バラードスポーツCR-Xとホンダをこよなく愛するカメラマン伊藤嘉啓氏の愛車CR-Xのオドメーターはなんと70万kmを越えている。これまで一体どこへ向かったのか、なぜそこまでCR-Xを愛するのか、そして今後の走行距離は何万kmに到達するのか…この連載を通してCR-Xの魅力とともに徐々に紐解いていく。今回は29話に続き、BILSTEINのオーバーホールの話。(文:伊藤嘉啓/デジタル編集:A Little Honda編集部)

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想像より重症だった……日々のメンテとチェックは本当に重要!

いよいよオイルが滲んでいた右フロントだが、突き上げが酷かったし、取り外すときは内部から洩れたオイルで汚れてたから、それなりのダメージがあるのではとは思ってたけど、ボクの想像以上に状態が悪かった。

分解されたショックアブソーバー(ダンパー)を目の前にして、窓口にもなっていただいたエナペタルの担当者から「右前は、まったく動いてない状態ですね、というか内部の構成パーツが壊れてます。事故をしたわけでもないのに、ここまで酷いのは滅多にありません。シリンダーの交換も必要になります。これほどになる前に、異音とかしてませんでしたか?」と厳しい言葉。

このときは思い出せなかったけど、今になって冷静に思い返すと心当たりがないワケじゃない。右前の突き上げが酷くなる以前から、クルマを停止させる寸前に『キッ』とか『コツッ』っていう硬質な感じの小さな音が、前方のややした下のあたりから聞こえてたんだ。もしかしたら、これがショックアブソーバーのごくわずかなガタによるものだったのかもしれない。

BILSTEINを取り外して、代わりの純正ショックアブソーバーを装着したら、その音は聞こえなくなったからね。周りが静かな状況じゃないと聞き取れなかったってのもあるけど、その小さな異音をあまり気にせず乗り続けていたことを深く反省しないといけない。

写真を見れば一目瞭然だけど、ショックアブソーバーの要となるパーツには大きなキズがあるし、シリンダーの内壁にも彫刻刀で削ったんじゃないかと思うような深いキズが入ってる。

スムーズにシリンダーを動かすためにテフロンコーティングされたメタルガイドも、肝心のテフロンが剥がれてきちゃってるし、ケースの中に組み込まれたバンプラバーも千切れてる状態。ここまで酷くなってるなんて思わなかった。ゴメンよ。

基本的にボクは街乗り用途でしか走ってないから、サーキット程の負荷はかからないって思っていたけど、実はサーキットよりも一般路の方が大きな段差があったりして、ショックアブソーバーには意外と過酷な条件だったりするようだ。壊してしまった要因は、長い間、オーバーホールをしないで乗り続けて、徐々に内部のオイルとガスが抜けていったのに、それを放置してたからってことになるんじゃないかな。とにかく、ボクのメンテナンス不足が一番の原因なのは間違いないよね。

結局、右側のフロントはシリンダーや主要なパーツのほとんどを交換することになってしまった。左側は右側みたいに壊れていなかったけど、ガイドメタル、ピストンロッド、バンプラバーは交換。長い間、オーバーホールをしなかったツケはかなり大きいと言えるだろう。

さらに今回は、ガス圧を10%下げて今までよりもマイルドな乗り味になるようにしてもらったんだ。もちろん、リア同様フロントも再塗装。BILSTEINのイメージカラーであるイエローや純正っぽいブラック、スポーティなシルバーという選択肢もあったんだけど、やっぱりエナペタルのイメージがしっくりくるブルーをチョイスした。後は、仕上がって送られてくるのを待つばかり。楽しみだなぁ。

取材協力 株式会社エナペタル www.ennepetal.co.jp

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