ホンダの持つハイブリッドシステムへの理解を深めるテクニカルワークショップがホンダ発祥の地、浜松で開催された。

3種類のハイブリッドシステムを持つホンダ

現在、クルマのパワートレーンは、ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、それらにモーターを組み合わせたハイブリッド=HEV、モーターのみで駆動する電気自動車=BEV、そして燃料電池車=FCEVなどがあるが、なかでもHEVは搭載モーター数もさまざまで、さらにプラグインハイブリッド(PHEV)があったりと覚えるだけでもひと苦労だ。

ホンダの2モーターハイブリッドシステムを搭載する最新モデルのインサイトでエコラン競争も開催された。

とくに高い技術力を誇るホンダは、今回テクニカルワークショップが開かれたi-MMD(インテリジェント マルチモード ドライブ=ホンダが採用する2モーター式ハイブリッドシステムの名称)の他に1モーターのi-DCD(インテリジェント デュアルクラッチドライブ)、3モーターのSH-AWD(スーパーハンドリング オールホイール ドライブ)がある。そしてこれらハイブリッドは累計170万台も販売しているのである。

写真はi-MMDのモーター部分。製造工場である浜松工場の製造ラインを取材、強いこだわりも聞いた。

今後ホンダの主力となるi-MMD

さて、ひととおりホンダのハイブリッドの種類をおさらいしたところで、今回のイベントのメインとなるi-MMDの話だ。この2つのモーターを搭載するハイブリッドシステムは「スポーツハイブリッドi-MMD」と呼ばれ、今後はホンダの主力となるもので、アコードやインサイト、オデッセイ、CR-Vなどにすでに積まれているものだ。特徴は駆動用モーターの他に発電用モーターを搭載し、これらがエンジンとシームレスに連携して気持ちよく効率のいい走りを実現していることにある。

エンジンは、たとえば高速道路や坂道のような状況で駆動するが、それ以外はモーターで駆動しエンジンは発電用として使われているのだ。つまりEV車に近いハイブリッドだと言っていい。だから燃費もいい。ちなみにインサイトの燃費は、WLTCモード値で25.6km/L(EX)~ 28.4km/L(LX)を実現する。

実際にこのイベントでは、そんな燃費実力を検証すべく、インサイトEXを使った燃費競争も行われた。45分の持ちタイムで一般道路、高速道路を走行するといったものだが、私の結果は平均燃費26.36km/Lという記録だった。まあこれはそれほど威張れたものではないが、興味深かったのはその中でエンジンのみを稼働させた割合は3.86%だったということだ。ちなみにハイブリッド状態は34.78%、 EV状態は61.36%というデータだった。

燃費がいいだけじゃない

燃費性能だけみてもI-MMDを選ぶメリットは感じられるが、燃費がいいだけのクルマは、今やたくさん存在している。そこはホンダ、やはり“走り”には強いこだわりを持っている。ドライバーの意志どおりクルマが反応してくれるドライバビリティには、かなり注力したようである。つまり運転するのが楽しいハイブリッドだというわけだ。

ガソリン、ハイブリッド、EVが揃うPCXシリーズ。小型自動二輪免許で運転できる。

PCXシリーズの詳しい情報は過去記事をご覧ください

走る条件によっては、モーターで走った方がいい場合もあるし、逆にエンジンで走った方がいい場合もある。それをクルマが判断して自動的に切り替えるというのがホンダのi-MMDだが、切り替わったことがわからないぐらい自然なのである。

つまりモーターで気持ちよく走っていたけど、坂道になったら急にエンジンがかかってまったく別のクルマのようになった、なんということがないわけだ。

2輪の体験試乗メニューもあり125ccのスクーターであるPCXシリーズに跨がった。

ところで余談だが、実は今回のイベントでは他にも、ホンダブランド体験として、小型二輪スクーター PCXの試乗、草刈り機や耕耘機などのパワープロダクツ体験、ホンダの船外機を積んだボートにも体験乗船&操船と、ホンダブランドのさまざまな体験ができたのだが、そのあたりはまた機会があればぜひ報告してみたい。

ホンダの船外機を搭載するボートも試乗。浜名湖内を操船する貴重な体験もできた。

それにしても今回のワークショップは、ホンダのスポーツハイブリッドi-MMDに対する自信と意気込み、そして強いこだわりが伝わる内容だった。