先日開催された第27回ヨコハマホットロッドカスタムショーには、"乗って走れるビルダー" が工夫を凝らして仕立て上げた、カスタムメイドのダートトラッカーが多数出展されました。"それ風テイスト" のカスタムは世の中まさに星の数ほどあれ、このスポーツの本質を身をもって知る作り手たちの描く "それっぽさ" はやはり別格!本日は、当日会場でオーディエンスから熱烈に歓迎された "競うことを目指して研ぎすまされた" 異色のマシンたちをご紹介します。

"コレは凄く走りそう!" とか "一度乗ってみたい!" と感じさせるリアリティ。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。派手さ・華やかさ・工夫を凝らした様々なスタイルの、オリジナリティ溢れるアイディアが具現化された、渾身のカスタムマシンたちが群雄割拠するショー会場にあって、今日ここで取り上げる、"オーバルトラックをより速く走る" というシンプルな最終目標を見据え、 (おそらく) 楽しみながら組み上げられたマシンたちは、格別に際立った、ある種の異質な存在でした。とても好ましい意味で。

スポーツとしてモーターサイクルライディングを捉えたことのある方ならば、この感覚は多少なりともご理解いただけるはずです。競い合うための道具 = スポーツ用品としてのシンプルなリアリティが、煌びやかさとはひと味もふた味も違う、独特の雰囲気を放っていたことは間違いありません。

ちっちゃな横型単気筒でド真剣に遊べるレーシングマシンを "作って競う" !

撮影: 奥原茂樹

こちらは数ヶ月前に当コラムでもお伝えした、"Have Fun!!" というプロジェクト。実際に様々なマシンでダートトラックライディングに親しむ国内カスタムビルダー諸氏が、"H式横型 = ホリゾンタル150ccエンジン" + "17インチサイズ" というテーマで作る、"ちゃんと走れるオリジナルマシン" という取り組み。各ビルダーそれぞれ、自身のレギュラーマシンと合わせた展示が目を惹きます。

ショー直前には実際に川越・オフロードヴィレッジのオーバルトラックに各マシンを持ち込み、ひとしきり走り回ってブッ倒してキャイキャイ遊んでから会場に持ち込んだとのこと。それぞれの車両の佇まいからは "ちっちゃいけどホンモノ感" が匂い立ちます。

こちら "Have Fun!!" からは、横浜保土ヶ谷にショップを構え、国内おそらく半数近くのダートトラッカーのために鉄スリッパーをも一品製作する、BUDDY CUSTOM CYCLESの "トラックマスター・スタイル" の車両が、著名カスタムビルダー、ローランド・サンズ/RSD よりアワードを受賞。長年このスポーツに親しむBUDDY代表・福田氏の、自ら課した共通テーマへの明快な回答が光ります。

今回FEVHOTSは本場リアルレーサーを運び込んで展示しただけー!来年こそ?

撮影: FEVHOTS

さて、実は毎年何かしらの形でこのショーに参加している我々FEVHOTSですが、今回は当レースシリーズ・メインフラッグマン、和田真の和彫・彫金 "零工芸" ブースに、ハーレーダビッドソンXR750とWOOD ROTAXの2台を展示、我が国ダートトラックレーシングのアピールの場としました。

写真後方のXR750 "23号車" は、90年代前半にGNC23ケビン・アサートンのライドで全米選手権を走ったHDファクトリーチームの個体。日本製レザースーツブランド・GREEDYを着た初のアメリカ人プロライダーで、レースキャリア終盤に大クラッシュに遭ったアサートンから、同社が治療費の援助の想いを込めて購入、国内各地のイベント等で広く展示されていた車体です。

という重厚なヒストリーのこちらのXRですが、今回のショーでの展示終了後、実動状態の回復を目指し、我々の信頼する新たなオーナーの元へと旅立っていきました。このまま飾るより走ってほしいという各方面からの願いを一身に受け、再び力強くオーバルを走る日がくることを期待しています。

そして手前側のROTAX600は (詳しく言うとナイト製フレームでエンジンがロン・ウッドチューンですが) ダートトラックスタイルに惚れ込んだ国内コレクター氏の元にあった車両を、我々のシリーズに参加するライダーが巡り合わせで購入し、多くの人々の協力のもと、再びレーストラックで実走させるべく、徹底的な改修と整備を行っている最中。ちなみにこれから乗るライダーは女性ですよ。

ショー当日には我々のブースにもたくさんのお客様に足を運んでいただき、これから走り出そうとする2台のレーシングマシンへのお褒めの言葉を多数頂戴しました。我々にとって、やはりモーターサイクルとは走ってナンボ、競ってナンボのスポーツ用品。それらが活躍できるステージを我が国でさらに拡大していくため、努力を惜しまず前進していこうと気持ちを新たにした一日でもありました。

海外ゲストの有名ビルダーがトドメにもらした名文句!

本日最後は、このショー当日、カスタム業界では有名な海外からのゲストが、筆者との会話のなかで述べた名文句 (?) で締めたいと思います。我々にとっては嬉しいですが、取りようによってはミもフタもないのでお名前は伏せますよ。ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

"All we know the real race bikes are almost cool, but above all, flat track bike's the best.
'Cuz there's just function, no even bull shit."

"レーシングマシンはどんなのでもたいがい美しいけど、中でもダートトラッカーは格別だね。
だってそこには機能以外、余計なものが一切ないんだぜ"

- 読み人知らず (某有名ビルダー!?)