純粋なモーターサイクルのEV(電動車)のみ・・・ではなく、ハイブリッド車そのほか様々な古今東西の「ローエミッション」な2輪車を紹介する連載企画。今回はかつてスズキから製造販売されていた電動スクーター、スズキ「e-Let's」/e-Let's W をご紹介します。

実証実験を経て、2012年1月に発売!

スズキの電動スクーター「e-Let's」(イーレッツ)は、2011年末に発表されたモデルで、2012年1月9日より「e-Let's W」とともに発売されました。

スズキe-Let'sは回生充電が可能な高性能インホイールモーターを、ユニットスイング式にレイアウトしています。

ベースになったのはICEVの「レッツ4バスケット」で、従来の内燃機動力のスクーターからの乗り換えも違和感なくできるように作られており、その車両重量は「レッツ4バスケット」より2kg軽くなっていました(装備重量72kg、専用充電器を除く)。

レッツ4バスケット譲りの、ロール式シャッター付の25Lフロントビッグバスケットを標準装備。シート下の空間をバッテリーや充電器に譲っても、バスケットで収納能力をカバーしているわけです。

e-Let'sとe-Let's Wの違いは・・・車両そのものの違いではありません。標準のe-Let'sはシート下に着脱式のリチウムイオンバッテリー1個と専用充電器を装備しますが、Wは航続距離を伸ばすためにバッテリーを2個搭載した仕様になっていました。

状態を監視するBMU(バッテリーマネジメントユニット)を内蔵したリチウムイオンバッテリーを採用。スペアバッテリーを搭載すれば、航続距離を伸ばせる・・・という設計になっています。

なおスペアバッテリーの価格は88,000円(税込)。e-Let'sとe-Let's Wの価格差は84,000円(税込)ですから、後からスペアバッテリーを購入することを考える人の場合、Wを購入した方がちょっとお得ということでした。

残念ながら、すでに廃盤となってしまいました・・・

バッテリーは満充電で30kmの航続距離(30km/h低地走行テスト値)で、残量ゼロから満充電までは専用充電器で約4時間。一般家庭用AC100V電源から充電でき、充電電流は5Aと家庭用配線への負荷を抑えた設計になっていました。

2011年11月20日、「東日本復興支援ふじのくに新東名マラソン」に大会サポート車両として貸与されたe-Let’sの実証実験車。貸与された合計9台の内訳は、移動審判車3台、救護車を兼務するAED積載車3台(写真)、大会連絡車3台でした。

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残念ながらe-Let'sはカタログ落ちして久しいですが、今年・・・2021年3月には国内4メーカーによる「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」の、交換式バッテリーとそのバッテリー交換システムの標準化(共通仕様)が合意に至ったわけですから、その共通仕様を採用し近い将来e-Let'sの後継機種が登場するかもしれません。その実現の日を、楽しみに待ちたいです。

スズキ e-Let's / e-Let's W 主要諸元
型式 ZAD-CZ81A
全長 / 全幅 / 全高 1,665mm / 600mm / 985mm
軸間距離 1,150mm
最低地上高 130mm
シート高 695mm
装備重量 72kg
一充電走行距離 30km(30km/h定地走行テスト値)
最小回転半径 1.8m
原動機型式 Z801
原動機種類 交流同期電動機
定格出力 0.58kW
最高出力 1.7kW〔2.3PS〕/ 2,050rpm
最大トルク 15N・m〔1.5kgf・m〕/ 350rpm
バッテリー種類 リチウムイオン電池
バッテリー電圧/容量 50.4V-14.2Ah(5h)
充電時間 約4時間
バッテリー充電電源 一般家庭用 AC100V(単相)
フレーム形式 パイプアンダーボーン
キャスター/トレール 25°50′/ 62mm
ブレーキ形式(前/後) 機械式リーディングトレーリング
タイヤサイズ(前/後) 80/90-10 35J
舵取り角左右 45°
乗車定員 1名
メーカー希望小売価格 e-Let's ¥312,900 e-Let's W ¥396,900

SUZUKI e Lets electric scooter

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