こちらの2台、ベース車両はいずれも同じ、ホンダCRF125F(2014~2018年型)なのですが、なかなか素直に受け入れ難いほど雰囲気が違いますよね。どちらもダートトラックレーシングのために仕立てられた軽量級マシンですが、左のトリコロールは高い工作技術とアイディアを存分にふるって往年のホンダRS750Dの再現 = レプリカを目指した、大変手の込んだ趣味性の高いスペシャルな1台。対して右は、純正スタイルを維持したまま実用本位でざっくりとまとめたもの。本日はこれらを題材に、なぜカスタマイズがこのスポーツに有効だと筆者がお勧めするのか、改めてご紹介しましょう!

"小さいひと向けオフロードバイク"を題材にした今日的カスタムメイド2態。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。100cc程度のミニ・オフロードマシン・・・特にホンダ製 XR100R / CRF100F最高!というのはダートトラックコミュニティの定説です。それはライディングの基礎動作の習得や、リスクを押さえたトレーニングとしての反復走行などに、とても適したマシンだからだ・・・と以前から考えられているためです。

古くはケニー・ロバーツが、自身の所有する "ランチ" (=牛囲いのこと) でトレーニングに使えると注目し、そこから派生してダートトラックの本場アメリカの、数々のライディングスクールでも使用されることとなった伝統的な名車でしたが、時代の流れの中で2013年モデルを最後に生産終了。子供用ファンライドバイクとしての役目は後継機種 "CRF125F" が引き継ぐこととなりました。

鋭い現代的なスタイリングで登場したこちらの125F、多くの "ヒャク愛好家" から注目される待望の新モデル・・・本来体重55kg以下を想定された子供用バイクですが、足付きの良さや取り回しやすさからモトクロスやエンデューロのビギナーなどにも様々なニーズがあります・・・。しかし実際には名車 "ヒャク" より10kg重く、原形の実用車由来の4速ミッション (先代は5速) 、国内では年100台の限定車ということでカスタムパーツもほとんどなく、オトナが振り回す目的としては少々ガッカリ系だったのは今さら否定することのできない事実です。

とは言え、現行ラインナップとして我が国で手に入る数少ない軽量級ダートトラックレーシングマシンの貴重な素材です。ここはひとつなんとかならないものか、知恵を絞ってダートトラック最適化に取り組んでみましょう!

ファクトリーダートトラッカー・RS750Dをデフォルメしながらとことん再現!

'80年代に本場アメリカのプロダートトラックシーンを席巻した2気筒レーサー・RS750Dの細部までをリサーチし、CRF125Fを素材にオーナー自身の手によって緻密に製作された1台がこちら。前後ホイールサイズはRSのフルサイズ19インチ→このマシンでは17インチを採用。したがって全体のサイズ感も、ほぼ 3/4 スケールくらいで再現されています。実物は滅茶苦茶かわいらしいですよ。

本来車体左側に寄って位置するキャブレターを "ホンモノ同様だいたいこのへんに" といって簡単に (でもないんでしょうけど) 作り上げちゃうあたりが技術力の高さと執念を感じさせます。純正フューエルタンクを覆うFRPタンクカバーやシートカウルに至るまで、ありとあらゆる箇所が "製作物" 。

こちらは栃木県ツインリンクもてぎ内・ホンダコレクションホールに鎮座する "ホンモノのRS" 。

似たアングルから見た自称 "ニセモノ志向の道楽" ・・・謙遜にもほどがありますって・・・。

素材そのままの箇所を探すのが困難なレベルで、全域に手が加えられています。本来ドラムのリアブレーキは当然RSをならってディスク化。レーシングスタンドも自作です。

RSの複雑な形状を再現したステップ周り。スケールが変わっても実際の操作性に破綻のないよう、よくよく検討された構成が見事の一言です。

モディファイはエンジン内部にもおよび、点火時期の変更やカムシャフト自作など、ビジュアルの雰囲気作りにはもちろん留まらず、ダートトラックを実際に走らせるうえで気になるポイントの数々も取りこぼしなく手を加える念の入れようです。

拘り抜いた各所のディテールなど、以下の車両オーナー・製作者のインスタグラムからもご覧いただければと思います。

毎週使うレンタル125ccの"いらんモノ"、徹底的に断捨離してやりました!

