豊かなトルク感が最大の魅力。ドノーマル + 1年生からの新たなチャレンジに!
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。まず初めにご紹介したいのは、保安部品を外しただけのほぼノーマル状態のこちらのマシン。先日12月23日に開催した筆者主宰のダートトラックレースシリーズ・FEVHOTSの2018シーズン最終戦からの1コマです。
基幹となる排気量別の3クラス + キッズクラスをレギュラーカテゴリーとする当シリーズですが、参加者からの要望に応じ、新たなクラスの増設には常に柔軟に対応するのが信条でもあります。今回は来シーズンに向け、ダートトラックレース歴2年未満のライダーによる "ノービス500" クラスを新設。排気量500cc以下単気筒という大雑把なカテゴライズですが、ダートトラックレース独特のレースフォーマットを知り、経験を積んでいただくべく、エントリーユーザーに向けたコンセプトです。
今回同クラスに出場した写真の28号車は、山梨県山梨市・バイクガレージココロ BGK代表、内田朝好選手の駆るSR400。タンク・シート・ハンドル・マフラーが変わったくらい、現状は "借り物競争仕様" です。昨年末に本格的にダートトラックライディングを始め、ほぼ週一回ペースで練習を続ける、レース歴1年の内田選手をテストライダーに、素材としてのSRの可能性を探っていく試み。
普段はFTR223をメインに乗る内田選手いわく "FTRと比べて車重はそれなりに重いが、トルク感があって乗りやすい。重さはかえってスライド中の安定感を生んでもくれるので、変えるべきポイントを押さえればエントリーユーザーにもオススメできると思う" とのこと。カスタムビルダーとして数々の実績を持つ同店ならではのモディファイがこれから少しずつ加えられていくことで、どのようにこちらのSRが進化していくか、要注目の1台になりそうです。
"フレームクビ切り = de-raked" はSR系オーバルチューニング基本中の基本!
続いてご紹介するのは大阪府豊中市・グリードモーターサイクルのSR400。同店小川代表の手によって、本場アメリカのダートトラックレースシーンで、"ストックフレームを使うなら必ず押さえるべし"といわれる、定番メニューのレーシングモディファイが加えられています。
ハイレベル間違い探し的ですがどこが変わったかわかりますか?
メイカー標準スペックで27.4°のフロント・キャスター角を、メインフレーム加工によりダートトラックマシンに最適とされる24.5〜25.5°程度へと "立てて" います。アメリカの "中古ダートトラックマシン売りたし買いたし情報サイト" を眺めていても、TT/XT/SR系フレームに関しての "de-raked = キャスター角変更" はレーシングモディファイとして定番中の定番。未施工の車体は価値がほとんどつかない傾向にあるようです。では簡単にその方法を。
前のめり感の強まった車体は "いかにもダートトラッカー" といえるアグレッシブなスタイルに変貌します。マシンの重要な骨格に手を加える作業のため、あくまで "レーシングモディファイ" ということでご承知ください。施工についての詳細・お問い合わせは同店またはFEVHOTSまでどうぞ。
リア周り新造のモノショック化で "今風フレーマースタイル" も作れます。
宮城県柴田郡川崎町のガレージダックテイル・渡邉代表のSRは、外装と車体後部を中心に大きく手が入れられた現代的なフレーマースタイルを指向しています。
リア・サスペンションはトラディショナルなノーマルの2本ショックからカンチレバー・モノショック化。シートレールも脱着式で新造し、後部の車高を上げる方法でフロント・キャスター角を "ダートトラック標準値" の25.5°付近に調整。リア・ブレーキのディスク化など、要点を押さえたレーシーなモディファイが施された非常に美しい車両です。
かつて "もてぎ400m" で水冷450ccと渡り合ったビックリドッキリ系モンスター。
2011年まで200mと400mの二つのダートトラックが存在し、シリーズ戦が行われていたツインリンクもてぎの最上位 "エキスパート・オープンクラス" を走ったこちらのマシンもご紹介しましょう。
リアショックユニットは低重心化を狙い、特殊なリンク形式を採用して車体下部に水平マウント、エンジンそのものをストレスメンバーの一部としたオリジナルフレームの車両は、同サーキットでの厳しい音量規制をクリアするべく、左右2本出しの大型サイレンサーを装備。排気量をアップするなどエンジンチューニングを含め、車体各所に様々な工夫が凝らされた独創的なスペシャルメイドです。
我が国から400m = 1/4マイル超えのオーバルトラックがなくなって以来、特にそれまで上級クラスを走ったライダーが情熱を維持することは非常に難しく、このようなマシンが実走する機会はとみに少なくなってしまいましたが、SRベースのマシンでトップカテゴリーを走り、水冷450ccDTXらと互角に渡り合う戦績を誇った、我が国ダートトラックの歴史の中でも大変重要な1台だと言えます。
関東某所に静かに眠る超ド級の希少車 "ケニー・ロバーツフレームのTT500"。
ローカルダートトラックレースからそのキャリアをスタートさせ、世界ロードレース選手権の頂点まで歩を進めたキング・ケニー・ロバーツは、自身のブランドとしてダートトラックフレームを製作していたこともあります。こちらはその、世界的に見ても大変貴重な "ケニー・ロバーツ・フレーム" のTT500。下のストリップ写真では、特徴的なリアサスペンションの配置や、オーバル走行における最適化を目論んだ繊細なフレームワークなど、興味深いディテールを各所に見ることができます。
2009年10月のカリフォルニア。ローカルレースシーンを彩るヤマハ単気筒たち!
"それっぽさ"を追求することからだけ見えてくる真実がきっとある、はず。
いかがですか?玉数豊富で中古入手おそらく容易なSR系ビッグシングルをベースに、少しずつ唯一無二の "自分だけのレーシングスペシャル" を作り上げるという楽しみ方もなかなか魅力的ですね。
小排気量マシンから一歩ずつ着実に経験を重ね、徐々にステップアップするのが勤勉な日本的スタイルなのはきっと間違いありませんが、一足飛びに好きなカタチを追いかけてみるのも面白いアプローチではないかと思います。ビビっときて興味を持った方、質問やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
ではまた新年も、毎週金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!
皆様よいお年を!