フロア修理の件を、以前フレーム修正でお世話になった工場に行って相談したら、その場でパーツの在庫状況を調べてくれた。

伊藤嘉啓氏
バラードスポーツCR-Xとホンダをこよなく愛するカメラマン。ホンダだけではなく旧車にも滅法詳しい。そのため、ホンダ社内からも一目置かれる存在である。当然、写真も腕も一流だ。
そんな彼の愛車CR-Xのオドメーターはなんと68万5000kmを越え。これまで一体どこへ向かったのか、なぜそこまでCR-Xを愛するのか、そして今後の走行距離は何万kmに到達するのか…この連載【地球まで、もう少し。】を通してCR-Xの魅力とともに徐々に紐解いていく。

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残念なことに『ウチは純正部品がないと修理を受けられないし、レストアみたいに時間のかかる作業はやれないから、他の工場に持っていった方がいいんじゃないの』と断られてしまう。

1号車(CR-X)の修理には、フロア周りを含めて多数のボディパネルが必要になるんだけど、欲しい部品は『ご相談パーツ』と呼ばれ、すでに大部分の生産が終了し、ホンダの在庫もなくなっていたんだ。

新品のパネル類が手に入らないってことは、昔ながらの鉄板を切ったり貼ったりという、余計に手間のかかる作業が必要になってくる。問題は、この厄介な鈑金修理を引き受けてくれそうな工場を新たに探さなきゃならいってコト。しかも、予算は潤沢にあるワケじゃないしね。

その頃『J's Tipo』って雑誌でCR-Xの連載をやってて、そのツテを辿って修理を引き受けてもらえそうな工場を紹介してもらった。その工場に連絡をしたら、『今すぐは手一杯なんで、余裕ができたら連絡しますよ』と。

そこから暫く時間が経ったある日『持ってきてもらっても大丈夫です』と連絡が来て1号車を預けることになった。工場には、ほとんどの内装類を外してドライバーズシートとステアリングホイール、ディマースイッチとスピードメーターだけの状態にして、今まで集めた新品の純正部品を積んで行った。まぁ、半年もあればキレイになって戻ってくるかな、なんて軽く考えてたんだけど実際には2年近くもかかっちゃった。

コトの詳細は『J's Tipo』誌に連載してたから、気になる人は古本屋サンで探してみてね。

2号車(5代目のシビック、EG型)もフルに大活躍!

予算の都合上、エンジンも足まわりも外さずに、傷んでいたフロアまわりとリアフェンダーの修理、サイドシルの交換、ガラス全部を外して元色と同色でオールペイントという内容。残念ながらレストアまではできなかった。

この1号車修理中は、新2号車が大活躍。スペシャルカムの入ったエンジンは、フラットトルクで乗りやすく速くて燃費も良かったんだけど、何となく抑揚がないというか面白みに欠けるかな、とも思った。

それに、パワーステアリングも付いてないけど、前期型の1号車とはチョットばかりフィーリングが違う。やっぱり、長年乗り親しんだ1号車が身体に馴染んでるようだ。

そして、2007年の2月半ば、ようやく1号車が仕上がってきた。

2年近くも、動かしてなかったからエンジンが無事にかかるか心配だったけど、オイルを入れ換えてセルを回したら、呆気なく火が入った。

せっかく、時間もお金もかけてキレイにしたんだから、ほとんど1号車ばかり乗ってて2号車の出番は減ってきた。この1号車、相変わらず調子よく走ってくれてたけど、実はオイルの消費が多くて大体3000kmを走る間に1リッター近く減っていた。

ほぼ毎日、エンジンをかける前にはオイルの量を確認して、減っていれば継ぎ足すのが当たり前になってたんだ。そんな状況で乗り続けて、550000㎞になる辺りからエンジンノイズが大きく感じられるようになってきた。以前よりも燃費が落ちてきたし、回転フィールも重苦しい感じだ。そろそろエンジンの寿命かも。地球と月の往復は一筋縄じゃいかないんだな。

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