首都圏ではすでに桜も舞い散る4月半ばの先週末、筆者ハヤシは東京から350km圏内の福島〜宮城それぞれのローカルフラットダートを走ってきました。その遠征から今週の当コラムでは、ちょうど桜が満開だった東北地方の、文字通りサクラサク新たなダートトラックコミュニティ、宮城県柴田郡村田町・サザンサーキットに誕生したチョー素敵なショートトラックと、そこに集い、自らシーンを作り上げる "同好の士の激アツ集団 = NFA: Northeast Flattrack Association" をご紹介しましょう!

スポーツランドSUGOの近傍エリアに位置するミニ・ロードサーキットの片隅に"日本屈指の良路面"ショートトラックを作り出した"やたら熱い人たち"の物語。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。冒頭からいきなり断定しますが、今回伺った宮城県のサザンサーキット・ショートトラック、いろいろな意味でグレートです。そしてある種ベスト。間違いなくオンリーワンの魅力があります。

平成期が終わろうとしているこの春、ここより潜在的なポテンシャルをもつ若いトラックは現状我が国には他にないでしょう。恵まれた路面組成と適切に考え抜いた整備手法、必要十分な速度域でのスポーツを可能にする適度なトラックサイズ、そしてこのような場を紡ぎ出す情熱に溢れ、シーンを牽引する力を発揮する多くのローカルメンバーの存在。東日本エリアでは、あるいはもしかしたら日本全体を見渡しても、土地の特色が生んだ "我が国屈指のローカルトラックのひとつ" と言えます。

オーバルトラックは既存のロードサーキットから西向きに斜面を見下ろす位置にある。遠くに見える山々は蔵王連峰。そのはるか向こうは山形県。撮影: FEVHOTS

20年程前、桶川スポーツランド (埼玉県) にあった150m級ショートトラックで走っていた宮城出身のライダーを中心に、そもそもはこのサザンサーキットから25kmほど離れた別の場所にトラックを確保し、実はここ数年で大きく動き始めていた東北のローカルダートトラックシーン。その地からこの冬、メンバー・関係者の不断の努力によって現在の場所へと移行し、精力的に活動を続けています。

トラックグルーミング用車両たち。路面の凸凹を削り表面を平滑に均す鉄骨井桁を牽引するジムニーと、撒水用タンクを搭載した軽トラック。貯水池はトラック隣にあり、必要に応じて即座に給水が可能。撮影: FEVHOTS

このオーバルトラックの場所は元来、サーキット利用者のための砂利敷きの駐車場だったそうですが、先代のトラックで結びついた大勢のNFAローカルメンバーによる草刈りや整地作業、人海戦術での無数の砂利の掃き出しにより、すでに見事なトラックサーフェイスが姿を現しています。

西向きの小高い丘の中腹に位置することや、今期新春より運用を始めたばかりの新しい場所であることから、当初のパッと見では、トラック上にはまだ多少のウネリや傾きがあるようにも見受けられましたが、完全に杞憂でした。

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粘土分の多い肥沃な土質のため、撒水後の保水性能は申し分なく、リアタイヤはまるで吸い付くかのように路面を捉え、前後ショックの動きも正しくそれに追従します。450ccや600ccの大排気量車でのあえてラフなアクションでも、トラクションを完全に失うことはなく、表面の小バンプ (凸凹) の影響など微塵も感じさせません。近年のダートトラックシーンで主流となってきた積極的な前輪操舵による車体姿勢の制御も容易で、多様なライディングスタイルを受容する懐の深さが印象的です。

撮影: FEVHOTS

ご当地・宮城県の "陶業" というと、仙台では「台ヶ森焼」や「堤焼」など、江戸時代から連綿と続く野趣あふれる日用の器が有名ですが、これらは鉱物質を多く含有する土を原料とするのがその特徴でもあります。ここのトラックでタイヤや車体に付着した土が、乾くと緑褐色味を帯びるのは銅や鉄分によるものでしょう。かつての栃木県・ツインリンクもてぎのトラックも、近傍の焼き物の産地である益子や真岡エリア由来の、良質の粘土分が多く含まれた土質であったことが思い出されます。

いよいよこれから?俄然盛り上がりを見せる"東北のダートトラックカルチャー"!

こちらのサザンサーキット・ショートトラックがいよいよスタートするまでのしばらくの期間、NFAの皆さんは300kmもの道のりを経て、埼玉県はオフロードヴィレッジなどへと通わねばならない時期もありましたが、ついに手に入れた我がローカルトラックを存分に活かし、これからますます熱気と輝きを増していくことでしょう。すでに3時間かけて山形から毎週通うメンバーもいるそうですよ。

普段はロードサーキットをミニバイクで走る若い人たち (キッズ / ユース) や仙台を本拠地とする有力スーパーモトチームのトレーニングスポットとしても、すでに大いににぎわいを見せている。撮影: FEVHOTS

我々FEVHOTSとしても、安全にこのスポーツを楽しむ上でのノウハウや、広く文化としてこの競技を世に浸透させていくための強力なパートナーとして、彼らNFA = 東北のダートトラッカーたちの今後の活躍からは目が離せなくなりそうです。願わくは彼らがさらに北への玄関口、もとい各地へのローカルダートトラックカルチャーのインフルエンサーとなり、さらに新たな、そして大きなムーブメントまでをも引き起こしてくれるのではないか、と期待します。大げさかな?いやきっと!

このところNFA: Northeast Flattrack Associationの皆さんは毎週末トラックに集まって路面の整備や練習走行に明け暮れておられるとのこと。彼らが現場にいるタイミングこそ、トラックコンディションがもっとも整っているはずですので、ご興味ある方はNFAグループ代表アイザワさんへのfacebookでのメッセージなどで問い合わせるか、NFAメンバーのカスタムビルダー "Garage Ducktail" のワタナベさんまでご連絡されるのが良いでしょう。関東などから大挙して押し寄せるにも事前にじっくり相談しておくと良いはずです。

ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!
みなさま素敵な大型連休をお過ごし下さい。