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世界GP、F1で活躍した名車がずらり…!
ツインリンクもてぎのホンダコレクションホールには、歴代の二輪、四輪、汎用機の市販車とレーシングマシンが展示されているけど、そのほとんどが走行可能なんだよね。つまり動態保存だ。そんな所蔵レーシングマシンは、不定期で動態確認のために公開でテストされるんだ。去る2月20日(木)に、その動態確認テストがあるので行ってきた。
この日、ツインリンクもてぎの南コースに運びこまれたのは、二輪車が世界GPマシン、RC164(1963年)、NSR500(1984年)、NSR500(1985年)、NS500(1985年)、CBR1000RRW(2004年)の5台、四輪車がF1GPマシン、RA272(1965年)、RA300(1967年)、マクラーレン・ホンダMP4/5(1989年)の3台だ。テストは午前中が二輪で、午後からF1マシンが走る。
二輪、四輪ともにテストを担当するのは、元ホンダワークスライダーの宮城光さん。その宮城さん、ホンダとワークス契約してた頃の愛車は、バラードスポーツCR-X 1.5iだった。そうした縁もあってか、こうした現場でボクと会えば、少しの間CR-Xの話題になったりする。忙しいテストの合間に、気さくに雑談に応じてくれるとは、とても有り難い。
肝心なテストは、RC164から年代順に進行していく。Rothmansカラーを纏ったNSR500(1985年)は、エンジンを始動したけど、残念ながら走行は見合せることになっちゃった。
この日は冬季でもしっかりと走れるかの確認と、マシンによっては当時の貴重なオリジナルパーツを温存するために、こういった走行イベント向けの代替パーツをチェックするのが主な目的だという。こうして午前中のメニューは終了して、午後からはF1マシンが走るのだけど、あらかじめエンジンをウォームアップさせる。
痺れるサウンドがたまらない!!ホンダのフォーミュラカーによるエンジン音
RA272は、RC164同様、始動直後は雑音が混じったような感じの音なんだけど、エンジンが温まるにつれて不思議なことに雑音が消えていって、鼓膜を震わせる高周波なサウンドへと変わってくる。イヤープラグをするか、耳を塞がないと傍にいるのが辛いつくらいぐらいだ。まだまだ全開には及ばない回転域でも、1.5リッターV12の甲高いサウンドは痺れちゃうね。
当時、全開まで回した“ホンダミュージック”を聞いたことがある人が羨ましくなってしまう。間近で聞くと、本当に耳が壊れちゃうんじゃないかって思うほどだけど、後で走行したときに少し離れた場所から走るサウンドを聞くと、これが実に素晴らしい!うまく文字で伝えられないのが悔しいけれど、こうした公開テストやホンダのイベントで、ぜひとも体感して欲しい。
甲高いRA272の後は、マクラーレンホンダMP4/5。市販車とは違い、極限まで精度を突き詰めたV10のRA109Eは、オイルの粘度が高いせいかクランキングしない。スタッフがエンジンを冷やさないように保温材を被せ、ストーブとヒーターを使って外部からエンジンを温めて、中に入ってるエンジンオイルの粘度が下がったところで、何とかクランキングに成功。
寒い日のレーシングエンジンは、とっても気難しいみたいだね。実際、どんなオイルが使われてるのか聞いたら、F1専用の特別なものじゃなくって、市販車にも使われるオイルと大差ない10W-40なんだという。
当時、実戦でもそういったオイルだったのかはわからないけど予想してなかった答えだった。何とか無事にエンジンは始動するんだけど、午後からの走行では、軽くコースを走った後にエンジンのバラツキが解決しないため、途中で走行を取り止めてしまった。
今回の動態確認テスト、走れなかったマシンもあったりして残念だったけど、今後もさまざまなマシンをテストして欲しい。個人的には、ボクのCR-Xと同じエンジンを積んだグループAのワンダーシビックが見たいなぁ。