世界最高峰メディアのCYCLE WORLDが、面白い記事を掲載していました。なんでも日本の特許庁にスズキが、とてもユニークなモーターサイクルのエンジン搭載方法を出願している・・・というのです!

ん? シリンダーヘッドが前に向いている??

CYCLE WORLDの報道によると、スズキがこのモーターサイクルの「パッケージング」に関する特許を出願したのはつい最近とのことです。

こちらが出願された図です。オレンジ色の部分がエンジン、赤い部分が排気系です。

www.jpo.go.jp

出願された特許の図を見ると、ツインスパーのフレームの間にエンジンのシリンダーがあることがわかります。そして、35、36、37にクランクシャフト、そしてギアボックスの2軸が描かれていることが推察できます。興味深いのはスイングアームピボット(38)が前寄りで、一般的なモーターサイクルよりもスイングアームが長くなっている点です。

このレイアウトのメリットは、ショートホイールベースながら長いスイングアームでハンドリングが良くなること・・・。またサスペンションの動きによる、ジオメトリーの変化が少ないこと・・・と出願資料には記されています。

ん? 昔似たようなエンジンの配置を見たような?

一般的なエンジンの搭載法からすると、それをひっくり返して積むようなレイアウトは、かつてフサベルが実用化したことがありました。

2009〜2012年のフサベルに採用された、4ストローク単気筒エンジン。

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海外オフロードバイク業界の再編で消滅したフサベルですが、アップサイドダウン(倒立)とも言うべきそのユニークなレイアウトは、ジャイロ効果を発生させるクランクシャフトを、車体の重心に寄せることがその採用の理由でした。

フサベルFE390。当時、そのユニークなエンジンレイアウトは、オフロード界だけでなく多くのモーターサイクルファンに注目されました。

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一方、このスズキの特許は、ホイールベースの短縮化と長いスイングアームが使えることが一番の目的となっているのが特徴です。さらに、後方排気のレイアウトにすることで、クランクケースの下側に排気系をまとめることで、マスの集中化も図ることを可能としてます。

ただ、スズキの特許のこのレイアウトを採用できるのは、単気筒か並列2気筒に限られるような気もします。そして、特許の図の「S」の領域は水冷用ラジエターを収めるにはちょっと狭そうなので、空冷にするかサイドラジエターにしないと、商品化は難しそうにも思えます。

さらに、通常の燃料タンク位置にあたる「43」はEFIのインジェクターとエアクリーナーボックスに使われるでしょうから、燃料はシート側に搭載することになるようです。

まぁ世の中には特許は取ったものの、商品化して世に出ることはなかったものは多々あります。この特許が具現化することは、ひとりのモーターサイクルファンとしてはドキドキワクワク期待しちゃいますが、それは実現するとしてもだいぶ先のことになるでしょうね。もしその日が来るのであれば・・・という期待を抱きつつ、どんなモーターサイクルになるのか妄想を楽しみましょう。