今週末はホダカ!翌週はヤマハ!搭載エンジン変更可・汎用フレームの元祖
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。まずは100ccクラスのミニ・ダートバイクで基礎を身につけ、上達したら250ccクラスのフルサイズマシンで走りましょう!というのが今日我が国のティピカルな "ダートトラッカーへの道" として示されるようになって久しい (そこからの脱線とか別路線とかを敢えて選ぶケースももちろんあり) ですが、1960年代のアメリカでは、日本製を含め80〜200ccくらいのシングルか2気筒・2ストローク車が、エントリーユーザーに向けたその役を担っていました。
14歳で初めてのモーターサイクルレースに参加したカリフォルニアのビル・バンティヘルトは、以来様々なカテゴリーへと横断的に挑戦しながら、30代で父と共にVanTech社を創設。冷戦下でのミサイル産業の一翼を担うエンジニアリングと金属加工を生業としつつ、好きが高じてレーシングカートのチューニングや市販モーターサイクルのダートレーサー化を引き受けるようになっていきます。
1960年の創業からわずか5年ほどの間にVanTechは様々なプロトタイプ・ダートバイクを作り、66年にはこちらの "モーターサイクルコンバージョンKIT" なる商品を発表。ユーザーが用意するエンジン・ホイール・サスペンションと組み合わせることで、様々なカテゴリー向けのマシンを組み上げることのできる、画期的なフレームキットです。各メイカーのエンジン形状と搭載位置に合致したモーターマウントをオプションとしてVanTechが用意することで、ユーザーは複数のエンジンを用途に合わせて選択し、たとえば週末ごとに積み替えて異なる競技に参加することも、保安部品など補器類をつけて公道へ繰り出すことも可能でした。
気になるお値段は・・・エントリーユーザー向けってことを考えるなら?
このVanTechのコンバージョンキット、メインフレームとフューエルタンクは各仕様で基本的に共通ですが、エンジン・足回り・シートやハンドルバーなどライディングポジションを左右する部分すべてはユーザーの取捨選択と味付け次第。競技それぞれにおそらく外さない方が良い "セオリー" はあれど、創意工夫と試行錯誤は乗り手自身に委ねられます。パッケージ = コンプリートなレーシングマシンを手に入れる以上に、ライダーを育ててくれる乗り物な気がしますがどうなんでしょうね?
大量生産のメイカー製フレームに比べ、当時でもさぞかしお高いことなのだろうと思いきや・・・メインフレーム + スイングアームの定価はなんと$99.95。やっす!・・・いや1960年代とは物価の差が正味8.5倍なので、今日でなら$850 = 96,500円くらい。しかし現地価格10まんえんくらいで軽さとこのスタイルの骨格が手に入るなら・・・組み上げるにはもちろんまだまだ予算は必要ですが・・・若者にだってなんとか手は届くのだろうし、人口増加のきっかけにはなりますよね。
ちなみに今日まで続くVanTech社、1967年発売のコンバージョンキット復刻版を現在でも限定生産していまして、その価格は$1,865だそうです。エンジンなにを選ぶかが悩みどころですが、ちょっと走らせてみたい感じはありますね。そろそろ乗りたい!初歩からやり直し?いや別にそういう訳では。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!