バリー・シーン以来のGPソロ部門の英国人チャンピオン!
1993年に英国に生まれたダニー・ケントは、多くのGPライダーたち同様ミニバイクなどの小排気量車で技術を磨き、2008年にレッドブルのMotoGPアカデミー入りをすることになりました。初のGPエントリーは2010年の英国GP125ccクラス(ホンダ)でしたが、残念ながらリタイア。また同年、ケントはランブレッタから125ccクラスに日本GP以降の5レースに参戦しますが、結局この年は1ポイントも獲得できずに終わることになります。
翌2011年はアプリリアで125ccクラスにフル参戦しますが、未勝利でランキング11位という結果に終わります。2012年からは廃止された125ccに代わる4ストローク250ccのMoto3にKTMで参戦。日本GPでついにGP初優勝! 最終戦バレンシアGPでも勝利し、ランキング4位に躍進しました。
ケントは2013年、テック3に属してMoto2にステップアップしますが年間22位と低迷。2014年は再びMoto3にハスクバーナで参戦しますが、3位表彰台が2度の年間8位で、王者争いからは蚊帳の外でした・・・。
そして2015年、ケントはGPデビュー以来となるホンダユーザーの立場でMoto3に参戦し、第2戦アメリカズGPで久々の優勝を飾ります。続くアルゼンチンGPとスペインGPに勝って3連勝を飾り、チャンピオンシップの流れをリード。その後もカタルニアGP、ドイツGP、そして地元英国GPで3勝を上積みしたケントは見事自身初のタイトルを獲得しました!
サイドカークラスを除く、1977年のバリー・シーン(スズキ、500cc)以来の英国人GP王者の誕生に、当時英国のGPファンの多くが熱狂したのは言うまでもありません。また小排気量クラスという括りでは、ケントは1969年のデイブ・シモンズ(カワサキ、125cc)以来の王者でもありました。
王者獲得後は、苦難の道を歩むことに・・・
しかし、その後ケントがGPで輝くことはありませんでした。2016年は2度目のMoto2のフル参戦をするものの、年間22位と低迷。2017年はスッターとカレックスでMoto2を、また数戦Moto3をKTMで走るという、不安定な状況で不本意なシーズンを過ごすことに・・・。2018年はスピードアップでMoto2フル参戦ということになりますが、なんとシーズン途中でチームを首になってしまいました(ランキング25位)。
そしてなんと! 2019年3月に路上での揉め事の末に包丁を持ち出したことで、ケントは執行猶予付きの有罪判決を受けることに・・・。BSB(英国スーパーバイク選手権)に参戦し、レースキャリアの再構築を模索していたケントですが、これで今年はおじゃんな感じですね・・・。まだ若いのですから、英国人王者としての誇りを胸に再起を果たして欲しいと思います!