同じアフリカツインなのに……
まぁ控え目に言って……
先に乗った豪華verアフリカツインに比べまして
違いすぎっ?!
なのです、これ本当に。
2台のアフリカツインに乗って重量の軽さは偉大だということを改めて思い知らされました。
前に乗った豪華仕様DCTのアドベンチャースポーツは車両重量250kg。それに対して今回の“素”のアフリカツインは重量が226kgしかない。
同じアフリカツインなのに重量差が24kgもある!?!?
それによる衝撃的な違いは第一に『エンジンがすごいパワフルに感じられる』こと。
次に『ハンドリングが軽いこと』です。
軽いんだから当たり前でしょ?と思うところでもありますが、その『違い』が大きすぎる。
走りの根本となる部分が、完全に別モノ。
それは『これ本当に同じアフリカツインか?』って、誰でも感じるだろうレベルなんです。
エンジン最高出力が102馬力なのは変わりません。
だけどスロットルを開けた瞬間に、後ろからドカッ!っと蹴飛ばされたように前に出るんです。
先の豪華仕様verは、もっと穏やかさがあって、どこへでも運んでくれる魔法の絨毯のような心地よさのある走りでした。
対して“素”のアフリカツインはもっと、良い意味で荒っぽい。
走り始めてすぐに『これぞ大排気量の二気筒エンジンだ!』という興奮に包まれます。
豪華仕様DCTアフリカツインの極上の快適さを誇るなら、“素”のアフリカツインは……
誤解を恐れずに言えば『攻撃的』なんです。
バイクを寝かせて、そこからスロットルを開けていくときに路面やタイヤと相談しつつ、探りながら開けていく。バイクを自分で『操っている感』が強い。
電子制御でトラクションコントロール完備なので、実際のところリスキーな雰囲気はありません。
だけど、俺はいまバイクに乗ってる!っていう興奮が、圧倒的に“素”のほうが大きい。
ワインディングでの楽しさが、こんなにも変わるものなのか……
軽い衝撃でした。
さすがホンダ。おそるべしホンダ。
そうとしか言いようがありません。
ハンドリングも軽く、コーナー進入でスッと頭が走っていくイメージ。やっぱり軽いって偉い。
それに先代にも増して前輪の接地感に頼もしさを感じます。
21インチで幅の細いタイヤとは思えない安心感は相変わらず。先代と違うのは『このタイヤだとここまでかな?』というバンク角から、もうひと寝かせ!が効くようになってる。
新型1100ccはオンロードでのコーナリング性能も良くなっているんです。
“素”のアフリカツインはスタンダードな機械式の倒立フロントフォーク。
不満なんて一切なし。普通の感覚で言ったら、これで十分だと思う。
ただし、ボクは先に豪華仕様Ver.の電子制御サスペンション仕様にも乗ってます。そこで比べるなら、電子制御サスペンションが一枚上手でしょう。
アフリカツインの電子制御サスESは『いかなるシチュエーションでもタイヤの接地感が安定的』という部分で優秀だとわかりました。
素のアフリカツインはライダー側がコーナーへのアプローチにミスすると、やっぱり怖さがあったり、気持ちよく走れなかったりする。これはまぁ、アフリカツインに限らず、の話ですけどね。
でも電子制御サスESは、ライダーのちょっとしたミスなんて飲み込んでしまうんです。
ツーリングのような状況では、ESのほうが断然疲れが少ないと思う。
でも、もう一度言いますが、一般的なバイクとして考えるなら『素のアフリカツインで十分すぎる』サスペンション性能は持っています。
まぁここは、電子制御サスが素晴らしすぎるっていう結論です。
ちょっと待って?これでいいのかアフリカツイン!?
しかし!ですよ。
わたくし、乗っていて『?』が消えませんでした。
だって、オンロードでの楽しさと快適さだけを求めるなら、アドベンチャーバイクのスタイルじゃなくても良くない?ってこと。例えば前後17インチのロードタイヤを履いたフルカウルのツアラーとか。
そうなると、やっぱりアフリカツインはオフロード! ってことになるのでしょうか。
なので試しにオフロードへ入ってみたのです。
でも、そこで結果として『ものすごいジレンマ』を抱えることになろうとは……