北米を代表する2大メイカー、インディアン・モーターサイクル (1902年〜) とハーレーダビッドソン (1903年〜) とほぼ同時期にモーターサイクル製造を始めた英国出自の "ロイヤル・エンフィールド" 社の紆余曲折をへた現在は、インド発の世界戦略企業です。同社の "ファクトリーチーム" は波瀾万丈の今期2020年シーズン、市販エンジンベースの新カテゴリー・AFTプロダクションツインズクラスへ、レースナンバー10のジョニー・ルイスと共に挑み、先日の最終節デイトナ・ショートトラックダブルヘッダーでは初優勝&2位表彰台という好成績をおさめ、華麗にデビューイヤーを締めくくりました!

米国内でのセールスにおいて今も昔も重要な意味を持つ?AFTチャレンジ!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。かつて全米プロ・ダートトラック選手権に我が国からヤマハ・ホンダ両社が参戦し、今日に至る力強い存在感を形成するターニング・ポイントとなったように、北米マーケットにおけるブランド・アピールという面で、海外メイカーにとってこのスポーツシーンでの活躍と成功は、ある種の通過儀礼・立ち向かい乗り越えなければならない、大きなミッションのひとつと言えるのかもしれません。

セルフ・プロデュースの才に秀でたジョニー・ルイスという希有なライダー

ロイヤル・エンフィールドによるAFTへの挑戦を、ライダーとしてひとり牽引するジョニー・ルイスは1989年生まれの31歳。10代前半からアマチュア・ダートトラック界の新星として大いに名を挙げた彼は、15歳でAMA最優秀アマチュアアスリート、およびAMAダートトラック新人賞 = ホライゾン・アワードに選出されますが、プロライダーとしての第一歩は畑を変えてAMAスーパーモトに活動の場を求め、若くして国別対抗戦スーパーモト・オブ・ネイションズの米国代表としても活躍。

"Against The World" - Team USA at the SuperMoto Of Nations

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古巣であるダートトラックレーシングのフィールドに再び軸足を移し、プロとして全米選手権への参戦を開始した2009年以降、まず450cc単気筒戦から頭角を現したルイスは、2012年開幕戦のデイトナショートトラックで最高峰カテゴリー初優勝。以降今日まで、2気筒戦でも多くのチームに乞われ、カワサキ、KTM、ドゥカティ、ヤマハ、トライアンフ、インディアンといった様々なマシンを器用に乗りこなすオールラウンダーとして大いに存在感を示しています。

また2015年からは自身の本拠地フロリダを基盤とした革新的なスクーリング・プログラム "モト・アナトミー" を主宰。アナトミー = 解剖学の名が示すとおり、感覚的な技術の伝承のみによらない様々な科学的アプローチや、戦略的なイメージトレーニングを多角的に取り入れるなど、既存のダートトラック・ライディングレッスンの枠を大きく超える、ニューウェーブとして広く評価されています。

10 Training / Brief Overview

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女性選手によるエキシビジョンレース!2気筒車でのライディング体験!

市販エンジンをベースとしても、多くの車体コンポーネントを競技のために一から製作する必要に迫られるダートトラックレーシングに新たに取り組むメイカーとして、ロイヤル・エンフィールドとルイスが打ち出したのが "Build. Train. Race." = 造って・鍛えて・勝負する。というコンセプトです。

圧倒的なパフォーマンスで連戦連勝を誇るレース専用車インディアンFTR750を排除 (!) するべく、今シーズンからスタートした、市販公道用エンジン車のみ出場可能なプロダクションツインズクラス。並みいる各メイカーの強豪マシンたちに挑むルイス用レーシングスペシャルは別格として、さらにユーザーフレンドリーなブランディング・イメージを広めるため、マイルドにチューニングされた丸ごと市販車ベースのワンメイク・マシンたちで、ルイス率いるモト・アナトミーでトレーニングを積んだ女性ライダーらによるエキシビジョンレースを行う、というもの。今シーズンのAFT公式戦では数戦、前座レースとしてタイムテーブルに組み込まれました。

Build. Train. Race.

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まぁ実際はここに登場する女性レーサーたちって、全然一般ライダーではなくて、その筋では知られた実力者ばかりじゃないかってのはご愛嬌・・・例えばメリッサ・パリス選手は自身プロ・ロードレーサーだしご亭主はAMAスーパーバイク王者のジョシュ・ヘイズ。2人ともテキサスのコーリン・エドワーズが所有するダートトレーニング施設でインストラクターを務めるほど、日常からブンブングルグルしまくりみたいです。

ネタばらし的な余談はさておき、今スタイリッシュなイメージで市販車をアピールするなら、インディアンに遅れを取らないよう? 流行りのフラットトラック風イメージを外すわけにはいかないってことなのか、ロイヤル・エンフィールド・ノースアメリカでは一般ライダー向けのダートライディング体験の機会も、これから積極的に広めていきたいという思惑みたいです。

Moto Anatomy X Royal Enfield Slide School- Happy Ramblers Motorcycle Club

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このくらい突っ込んだ企画力と突破力? 実現力がないと、これからの混迷の時代にオートバイなんか売れてくれないのかもしれませんよね。いやはや。世の中落ち着いたらウチもがんばろっと。

というわけで? 来期AFTでのロイヤル・エンフィールドのさらなる大暴れに、ほんのり期待したいと思います。ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!