年間100本以上の映画作品を鑑賞する筆者の、独自視点での映画評。今回の作品は強いお父さんを演じさせたら世界一?のリーアム・ニーソン主演のサスペンスアクション『トレイン・ミッション』。
警官を辞めて以来、通勤電車に揺られながら10年も務めた保険会社を首になった初老の男が、突然通勤電車内で理不尽なトラブルに巻き込まれる・・・。

3/30(金)公開『トレイン・ミッション』予告編

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ストーリー

家のローンと私立大学に進んだ息子の教育費のため、毎日あくせく働く中産階級のお父さん。リーアム・ニーソンが今回はちょっと弱々しいが、芯は強い元警官を熱演。
リーアム演じるマイケルは、警察を辞めて10年にわたって保険会社に務めたが、定年を前に突然の首を言い渡されて途方に暮れる。妻にも本当の事を言えず、暗い気分で帰宅の電車に乗ったところ、見知らぬ美女から謎のミッションを果たすよう要求される。それは「乗客の中から、ある重要な荷物を運んでいるプリンという名前の人物を捜して欲しい」というもの。そして、そのミッションを果たせば高額の報酬を払うというのだ。

断れば妻と息子を殺すという脅迫を受けたマイケルは、元警官の経験を生かして捜索を始めるが、謎の人物はなかなか見つからない。見つからないながらも、マイケルはそのプリンがある重大事件の目撃者であることを知るのだが・・・。

日常使って慣れ親しんだはずの通勤列車の中での、非日常的な恐怖に立ち向かう”普通のおじさん”をリーアム・ニーソンが好演

リーアム・ニーソン演じるマイケルは、自分に謎のミッションを与え、妻と子の命を危険に晒している謎の相手の正体とその目的を懸命に探る。同時にもちろん列車の中に潜むプリンなる人物を特定するというミッションにも挑まなければならない。

なぜ自分が?という疑問ももちろんある。そんな複雑に入り込んだトリックをなんとか解いて、この苦境を脱しようとするマイケルだが、60歳という年齢、錆びついた警官としての知恵など、なかなか思うようにはいかない。

本作では、いつもなら軍人上がりだったり元特殊工作員といったスペシャリティを持つ人物を演じることで観客にちょっとした安心を与えてくれるリーアム・ニーソンが若干普通の"オヤジ"を演じることで、常ならぬスリルと不安を孕む。映画『スピード』(『スピード』の舞台はバスの中だった)のように、通勤電車の中という動いてはいるがある種の密室の中で展開する、非常に切迫感をもった作品である。