日本の街角に"ストリート・トラッカー"がふたたび還ってくる日。
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。先日の東京モーターサイクルショーで日本初公開となったインディアンFTR™1200や、2000年代に日本全国のストリートを席巻したホンダFTR223、あるいはそのデザインソースとなった1980年代のFTR250など、公道走行を大前提としつつもレーシングの香りのする本格的ダートトラックスタイルの量産モデルは、競技の本場アメリカと比べ実はここ日本では身近な存在だったと言えます。
イタリアで1968年創業、トライアルやエンデューロ、モトクロスカテゴリーで鳴らしたファンティック = FANTIC は、事業方向性をめぐる迷走から数度のオーナーチェンジを経つつ、2014年に有力起業家グループの支援により再出発。メイカー誕生から50周年を迎えるにあたり、その原点・・・かつて欧州で名を馳せた同社製品の代名詞でもある "Caballero = 騎士" の名を新たなブランドイメージとして冠し、"スクランブラー" と "フラットトラック" という2モデルを誕生させました。
"スクランブラー" と "フラットトラック" は、それぞれほぼ同一フォルムの車体プラットフォームに、125cc / 250cc / 500cc という3種のパワートレインを用意。欧州での厳しい諸規制・・・排ガス規制やABS装着などの条件をクリアしつつ、特に250cc / 500ccではアテナGET・電子制御インジェクションシステムを採用することで、小気味いいパワーデリバリーを実現しているとのこと。どちらのモデルもメインフレームは伝統的なダートトラック・レーシングマシンよろしくクロームモリブデン鋼製です。
では続いて当コラム注目の "フラットトラック" モデルの特色を追っていきましょう。
"サイドナンバー・19"は比類なき前後同寸ホイールサイズを主張。
以前にも当コラムで幾度か取り上げましたが、フルサイズマシンでのダートトラック競技で使用するレーシングタイヤは "前後19インチ" が基本です(例外的に軽量級・ミニバイク用としては17インチサイズもありますが)。
"ファンティック・キャバレロ・フラットトラック" シリーズは、公道走行可能な市販ダート・スタイルのマシンとしては過去に類を見ない、しかし我々の競技では一般的な19インチの前後同寸タイヤを選択。ダートトラッカーらしい "フロント下がり" の立ち姿、定番のレーシングスタイルを獲得することに成功していると言えます(ちなみに "スクランブラー" モデルは前19 x 後17インチ)。
他のオフロードカテゴリーに比べ、通常太いリム幅が要求されるダートトラックならではの雰囲気を追求し、前2.50、後3.00サイズの19インチアルミリムを採用。出荷時に装着されるタイヤは、日本ではほとんど馴染みのない、しかしこの競技の本場アメリカのローカルレースシーンでは定評のあるチェコ共和国製のダートトラックタイヤ、MITAS・H-18のストリートコンパウンドタイプです。
右サイドに顔を出す特徴的なデュアルエキゾーストは、イタリアンブランドらしく "ARROW" 製。必要十分な消音効果を発揮しつつも、小気味良い排気音を奏でます。つや消しブラックの外装やシンプルな造形でまとめられた各部もインパクト十分。市販車として極めて斬新な印象です。
ちょっとレーシー?ちょっと本気?時代が求めた新感覚カテゴリー。
ファンティック・キャバレロシリーズは、東京世田谷に本社を構える株式会社サインハウスが輸入販売元となって、いよいよこの春、我が国のマーケットに向けたデリバリーが始まるとのこと。気になるお値段は、125ccモデルの79万円〜500ccモデルの110万円 (税込メイカー希望小売価格)といったプライスです。
ダートトラックレースシリーズFEVHOTSを主宰する筆者ハヤシと、同シリーズチャンピオンの大森雅俊の2人は、先日3月28日(木)に同社の新しいショールームで行われたお披露目の会にご招待いただき、現車を見せていただきました。スポーツとしてのダートトラックレーシングに長年携わる我々が、こちらの新たなストリートトラッカー・カルチャーの浸透にどんなお手伝いができるか、これからじっくりと考えてみたいと思っています。なにやら楽しいことが始まる気配。どうぞご期待ください。
ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!
あ、そうそう今週末日曜3/31は、埼玉県のウェストポイントオフロードヴィレッジにて、第1戦開催・2019開幕の予定です。ダートトラックにご興味ある方は是非一度、足をお運びください!→→残念ながら諸事情により本戦は開催中止となりました!また次回に皆様お誘いしますね。