我が国では首都圏を中心に再びじわじわそのスコアを伸ばしつつあるCOVID-19由来の状況ですが、今まさにありとあらゆる事柄について "なすべきか?なさざるべきか?" が厳しめに問われる日常のなか、競技としてのダートトラックレース開催可否の判断も、日に日に難しさを増しています。

本場アメリカのプロシリーズ・AFTは今週末から全戦Wヘッダーで開幕!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。3月半ばに行われるはずだった開幕戦デイトナTTの中止以降、ずーっとシーズンペンディング中だった全米最高峰のプロ・ダートトラックレースシリーズ・AFTは、現地時間今日7月17日 (金) と18日 (土) フロリダ州バーバービルでのダブルヘッダー・ハーフマイル戦からリ・スタートすることがアナウンスされています。

AFT: アメリカン・フラットトラックでは感染防止に対応する40ページに渡る新たなプロトコルを作成。ここ数日は1日1万人ずつ (あの4月のNY超え!) 感染者の爆増しているフロリダ州で、シーズン初戦を開催することの是非とか議論は今もあれこれあるようですが、未知の要素たっぷりの変則的なシーズンを無事にハンドリングするべく、可能な限り手はずを整えているようですね (ホント?) 。

なお次ラウンドとして予定されていた7月31日 (金) と8月1日 (土) のオハイオ州ライマ・ハーフマイル戦・・・現役トップライダーであるジャレッド・ミース夫妻が自らプロモーターを務める伝統のクッショントラックでのダブルヘッダー・・・は開催日までに州政府の示すCOVID-19に関わる新たな公衆衛生ルールをクリアすることが困難なため、延期?いや中止?となる公算が高いとのことです。

伝統のスプリングフィールドマイル戦が行われる、イリノイ州の屋外イベントでの感染予防対策ガイドライン (の一部) 。観客収容数は80%カット!アメリカ人なら誰でも大好きな"テールゲート・パーティ"は禁止!AFTではレースパドックの設営されるトラック・インフィールドへの立ち入りを関係者のみに限定することを発表。

競いたいのは皆同じ。だけど今幕を開けられるか考えると・・・うーん?

観戦型 "興行" イベントであるアメリカのプロ・シリーズからは少し思考を遠ざけて、(現時点では) 愛好家による参加型スポーツイベントである我が国の、筆者主宰のローカルダートトラックレースシリーズ・FEVHOTSを例に、我が身のこととして考えてみると、安全面で最も優先されるべきは、

①公正な競技をコントロールする上で欠くことのできない全てのレースオフィシャル (スタッフ)

②何はともあれ全てのレース参加者 (コンペティター)

③足元のお悪い中?辺鄙な会場にわざわざ足を運んでくださった奇特な観戦者のみなさん

この順番です。
これはもう、断固言い張ります。

本場のプロも認める華麗なWフラッグ遣いがウリのFEVHOTSメインフラッグマン和田は、この8年で少なくとも20回以上轢かれそうになっています。傍で見ていてヒヤヒヤしますが当シリーズに欠かせない"逸材"です。
撮影: 斎藤淳一

本日冒頭の写真は今から12年前、2008年10月に撮影されたツインリンクもてぎでのダートトラックレース・ノービス250ccクラス (200m) 決勝12周の1周目ターン1の様子です。赤旗中断中。

フルグリッド12台でスタートしたターン1、一番に飛び込んでホールショットを獲ったのは・・・何を隠そう当時まだ20代だった筆者ハヤシなんですが、後続では3番手以降、たしか7台が絡む多重クラッシュが発生。1周回って帰ってきたらバイクの山ができていて、皆イデーイデーと騒いでいるので驚いた記憶があります。おかげでライバルたちのほとんどがペナルティラインに下がった後の決勝再スタートでは、悠々逃げ切って勝つことができましたが。その節はありがとうございました。

・・・私の過去の自慢?余談?ヨタ話は (まだまだ言いたいけど) どうでもいいんですが、フルコンタクトの肉弾戦が常態であるダートトラックレース、特にショートトラックでは、このような多重クラッシュで出走者の半数ほどが大地に寝そべる場面が・・・そう多くはないですが稀にあります。

駆けつけた我々レーススタッフは (正式な専門家ではないにせよ) 応急救護の知識をもって簡単なトリアージを行い、負傷者・転倒者の安全を確保しながら彼らを落ち着かせ、相対してヘルメットを脱がせて介抱し、受傷の程度を確認し応急処置を行います。時には返り血を浴びることもあります。あるいは身の回りを片付けて病院に送り込むための介助とか。お連れがいない場合もありますからね。

レース着順の厳密な管理や公正なジャッジ、そして対応できることに限りはあれどクラッシュ・受傷時のホスピタリティまでをこちらが用意するからこそ、参加者の皆さんにはのびのびと精一杯・・・つまりは最大限競技に集中した状態で "安全に" 戦っていただけるのだと我々は考えているのです。

各自工夫を凝らして"調子を維持"してください。真剣勝負はまだ先かな!

ワクチンや治療薬が登場するまで、ただじっと待つというほど気長に考えているわけでもありませんが、ソーシャル・ディスタンスやら新しい生活様式を確保しつつ、これまで同等のイベントを提供することは、容易ではありません。競技ルールやレースフォーマットにだってある部分では手を加えなければならないかもしれませんし、折々の社会状況にも正しく対応していく必要があるはずです。

改めて集えるその時がいよいよ来るまでは、各自が工夫を凝らし方策を練りましょう。
我々FEVHOTSの真剣勝負は、まだもうちょっとお預けです。

ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!