エナジードリンクメイカーのサポートライダー2人が、朝からそれぞれ何本飲んだのか (あるいは水筒のガワだけで中身は別物なのか?) クンクンお互い嗅ぎ合っているの図・・・ではありません。ケンタッキー州レキシントンでつい先日開催されたAFTダブルヘッダー "レッド・マイル" の1日目、8周のセマイファイナル・6周目のターン進入で思いっきり接触したジャレッド・ミースとJ.D.ビーチ、パドックエリアに戻るやいなやヒートアップした6歳年上のジャレッド35歳が、J.D.のヘルメットのチンガードをむんずと掴み、"このヤロー危ないマネしやがって今度やったらXXXだぞ!" と恫喝?教育的指導?する瞬間がLIVE映像で全世界に配信されてしまった模様・・・というお話です。

あわやAFT版ウィル・スミス案件か!と思いきや当事者たちは至って冷静?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。まずはなにがあったのか、動画にてご確認ください。AFT公式がこうしてネタにしてるあたり、すでにやや "プロレス臭" を感じますけど・・・コンプライアンス至上の昨今、大丈夫なのか???

Twitter: @americanflattrk tweet

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例のハリウッド案件からもお気づきのとおり、公の場で先に手を出してしまったらその時点ですでに絶対悪・ダメ絶対、と言うように我が国とあちらの倫理感ってやや違いがあるようなんですが、ロードレースとダートトラック双方で活躍する地元ケンタッキーの若き才能・しかもオーウェンズボロのヘイデン・クラン (氏族・一派) 若頭的ポジションでもあるJ.D.ビーチはライディングも立ち振る舞いもクリーンなイメージ、対するジャレッドは10年来のAFTマルチタイム・チャンピオンであるものの、勝ちに拘る貪欲さとアグレッシブな言動から "暴れん坊" 的イメージが長年浸透しています。

一家言ありありのAFT事情通 (現役コンペティターたちに非ず) たちは、この一件から5日ばかりたってもあーでもないこーでもないとSNSやら掲示板で喧々諤々してますが (概ねビーチ派優勢) 、当のご本人たちは至って冷静です。

オーバーテイクを仕掛けたジャレッド側からの視点で解説すると、インを刺された前走者は1台分のスペースを譲り、最低限の安全を担保するのがダートトラックにおける絶対的なスポーツマンシップ・紳士協定であって、今回のようにまったく引かずドアをピシャっと閉めるビーチのアクションに対して (アゴを掴むことは良し悪しだとしても) 直ちに強く抗議し主張するのは言わば当然のこと。

掴まれたビーチにしても、自身の走りに相手へのリスペクトが足りなかったと感じていることはおそらく間違いなく、反論や反撃に出ないあたりからもそれを窺い知ることができます。公道仕様エンジン改で性能面でも一段と磨きのかけられた自車ヤマハMT-07に対し、出力抑制のリストラクションをがんじがらめにかけられたインディアンFTR750があの場面でスパっと抜き切る力の差を有していないこと、タイヤグリップの良好なレコードラインの "狭さ" に適切に対応して位置を取り、クリーンな抜き差しバトルを演出できなかった自身の見立ての甘さも感じているところでしょう。

引かないビーチの実力を認め、当ててもきっと転ばないと信じて入っていったジャレッドの判断のほうに、筆者は確かな王者の風格を感じます。カメラが回ってる前でアゴを掴むのも (この場面ではヒール感増すことは承知の上での) 彼一流の敢えてのパフォーマンスでしょう。ハートが強いなぁ。

American Flat Tack

限界を超えて競い合うお互いの信頼関係とは、こんな摩擦からも育まれていくのかな、と改めて強く感じさせた一件でした。あちらじゃアマチュアレースでもパドックでの議論のヒートアップとか拳で相談したりとか・・・全然ありますからね?

パドックで胸ぐら掴まれ逆恨み?コース上でやり返すプロは長年信用されず

筆者が10数年前にカリフォルニアでローカルレースに参加したときのこと、アグレッシブ過ぎるある若手GNCライダーに業を煮やしたベテランのシングルナンバーライダー (つまりGNCチャンピオン経験者) がパドックでキツめに注意をしたところ、カッとなった若手は自転車に乗ったまま大声上げてベテランに歯向かっていき、ブチ切れたベテランに自転車ごと頭上に持ち上げて投げ飛ばされるという "返り討ちインシデント" がありました。

vft.org

そこから映画でよくある酒場の喧嘩みたいな大立ち回りが始まるんですが、ビックリしたのは他のプロたち (メカニックやチーム関係者含む) がワラワラワラっと集まってきて、大勢のキッズライダーやアマチュアたちの視界に入らないように2人を完全に取り囲んでしまったこと (GNCライダーにマシンを借りた行きがかり上、お前も手伝えと言われましたよなんとあの温厚なJRシュナベルにね) 。

プロにはプロの挟持・・・ダーティな部分も含めて・・・時に生命や安全にも関係する以上、白黒はっきりさせなければならないことがあり、それは決して部外者に見せるものではない、というところでしょうか。皆骨身を削ってガチで戦っているのだなぁ、と少しだけ魂を揺さぶられたものです。

投げ飛された若手ライダーはだいぶ我慢がならなかったようで、その後の決勝でベテランをトラック外に押し出してひっくり返し、彼の奥様から中指立てられていました。それやっちゃうとスポーツじゃなくなっちゃうんだよなぁ。やっぱり宇宙人と皆に言われるだけあるなぁ、とガッカリした次第。

あまり報じられることのないプロたちの真の姿はそんな感じですが、はっきり言ってアマチュアだって似たり寄ったりです。"ラフライド" にはハッキリと抗議するし、文句があれば相手を小突くくらいは当たり前。勝った負けたを争う姿勢とアピールに、並々ならぬ貪欲さを感じました。

こちらの国のアマチュアレースでだって、そのくらいギラギラしてくれてもいいですよ?COVID-19禍から抜けて筆者のレースイベントが再開した暁には、パドックでの肉食系 (?) 小競り合いも大目に見ちゃいます。今年の後半あたりとか・・・FEVHOTS的にはそろそろリスタートできますかね? (路面維持の観点からも、日本の夏はダートトラック向きの季節じゃない、と思っています)

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!