1970年の登場以来、半世紀に渡って本場ダートトラックレーシングの第一線を走り続けた唯一無二の雄・ハーレーダビッドソンXR750。デビュー50周年の記念すべき節目の今年、伝統のメイカーファクトリーチームが活動休止を発表するという残念な話題もありましたが・・・本日は希代の名車・XR750の栄光の軌跡を辿る、メイカー自らが公開したドキュメンタリー映像をご紹介しましょう。

チョー多角的な視点から鑑みて、ホントのホントに退役でいいんですかね?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。かれこれ一年近いCOVID-19騒動のなか、ふと気がつけば今期の全米プロダートトラック選手権もいつの間にやら?終幕し、来期に向けた明暗さまざまのニュースとかレースレギュレーション改訂とかのトピックも少しずつ耳に入り始めましたが、本日まずは33分間のドキュメンタリー映像をご紹介。

泣かず飛ばずのホトトギス・新型水冷エンジンのXG750Rに無理矢理?世代交代させておいて、そちらの計画も結局ポシャらせたHD社自らが "XR750こそ偉大なヘリテージ!" みたいな映像をバーンと公開するってのもかなり皮肉が利いてますが・・・最近あちらの国で大流行りらしいノー敗北宣言の一種ですかね?・・・映像そのものは深い愛情を注いで作り込まれた感じで見応えタップリです。

50 Years of Wins | Harley-Davidson

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老兵よ去れって?AFTの "MotoGPうらやましい病" は増々止まりません!

名車XR750を、まるでセピア色のアルバムの中に追いやるかのような昨今の状況、このスポーツを長く愛してきた人々にとってはとても複雑な想いが募るものの・・・というかXRの咆哮抜きで、インディアンとヤマハとカワサキ (と一応XG750Rが数台?) しか出てないトップカテゴリーのレースシーンに心掴まれる新規ファンなんて獲得できるんでしょうか・・・新時代?ニューノーマル?に見合う、新しいAFT像へとリニューアルしようという流れは、この先もますます加速しそうな気配です。(そうは言ってもよくよく見れば、"MotoGPスタイル" を後追いしてるだけなんですけどね・・?)

マスクにだってロゴ入れて商材にしちゃうんだな!※但し医療用グレード並の性能は一切有しておりません。

ざっと見渡したところ、来期からAFTが (MotoGPに追いつけ追い越せとばかりに?) 大ナタふるって変更することとなっている、気になるレギュレーションはどうやら出費のかさむ話題ばかり・・・

①吸気インジェクション・スロットルボディ寸法規定の厳格化 → $!

選ぶ車種によっては市販車改造カテゴリーのマシンでも、純正よりさらに "小さな" 口径のものと交換して、他メイカー車とのイコールコンディションを保たなければなりません。お金、かかりますね。これまで独創性で勝負してきた小規模チームのオーナーには特にアタマの痛い問題のようです。

打倒FTR750?XG750Rの轍は踏む事なかれ?新世代AFTの"ニューノーマル"はこんな形が増えそうです。・・・うーん、間違いなく創意工夫の塊だけど、カッコいいかな・・・??

②最高峰スーパーツインズ・クラスは全車 "専用チューブレスホイール" を使用 → $$$!

今シーズン開幕より旧モデルUS DUNLOP DT3から完全移行した新しいダートトラックレース用スペックタイヤ "DT4" 。当初からアナウンスされたとおり、2年目の来期は最高峰スーパーツインズ・クラスで古典的なタイヤチューブ形式での使用が禁止となるため、すべてのチームはチューブレス仕様で走行可能なタイプ・・・先日ご紹介したアルミ削り出しホイールなど・・・をスペアとリム幅違いを含め、新たに複数セット揃える必要が出てくるでしょう。1台分で総額5,000ドルくらいかな?

③全3クラスそれぞれライダーは完全に1カテゴリー専従化。しかも新たな年齢制限が!?

現在のAFT: アメリカンフラットトラックシリーズには、450ccモトクロスマシンがベース車両の "DTX" で競うプロ登竜門的位置づけのシングルス・クラス、インディアンFTR750を意図的に除外した市販 (公道仕様) 改造エンジン車カテゴリーのプロダクション・ツインズ・クラス、そして最高峰トッププロの戦うスーパーツインズ・クラスの3カテゴリーが用意されています。

450ccのAFTシングルス。スポーツとして捉えるならば、ナンバープレート色は揃ってるほうがやっぱり絵になると思いますよ。スーパーツインズの色自由・フチドリ可の正方形ナンバーってどうにも好きになれないなぁ。

これまでシングルスとプロダクション・ツインズのライセンス区分はひどくゆるやかで (悪く言えば不明瞭) で、ひとりのライダーが2台のマシンを確保できれば両クラスに出場することが可能でした。が、来期は限られたシート数を公平に分配し、より多くのライダーに出場機会を与えるため?各クラスのライセンスは明確に分離され、ライダーは単一カテゴリーのみにしか出場することができなくなります。またMotoGPよろしく各カテゴリーには年齢制限が設けられ・・・

・スーパーツインズ・クラスは18歳以上
・プロダクション・ツインズは17歳以上 (17歳は前年シングルスでトップ3内入賞が条件)
・シングルスは16歳以上 〜 "39歳以下"

あーあ。ついに決まっちゃいましたよシングルスの年齢上限。当コラムをお読みの貴方、もしもAFTに挑戦するのならギリギリ30代のうちにどうぞ。現在の2気筒クラスはチーム・シート数と必要経費から言っても、異国の民がポッと乗せてもらえるようなチャンスはあまりなさそうですからね。

花の1979年組 (スコット・パーカーと同期!) でプロデビューしたロニー・ジョーンズは今年60歳。一度は引退するも40代中盤でプロとして復帰し、年間数戦にスポット参戦。この写真はおそらく2019シーズンのもの。

過去の歴史のなかでは、若いうちからプロとして活躍したのち一度引退し、すでに50代に迫ろうかというベテランライダーが再び全米選手権に挑み、自分の息子ほどの世代と450ccでいい勝負を繰り広げたり、その後2気筒マイル戦の決勝に残るところまで頑張ってみたりといった愉快なシーンがいくつもありましたが、MotoGPスタイルのプロスポーツを目指す現在のAFTには、そういった情緒的な余地はほとんど感じられません。個人的にはちょっと (だいぶ?) 残念な感じなんですけどね。

XR750と一緒に古き良き時代は遠くなりにけり、てなことに・・・ならないといいなぁ。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!