連載『ホンダ偏愛主義』。自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員でフリーランスライターの河原良雄氏が、ホンダを愛するようになった理由を、自身の経験を元に紐解きます。今回は、ビートのフルレストアしたお話。いやぁ、本当に楽しんでる雰囲気がこちらまで伝わってきて、やってみたくなっちゃいます。(文:河原良雄/デジタル編集:A Little Honda編集部)

「新車並みに戻すには新車時価格ぐらいは掛かる」……?

我がビートのフルレストアを思い切らせたのは友人Tのビートに乗った時だった。彼のビートは今はなき横浜のビート専門店WYの手によるコンプリート中古車。オールペンだけでなくエンジン&トランスミッションのOH(*)まで施していた。

*OH=オーバーホール。通常の点検作業ではできない劣化部品の交換や調整、洗浄を行う作業のこと。

オプションも含め購入価格は新車時と変わらぬもの。それだけにエンジンの吹け上りをはじめコンディションは新車に近かった。我がビートもコンディションに関しては85点を自認していたが、それ以上を体感してしまうと、「負けてられない!」となるのは必然とも言える。

そんなわけで数年前にビート専門店WYに完全リフレッシュを依頼する。その内容はオールペン、エンジン&トランスミッションOH、そして内装クリーニングである。

WYは店が家から近いこともあって作業中、何度か足を運んだ。まずはオールペンである。「ベースが錆もなく良好な状態だったので助かりました。ただ、細部にワックスが残っていて脱脂に手が掛かりましたが」とのこと。黄色から黄色だったので楽だったそう。

エンジンに関しては走行4.8万kmほどだったため大きな問題はなかったが、カーボン落としや、バルブの擦り合わせ、さらにはクランクのバランス調整まできっちりとやってくれた。クリーニングに関しては内装部品をすべて外して汚れ落とし。しっかり乾燥させたのちに組み直してくれていた。

またフロントのウインドウ、幌&リアウインドウは新品に交換。最後にブラックのレザー風シートカバーを付けて完成。マフラーはWオリジナルの左出しに交換してくれた。

外観は色褪せしていた黄色から本来の黄色に復活。リアにあったキャリア付きトランクからノーマルのトランクに交換してペイントしてもらう。内装はすべて取り外してのクリーニングでさっぱり。仕上げまで約2ヶ月を要した。

仕上がってからは1000kmほど高速道路を使ってしっかり慣らし運転。その後、徐々に回転を上げ、2000kmを超えてからはフルにエンジンを回す。OHの恩恵は5000rpm以上で実感。8500rpmのリミットまでの吹けが速い。さらには4000rpm以下のトルク感も向上していた。

「エンジンのOHって、こんなにも気持ち良くなるんだ」と納得。ボディのリフレッシュと合わせて「レストアして良かったな」としみじみ思ったのだった。

で、ビートのレストアに掛かった費用はお友達価格にしてもらって80万円也。フツーなら100万円オーバーのコースだと思う。23年前に中古で40万円で購入したことを考えれば、トータルでほぼ新車時並みの価格になっている。昔から「新車並みに戻すには新車時価格ぐらいは掛かる」と言われているが正にその通りとなったのだ。

最近ではタイヤを交換。13&14インチはもはやマイナーでエコタイヤしか選択できず(インチアップすれば話は別だが)。とは言え快適性はアップして気分はルンルン。気になっているのが幌の色褪せ。車庫保管なのに……経年変化だからやむなしか。で、ディーラーに問い合わせると「部品あり」とのこと。トップとリアウインドウ、取り付け工賃込みで7万5000円でOKと聞いてさっそくオーダー。こうしてちょこちょこ直すって楽しいもんです!

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