あらゆるモノを、戦争の道具として活用しようとするのが軍隊という組織ですが、近年民間市場で急速に販売を伸ばしているEバイクが、軍用にも適していると注目を集めています。21世紀の今、Eバイクは世界各国の軍隊での、「自転車部隊の復権」を促すことになるのでしょうか?

静か・・・なのがウリになるのは、軍用の市場でも一緒です!?

去る9月に英国で行われた世界最大級の軍事見本市"DSEI"=ディフェンス アンド セキュリティ エキシビション インターナショナルにて、米国のポラリスが展示した軍用車「ダガー」が注目を集めました。

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ポラリス・ダガーはいわゆるライト タクティカル ミリタリー ビークル(軽戦術軍用車)ですが、この展示車は、欧州のカスタマー・・・某国特殊作戦部隊の注文に応じ、Sur-Ron製Eバイクを積載できるようになっているのが特徴でした。

近年世界各国の軍隊では、自転車よりも機動性が高く、軍用モーターサイクルよりも静かで扱いが簡単な、Eバイクに対する注目が高まっています。英国のiニュースによると、現在確認されているだけでもデンマーク、UAE(アラブ首長国連邦)、そしてEU加盟国の少なくとも3つの国が、ジープ/クワイエットカットなどのEバイクを、空挺部隊や特殊部隊用に購入しているとのことです。

ジープ/クワイエットカットの軍用Eバイク。ハンドルバーにはライフルホルダーと、作戦行動中に太陽光により充電することを可能にする、ポータブル・ソーラーパネルが備わっています。

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ミリタリーバージョンのベースとなったジープ/クワイエットカットは、2000年に販売されたEバイクです。26インチ径ファットタイヤ、ピーク出力1,500W、最大トルク160Nmの静音モーター、前後サスペンションを採用。ちなみに民間向けモデルの価格は、6,699〜6,899米ドル≒76万〜78万円となっています。

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なおUAEが購入したジープ/クワイエットカット軍用Eバイクの台数は3台で、価格は1台約112万円とのこと。中東の砂漠地帯でのテスト目的・・・ということで、この台数なのでしょう。また詳細は不明ですが、デンマークの空挺部隊にはフォールディング(折りたたみ式)Eバイクも採用されているそうです。フォールディングEバイクとともにパラシュート降下した兵士が、静かに敵陣に忍び込む・・・そんな作戦を想定しての採用なのでしょうね。

まぁ・・・私たちとしては、平和にEバイクを楽しみたいですね

平坦路では人間の足で歩くよりも楽で、軍用馬のような世話が不要・・・ということで、19世紀末に自転車が大量生産されるようになると、世界各国の軍隊は自転車を伝令や偵察などの任務に使うようになりました。

太平洋戦争での、旧日本軍の「銀輪部隊」。1941年のマレー侵攻作戦では銀輪部隊が機動力を発揮し、シンガポール占領に貢献しました。

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第一次、第二次世界大戦後は、悪路での走破性、積載性、航続能力に勝る軍用モーターサイクルや、ジープのような軍用車が偵察任務などで重宝されるようになり、自転車部隊の存在感は先進国の軍隊から薄れていくことになります。しかし、ベトナム戦争ではホーチミンルートの物資運搬に自転車が活躍したり、スイス陸軍が2001年まで自転車連隊を維持したりしています。

静か・・・というステルス性を持つ2輪EVを軍用に活かす試みは以前からありましたが、本格電動モーターサイクルよりも安価で扱いが楽なEバイクの方が、軍用として活躍する領域は広そうで、ポテンシャルは高そうですね。

ともあれ、戦争や紛争といった悲しい文明の使い方ではなく、Eバイクなどの2輪EVは遊びや生活の道具として、楽しんで使いたいものですね・・・。こちらの動画は、Sur-RonカナダのYouTubeチャンネルで紹介された、オーストラリア陸軍のEバイクを使ったテストの様子を収録したものです。ミリタリー趣味の方は、ぜひご覧になってみてください!?

Australian Army is testing Sur Ron bike.

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