求とかで完璧な走りや勝利を目指すサムライスピリットも大いに結構、でも筆者はあちら本場で使っているものなら "本当にそうなのか、どれくらいそうなのか" を知りたくなってついつい味見しちゃうタチなんですよね。
ほら、畑はまた違いますけどAMAスーパークロスのチャンピオン、カワサキファクトリーのライアン・ヴィロポート車も前後チンチンにあっためてますよ。前輪のウォーマーは長さが足りていないようですが、それでも加温する効果と確信 (あるいは革新的チャレンジ?) があるから巻いてるんですよね多分。奥深い趣きだなぁ。やってみたくなるなぁ。あ、筆者は当然持ってますよ。一応。
例によって信じるか信じないかは貴方次第です。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!