1990年登場の3輪スクーター「ジャイロキャノピー」は、雨天走行にも便利なルーフ一体式大型風防がその特徴で、多くの事業者に高評価とともに迎えられました。そして21世紀になってから・・・2008年型より4ストローク化されたジャイロキャノピーは、依然人気のビジネスモデルとして活躍を続けていますが、この度ついにその電動版がデビューすることになりました!

※3輪スクーター、ジャイロ系の簡単な歴史は、こちらの過去記事をご参照ください。

電池容量を増大させた新型の交換式バッテリーを採用!

今年の3月、ジャイロの電動版であるジャイロ e:(ジャイロ イー)が法人向けに販売されたことは記憶に新しいですが、10月29日より販売されるジャイロキャノピー イーも、やはり法人向け・・・の販売です。気になる価格は71万5,000円(税込)! ICE(内燃機関)搭載の従来型ジャイロキャノピーは57万900円(税込)ですから、その価格差は14万4,100円ということになります。

ジャイロキャノピー イーは、電動の強みを活かした「後進アシスト機能」を搭載しています。傾斜した場所での取り回しに役立つ、嬉しい機能といえるでしょう。なおカラーリングは、「ロスホワイト」と「ファイティングレッド」の2色を用意しています。

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着脱可能なモバイルパワーパックを、2個直列接続させた96V系EVシステムを採用する点はすでに販売中のジャイロ イーと同じですが、ジャイロキャノピー イーでは電池容量を増大させた「モバイルパワーパック イー」を新採用しています。この新型バッテリーは、全てのHonda e: ビジネスバイクにも使用することが可能なので、既存ユーザーもその恩恵を受けらることができます。

容量が増した新型「モバイルパワーパック イー」。既存のベンリー イーやジャイロ イーにも使える互換設計ですが、新旧バッテリーそれぞれ1つずつ・・・計2つを同時使用するのはNGです。旧2つ、新2つ・・・の組み合わせで搭載するのが、正しい取扱方法です。

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ジャイロキャノピー e: 主要諸元
車名・型式 ホンダ・ZAD-EF14 全長×全幅×全高 1,870×700×1,710mm 軸距 1,360mm 最低地上高 95mm シート高 715mm 車両重量 168kg 乗車定員 1名 一充電走行距離 国土交通省届出値 77km(30km/h定地走行テスト値)最小回転半径 (m) 1.9
原動機形式・種類 EF13M・交流同期電動機 定格出力 0.58kW 最高出力 3.2kW[4.4PS]/5,800rpm
最大トルク 13N・m[1.3kgf・m]/2,300rpm
タイヤ 前 90/90-12 44J 後 130/70-8 42L ブレーキ形式 前 機械式リーディング・トレーリング
後 機械式リーディング・トレーリング 懸架方式 前 テレスコピック式 後 ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン 動力用バッテリー Honda Mobile Power Pack e: 2個
希望小売価格 71万5,000円(税込)

その登場は、すでに今年の4月に予告済みでした・・・!?

なお、発売は今秋となりましたが、ジャイロキャノピー イーが登場することはすでに今年の4月には明らかにされていました・・・。「2050年にホンダ全製品と企業活動を通じてカーボンニュートラル達成」という目標が、大きな注目を集めたためジャイロキャノピー イーのことを気にかける方はほとんどいなかった? みたいですけど、4月23日の本田技研工業(株)社長就任会見にて、プレゼンテーション中にジャイロキャノピー イーの姿も公開されていたのです。

三部敏宏ホンダ社長就任会見の、スピーチの中で紹介された2輪電動車ラインアップ拡充のロードマップのなかに、ジャイロキャノピー イーはちゃんと登場していました。

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お客さまの多様なニーズに応えるべく、ビジネス領域にて「GYRO e:」、「GYRO CANOPY e:」を2021年に投入するのに加え、2024年までにパーソナル領域で原付一種・原付二種クラスに3機種の電動二輪車を、さらにFUN領域でも商品を投入していきます。

これまでホンダ2輪のEV戦略は、「B to B(企業間取引)」「B to G(省庁や自治体との取引)」をターゲットに、モバイルパワーパックを活用した電動化・・・でした。このジャイロキャノピー イーの登場で、この初期戦略は一段落・・・となるのでしょうか?

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上記の引用のとおり、ホンダは2024年までにパーソナル領域で原付一種および原付二種クラスに3機種の2EV、さらにファン領域の商品の投入を予告していますが、それらのモデルもこれまでどおりホンダ規格のモバイルパワーパックを使うのか? それとも他メーカーとのコンソーシアム(協業)で標準化した交換式バッテリーを使うようになるのか・・・? 今のところわからないですが、今後のホンダの電化計画に注目したいですね!