今シーズンまで、「FIM エネル MotoE ワールドカップ」のワンメイク競技車両を提供する伊の電動バイクメーカー「エネルジカ」は、今年3月にEVの商業採用の加速を目的とするグローバル企業「アイデアノミクス」に買収され、その傘下に入りました。そして先日、アイデアノミクスとエネルジカの幹部は米ニューヨークに集結し、最初の共同投資家プレゼンテーションを開催。両者の将来への共通ビジョンを披露しました!

ところでアイデアノミスクって、どんな企業なの?

フィンテック(※金融=Financeと技術=Technologyを組み合わせた造語)企業のアイデアノミクスはそもそも2004年に現チェアマンのS.マクマホンが設立した企業が母体ですが、EV商業利用を促進させるというミッションを加速させるようになったのは、近年になってからと言えるでしょう。

昨年彼らは、米カリフォルニア州の商用EV企業のUSハイブリッドを5.000万ドル≒63億2,177万円で、そしてユタ州に拠点を置く商用EV企業のVIAモータースを6億3,000万ドル≒796億5,436万円で買収。その他にも同年中に米国唯一のEVトラクターメーカーのソレックトラック、ワイヤレス充電会社のウェイブなどを買収するなど、精力的に勢力拡大のために買収活動を行なっていました。

また昨年9月には、アイデアノミクスはイタリアの電動バイクメーカーであるエネルジカを買収する以降を公表。そして今年3月に買収が完了したことを明らかにしました。4月11日の米ニューヨーク、タイムズスクエアで多くのアナリストやメディアなどを集めて行われたイベントは、今回の買収によってアイデアノミクスとエネルジカが、どのように発展していくかを説明するために行われたものです。

ニューヨークで最も有名な広告塔ともいえる、ナスダックタワー前に集まったアイデアノミクスとエネルジカの関係者たち。左から4人目の女性が、エネルジカCEOのリヴィア・セヴォリーニです。

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EVolving the Road Ahead・・・なかなかヒネりの効いたイベント名ですね

なお、このイベントの名称は「EVolving the Road Ahead」・・・進むべき道を進化させる、というもの。エヴォルビングという単語に、電気自動車の「EV」をかけているところが、なかなか凝ってますね・・・。

同イベントではセレモニー的に、アイデアノミクスのエグゼクティブ・チェアマンであるシェーン・マクマホン、モビリティ部門プレジデントのロビン・マッキー、そしてエネルジカUSのステファノ・ベナッティがそれぞれエネルジカ製品に乗り、タイムズスクエアでのデモ走行を披露しました。

エネルジカ・エヴァ・リベレに跨るのは、アイデアノミクスのチェアマンであるシェーン・マクマホン。

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シェーン・マクマホン(アイデアノミクス・チェアマン)
「この買収により、アイデアノミクスは電動2輪車の需要増加から利益を得るための、独自の地位を得ることになります。(中略)エネルジカの高性能電動バイク、拡大するディーラーネットワーク、そしてパワートレイン用途は、アイデアノミクス傘下のほかの企業や顧客に車両用途を活用することを可能にし、エネルジカの次の成長段階をサポートします」

エネルジカ・エゴ・トリコローレに乗るのは、アイデアノミクスのモビリティ部門のプレジデントであるロビン・マッキーです。

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ロビン・マッキー(アイデアノミクス・モビリティ代表)
「エネルジカは(※電動バイクの分野で)確立された企業であり、イデアノミクス傘下となったことで多くのものをもたらしてくれます。(中略)同社の技術とソリューションは、当社のほかの事業会社の製品開発を支援します。また当社のサプライチェーンの購買力を結集することで、部品や電池へのアクセスを改善し、より早くエネルジカ製バイクを製造できるようになります。さらに、エネルジカの経験豊富なリーダーシップは、アイデアノミクスの組織全体にとって資産となりますから、彼らが加わることに興奮しています」

ネイキッドモデルのエッセエッセ9によるタンデム走行でデモ走行を披露するのは、エネルジカUS CEOのステファノ・ベナッティです。

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リヴィア・セヴォリーニ(エネルジカCEO)
「エネルジカは複数の業種にわたるEV分野でグローバルなパワープレーヤーを生み出すために、アイデアノミクスの一連の電動化ソリューションを支援できることを嬉しく思っています。(中略)当社のバイクは競合他社よりもパワー、トルク、航続距離に優れており、価格競争力もあるためゼロエミッション・バイク愛好家の多くを取り込むことができるユニークな立場にあります。販売拡大、優れた製品、新しいエネルジカ・インサイドのビジネスユニットにより、他のアイデアノミクス事業会社と手を携えて、パワートレイン部品とモジュール式パワートレイン・システムの新技術を開発していきます」

去る3月30日、エネルジカは電動バイク製作の10年以上のキャリアを活用した、低電圧・高電圧のEV用パワートレイン、バッテリーアッセンブリー、そして技術開発と生産に専心するビジネスユニットである「エネルジカ・インサイド」を発表しています。

以前Lawrenceでは、大手自動車部品メーカーであるヴァレオが、2&4のEVやE-バイクの48Vパッケージ販売計画に関するニュースをお伝えしましたが、開発に多くのコストと時間を要するパワートレインやバッテリー関連技術をOEMとして手っ取り早く供給するビジネスは、電動化を早く進めたい多くの2&4およびE-バイクのメーカーにとって魅力的であることに違いなく、エネルジカ・インサイドもその急増中の需要を満たす新機軸と言えるでしょう。

アイデアノミクスとしては、エネルジカおよびエネルジカ・インサイドの技術と経験を得ることで、他の傘下企業の製品やサービスの開発をさらに推し進める効果を期待しているわけです。そしてエネルジカとしては、この買収によって大きな2輪マーケットである米国でのディーラーネットワークを倍増させることを目標としつつ、市場に投入する製品の開発などを投資や流通能力を強化することができるわけです。

エネルジカ製品に跨ってドヤ顔(※個人の感想です?)をするアイデアノミクスとエネルジカの幹部たち。歩行者の往来が絶えないタイムズスクエア前で、デモ走行を含むイベントができるのは電動バイクのアドバンテージといえるでしょう。

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最近では既に使い古された言い回しになっている観がありますが(苦笑)、今回の買収は両者にとって「ウィン-ウィン」な関係を構築する試み・・・と言えるのでしょう。2輪車ファンとしては、アイデアノミクスの資本力を得たエネルジカが、今後どのような魅力的な2EVを開発し、販売網を広く構築していくかに一番関心が向かいますが・・・ともあれ今後の展開を注視していきたいです!