「モータースポーツ」と一口にいっても、その種類は多彩。興味はあるけど、たくさんありすぎて何を見ていいのかわからない……なんて人も結構多いのでは? ここでは各競技の特徴や見どころをわかりやすくお届け。今回はオートバイロードレースの最高峰『MotoGP』と同じく、世界選手権として人気の『スーパーバイク世界選手権』について解説していきます。

スーパーバイク世界選手権とは?

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レース専用に開発されたマシンで争われるMotoGPとは違い、スーパーバイクは市販車バイク(レース用にモディファイされている)で争われる世界最高峰の二輪レースです。つまり、私たちが購入することができるバイクでレースが行われるのです。

マシンの排気量は、2気筒であれば1200ccまで、4気筒であれば1000ccまでとレギュレーションで定められています。私たちが運転するには大型自動二輪免許が必要な大きなバイクですね。

スーパーバイク世界選手権は世界各地のサーキットで全13戦行われます。レースフォーマットは各大会でRace1、Superpole Race、Race2と3レースが行われます。

まず土曜日に行われるのがRace1ですが、その前にSuperpoleと呼ばれる予選があります。このSuperpoleではRace1のグリッド(レース開始前の隊列順位のこと)順だけではなく、日曜日の午前中に行われるSuperpole Raceのグリッド順番を決めるシステムになっています。

Superpole RaceはRace1、Race2と違い10周と少ない周回数で行われます。タイヤを労る心配がないため、スタートからゴールまで全開のバトルが繰り広げられます。

しかし、このSuperpole Raceでクラッシュをしてしまったり、トラブルに巻き込まれてしまうとRace2への出場が苦しくなるため、ライダーにはリスクマネジメントも要求されます。Superpole Raceは全開でバトルができるのに“無理はできない”という難しさもある訳ですね。

Superpole Raceで上位9位までにゴールしたライダーはその順位のまま、Race2をスタートすることができます。Superpole Raceで10位以下に終わってしまったライダーは、Superpole Raceの上位9人を除いたSuperpoleの順位でRace2のグリッドに並び、最後のレースに挑みます。

各レースの順位に応じてポイントが与えられ、シリーズを通してもっとも多くポイントを獲得した“ライダー”、そして“マニュファクチャラー”がチャンピオンとなります。

ポイントの配分

レース1、レース2順位1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位11位12位13位14位15位
ポイント252016131110987654321
Super Pole Race順位1位2位3位4位5位6位7位8位9位
ポイント1297654321

ライダーとは競技に出てバイクを運転する人、マニュファクチャラーはバイクのメーカーです。それぞれに順位が定められチャンピオンが選ばれます。ライダーもメーカーも世界一の称号を目指していますが、とくに市販車で行われるスーパーバイク世界選手権はマーケティングに直結したレースで、レースの結果で販売数も大きく変わってしまうほど!

メーカーにとってスーパーバイクは超重要なカテゴリーと言えます。

選手権に参戦するのは、ホンダをはじめ、スーパーバイクで目下5連覇中のカワサキ、2016年に復帰したヤマハの日本メーカーに加え、スーパーバイクで成功を収めてきたイタリアのドゥカティ、昨年スーパーバイクに復帰したドイツのBMWです。

近年カワサキが強さを見せていますが、各メーカーの性能差はレギュレーションの調整も相まって少なくなっており、毎レース誰が勝つのかはフィニッシュラインを駆け抜けるまでわからない手に汗握るバトルが繰り広げられています。

車間はほんの数センチ!このような激アツバトルが常に行われるのがスーパーバイク世界選手権

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毎回予想もしないようなドラマが起こるスーパーバイク。一度見れば世界中の人々が熱狂するのがわかるはず!こんな盛り上がるスポーツを知らないのはもったいないです!百聞は一見にしかず、ですよ!

今年のホンダは本気度MAX?参戦する日本人ライダーの活躍にも注目!!

