若くして母を亡くして父親と二人暮らしの宇佐美みなとちゃんは、父親の再婚話をすんなり受け入れましたが、新しくやってくることになった小学二年生の男の子 光志郎くん(再婚相手の連れ子)の思わぬやんちゃぶりに呆気にとられます。21世紀ならではのシチュエーションで展開するホームコメディですが、登場人物はみんな良い人。心温まる作品です。

とても気立の良い女の子(姉)

早逝した母に代わって家事を切り盛りしてきた宇佐美みなとは気立の良い高校二年生。父親の再婚相手に文句もつけず、新しく家族になることを楽しみに待ちます。さらに、その再婚相手の連れ子についても、可愛い弟がやってくると想像して楽しみに待つのです。
この時点で、みなとちゃんのあまりのいい子ぶりに胸が高まるのはトーマスだけでしょうか?

シングルファーザーとシングルマザーの再婚自体が、もはや大した事件でもないっていう証拠なのかもしれませんが、“新しいお母さん”または“新しい家族”を迎え入れることを、すんなり受け入れてくれる娘(しかも高校一年生!)は、やっぱり珍しいと思うなあ。

ま、それはともあれ、みなとちゃん、弟となる男の子と対面するのですが、これがまた 想像とはまったく違う容姿とキャラ。見た目は愛嬌はあるかもですが、とても美形とはいえず、超個性的な顔立ち。話しぶりもませてるというかひどくやんちゃな性格。
しかも、この当の彼もまた“理想のお姉ちゃん”との出会いを想像していたらしく、どうやら当てが外れたかのようでどこかがっかりした顔をしてるから、なんだか腹が立つみなとちゃんなのでした。

マイペースでやんちゃな男の子(弟)

新しい弟、それが光志郎(こうしろう)君、小学二年生の男の子。

ひどくマイペースで、自分の世界をもった、天真爛漫とも言える一風変わった少年でした。

光志郎くんはそのマイペースぶりを遺憾なく発揮して、転校先の学校でもすぐ友達を作るし、新しい家族であるみなとちゃんたちともすぐに馴染みます。(というか、あまり周りのことを気にしてない?)

本作では、時折り、そうそう彼らはまだ一緒に住み始めたばかりの“わけあり”家族だった、と思い出させてくれるエピソードがありますが、基本的には 明るく良い人たちの、優しく温かい日常を淡々と描くことで進んでいきます。

光志郎くんのマイペースぶりに と惑わされるみなとちゃんですが、血が繋がっていない他人!のような扱いをすることはなく、多少しょうがないなぁと思いながらも、やんちゃな弟に手を焼くお姉ちゃんとしてのポジションを崩すことはありません。

物語の途中に、亡くなった実母の父親、つまりみなとちゃんとは血の繋がったおじいちゃんも登場するのですが、おじいちゃんと孫という関係においては、むしろ光志郎くんとの新しい関係が出来上がっていく様が描かれます。実にハートフルです。

本作は、シングファーザーとシングルマザーの再婚という、ややセンシティブな設定を持つ作品ですが、彼らがどうやって家族になっていくか?ではなく、血の繋がりがなくても速攻で家族となった者たちが紡ぐ、温かくも滑稽な日々を描く素晴らしい作品です。多様化する現代の家族模様はともすると殺伐としたニュースを生みがちですが、本作の持つ温かさは読む者にきっと伝染していくものと思います。

新型コロナに感染するのは困りものですが、こういう優しい気分に感染されるならば大歓迎、そうは思いませんか?