純粋なモーターサイクルのEV(電動車)のみ・・・ではなく、ハイブリッド車そのほか様々な古今東西の「ローエミッション」な2輪車を紹介する連載企画。今回はEM=エレクトリックモーションの電動デュアルパーパス車、ESCAPE(エスケープ)シリーズを紹介します。

現在デュアルパーパスモデルは、エスケープシリーズ3機種にまとめています

2017年にEMは、世界中にインポーター網の整備をスタートしています。そして既存の電動トライアルマシンよりも、多くのユーザー獲得を期待できるモデルとして、E-トレックという公道走行可の電動デュアルパーパスをデビューさせました。

2017年型E-トレック。52Ah/51.8Vのバッテリーを搭載し、航続距離60km、最高速85km/hを可能にしています。また回生ブレーキを備えていました。

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2018年にEMは、フランス警察に電動ポリスバイクを納入しています。ベースはE-トレックです。

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E-トレックは2019年型から、よりオンロード寄りのキャラクターにモデルチェンジされます。ただ、その売れ行きはあまりかんばしくなかったのか、それともCOVID-19パンデミックの影響なのか・・ともあれ現在EMのラインアップからE-トレックは外れ、トライアルのイーピュアと、E-トレックよりオフ寄りのデュアルパーパス、エスケープの両シリーズに整理されています。

エスケープは2016年に初公開され、E-トレック同様2017年型としてリリースされました。フロントアップフェンダーのE-トレックに比べ、エスケープはダウンフェンダーを備えており、トライアルモデル寄りのデュアルパーパスというキャラクターを持っています。

ELECTRIC MOTION EScape

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エスケープシリーズ3モデルそれぞれの特徴は?

2021年、電動トライアルマシンのイーピュアはライト、スポーツ、レースの3種類が用意されていますが、デュアルパーパスのエスケープもベーシックなライト、スタンダード版エスケープ、そして最上級の"R"の3種類がラインアップされています。

エスケープシリーズの最強バージョン、"R"には、トライアルマシンのEM イーピュア・レース同様、油圧ダイアフラムクラッチが採用されています。

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エスケープ・ライトは、トライアルのイーピュア・ライト同様に入門モデルという位置付けで、スタンダードのエスケープに標準装備されているPRB=プログレッシブ・リジェネレイティブ・ブレーキと、PELS=プログレッシブ・エレクトロニック・レバー・スイッチはオプション扱いです。

そしてトライアルの最上級版イーピュア・レースに油圧クラッチが採用されるのと同様、エスケープの最強版の"R"にも油圧クラッチが与えられています。

2021年型エスケープ"R"。

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2018年にEMは、世界中のマーケットで2輪EV1,000台販売を達成しています。2019年にこの数字は1,500台以上まで伸びましたが、この成果が示すとおりトライアルマシンよりも多くの人に馴染みやすいデュアルパーパスを用意するというEMの戦略は、見事成功したといえるでしょう。

こちらの動画は、EMの工場と2021年型モデルを紹介する興味深い動画です。ぜひチェックしてください!

EM - Reportage Auto-Moto TF1 avec Bader Benlekehal

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エレクトリックモーション エスケープ"R" 主要諸元 ※2021年型
バッテリー リチウムイオン式 50.4V 容量 2,620Wh ライフサイクル 1,000回 充電時間 4.25Hours w/15A標準充電器(3.25Hours w/25Aオプション充電器) 航続距離 38マイル(61.2km)定格出力 6kW 最高出力 11kW クラッチ 油圧式
フレーム 15CDV6スチール スイングアーム アルミ合金 サスペンション 前 テックレーシングアルミニウム 6.9インチ(175.3mm)トラベル 後 R16V 6.7インチ(170.2mm)トラベル タイヤサイズ 前 2.75-21 後 4.00-18 ブレーキ 前 182mmディスク 後 150mmディスク 車重 85kg ホイールベース 52.2インチ(1,325mm) 最低地上高 12.6インチ(320mm)シート高 32.3インチ(820mm)