幾度か当コラムに登場してきた筆者のCRF125Fです。前後17インチDTレーシングタイヤ (ホイールは前2.15 / 後3.50リム) や腹下タイプの軽量ショートマフラー、ホンダ・エイプからいただいてきたセンターアクスル型フロントフォークなどに変わっているのは以前からですが、そろそろこの仕様にもネタとして物足りなさを感じるのでさらなる改良を進めることにします。今回のテーマは "少しだけパワーUP" と "だいぶウェイトDOWN" 。不要のパーツを取り去り、徹底的に断捨離しましょう。

速く走ることが全てのレーシングマシンにサイドスタンドなど不要です。というわけで付け根から切り落としました。614gの軽量化。純正ステッププレートを裏返せばポジション変更も可能。

125Fはφ18mmという笑っちゃうほどの小径キャブレターが標準仕様 (先代の名車ヒャクは20mmのはず) 。まずは人柱ネタとして汎用ビッグキャブレターへの変更を試みましょう。φ28mmのチョー安価な中華製です。実は車体もホンダの中国工場製なので相性バツグンに良かったりして・・・。一気に混合気の流入量が増えるためセッティングは必須ですが、毎週火曜の練習でご一緒する八王子のミヤシタモータースによるフィッティングと現場での手厚いサポートにより、着々とパワーが上がっている実感。純正エアクリーナーBOXはもう不要なので撤去しましょう(1,308gの軽量化)。

125Fはバッテリーを搭載したキックスタートとセルスタートの併用タイプ、フルCDI点火という触れ込みですが、バッテリーの配線を外してキックしても "Nレンジなら" エンジンは普通にかかりますし、数週間テストした結果、点火の乱れなども特にないようです。この際なのでシート下の重しになっているバッテリーは捨てます(1,480gの軽量化)。当然メインキーシリンダーやセルスタートボタン、関連するハーネスも全て不要(477gの軽量化)。クランクケース前方下側に位置するセルモーターは、車体のジオメトリを吟味しつつ取り外すかどうするか考え中。これも多分数kgあるはず。

キャブレターの基本セットアップがもう少しハッキリと見えてくれば、キックアームも取り外して完全な押し掛け仕様にするのもアリです。練習はさておきレースで転んだら試合終了と思って走れば良いだけですし・・・。なおこの車両の鋳物のキックアーム、外すことで516gの軽量化になります。

ここまでで4,395gの軽量化に成功しました。公称88kgのノーマル車体ですから、すでにおよそ5%は軽くなっているわけです。その気があるならネジの素材やら無駄寸法とか細かなところでもあと2〜3kgはヨユーでいける、と有識者に教えてもらいました。10kg軽い"ヒャク"と対等に戦うには、もう少し追い込んでもいいのかもしれませんが・・・。すでに乗り味激変です。

車両を手に入れてまず最初に外し、とっくに捨て去りましたが125Fのフロントフェンダーは528gでした。フォークブーツも片側100gくらい?700gの重しがハンドリングに何らか影響しないはずはありませんね?見た目優先で絶対外したくないという方、悪いけどちょっと幼稚ですよ。

いかがでしたか?チャイナメイドの比較的ザックリした造りのこのモデル・・・CRF125Fでも、緻密な作り込みでモノとしての質感や所有感を大いに高めたり、また要不要を厳しく吟味し、ギリギリまで刃を研いでやることで、メイカーの工場出荷時とは比べ物にならない "このスポルトにおけるスペシャリテ" (←気取っておフランス語) を手に入れることができるかもしれません。

道具を使うスポーツで、気合いや根性論だけでモノを語るのは大いなる誤りだ、と思うのですが・・・。ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!