カワサキから移籍したレオン・ハスラム選手(左)とドゥカティから移籍したアルバロ・バウティスタ選手(右)。この強力なコンビと体制でチャンピオンを目指します!

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2020年のスーパーバイクの最大の話題はホンダです。ホンダは新型マシンCBR1000RR−Rを投入、さらに体制もホンダワークス(ホンダ直営のチームのこと)として参戦し、スーパーバイクチャンピオンを「本気」で狙いにきたのです。

ホンダワークスであるHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)としてスーパーバイクチームは、2018年まで国内最高峰の二輪ロードレースである全日本ロードレース選手権に参戦していました。そして今年、ついに世界選手権に復帰を果たしました。メーカー直属のチームという本気の体制での参戦は2002年にチャンピオンに輝いて以来なので18年ぶりとなります。

「Honda Racing WorldSBK Team」というエントリー名で参戦するホンダワークスは今年、強力なライダーを迎え入れました。長年MotoGPで活躍し、昨年スーパーバイクに参戦し、開幕11連勝という驚異的な成績を残したアルバロ・バウティスタと、昨年はカワサキから参戦していたレオン・ハスラム。

強力なのはライダーだけではありません!完全な新型マシンであるCBR1000RR−Rはエンジンパワーが強大で、開幕前のテストからポテンシャルの高さをみせました。

2月に行われた開幕戦では予選や決勝で転倒などで順位を落としたものの、後方からの追い上げは凄まじく、チームは3レースともしっかりポイントを獲得し、今後につながる結果となりました。トラブルや転倒がなければ十分ライバル達と戦える実力があることを証明しましたし、18年ぶりに復帰してまだ初戦です。

これからどんどんチームは進化していくことでしょう!ホンダがカワサキから栄冠を奪取する瞬間は意外と近く訪れるのではないでしょうか。

念願の世界選手権参戦が決まった高橋巧選手。日本のエースが世界でどのような走りをみせてくれるのか⁉︎

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ホンダはワークスチームだけではなく、サテライトチーム(プライベーターながらワークスと同じマシンやライダーが供給されているチーム)である「MIE Racing Althea Honda Team」も参戦。ライダーは全日本ロードレース選手権の最高峰クラスであるJSB1000クラスでチャンピオン経験を持ち、昨年までHRCからJSB1000クラスに参戦していた高橋巧選手と、MotoGP、スーパーバイクの経験もあるジョルディ・トーレス選手が起用されました。

全日本のトップライダーでチャンピオン経験者でもある高橋選手は昨年スーパーバイクにスポット参戦を果たしましたが、今年は念願のフルシーズンで世界選手権を戦うことになりました。マシンが新型、そして高橋選手にとってほとんどが経験のないサーキットでのレースということで未知数な部分はありますが、ホンダのエースとして活躍してきた高橋選手には期待せずにいられません!

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開幕戦では様々な問題があるなかで、マシンに対するコメントがポジティブだった高橋選手、開幕戦での経験を次回のレースに活かして頑張ってほしいですね!

まとめ

今回は市販車で行われる世界最高峰のバイクレース「スーパーバイク世界選手権」を紹介しました。私たちに馴染みのあるバイクが一流のライダー達の手により、時速300km/hの中でバトルを繰り広げられます。

二輪も四輪も数多くのレースで成功を収めてきたホンダ。とくに二輪ではGP通算795勝という圧倒的な勝ち星を収め、前人未到の800勝に迫っています。そんなバイクレースで成功を収めているホンダですが、ワークス参戦していなかった期間が長いこともあり、1988年から始まったスーパーバイク世界選手権ではチャンピオン獲得回数が6回に止まっています。

しかし今年から2002年以来のワークス体制という強力な布陣で戦うホンダ陣営、これから物凄い勢いで強くなっていき、チャンピオン争いに確実に加わってくることが予想されます。

ホンダを背負う4選手、バウティスタ選手とハスラム選手、そして我らが高橋選手とトーレス選手の活躍に期待しましょう!

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